NO団体名主な企画内容
6 網地島ふるさと楽好(宮城県) 「限界集落の社会貢献 温かな愛に包まれる心のふるさと~島の自然が虐待孤児の自分を大切に思う心を育む~」
虐待孤児や震災孤児が、子どもがいない限界集落のお年寄りの温かな愛に包まれ、島の自然に生かされた生活を通して自己肯定感を高める企画。荒んだ子どもたちに温かな人間関係を築く心を育んでいく企画。

速報レポート3 網地島ふるさと楽好うにコース2日目

実 施 日   2021年7月23日(金)~24日(土)
参加者数   小学生13名,中学生2名
(被災地の一般家庭や震災,虐待,貧困等の複雑な事情により里親家庭で暮らす子供達)
指 導 者   島のお年寄り等,専門分野の講師30名
ボランティア 宮城教育大学大学生ボランティア6名,高校生(かつての参加者)1名
ととかかスタッフ(保護者)11名
体験内容

2日目  7月24日(土) 
5:00 朝食準備
 島の海女である長渡婦人会(ふたわたしふじんかい)10名以上が,子供達のために朝5時に集まってくれました。おいしいものを作ろうと頑張っていただきました。

6:00 起床・身支度・部屋清掃・外で遊ぶ
 夜は早めに寝たので,みんな早起きで,カラスに食べられる前に,夜に外灯に集まったカブトムシ,コクワガタ等を捕まえることができました。

7:15 朝食
 クジラの脂身が手に入ったので,網地島のトイ汁が提供されました。クジラの脂身は,あっさりしていて,とてもおいしいです。外洋で育つ網地島のひじきはとても長く,みんなびっくり。厚焼き玉子は,島のおばあさんの愛情がたっぷり入ったとても甘い玉子焼きです。

8:30 網地島の植物教室
 今から50年前に,島の網長中学校で理科を教えていた「長靴先生」(いつも長靴を履いて山を歩いていたことから,島民からニックネームで呼ばれていました)こと高橋和吉先生が,東北では珍しい常緑樹が多い島の植物について,教えてもらいました。また,昔の島の生活や植物を使った生活について教えてもらいました。興味深い話で,みんな熱心に聞いていました。そして,島の生活は島の自然に生かされていることを学びました。
 島にたくさん生えているトクサは,ザラザラしていることから,昔は鍋洗いに使われていたことを教えてもらいました。隣の田代島にはないことから,わざわざ船に乗って取りに来たそうです。
 島でたくさん飛んでいるアオスジアゲハは,常緑のタブノキをエサに大きくなります。
 網地島は昔,山百合を育てて,外国に輸出していたことから,夏になると,島が山百合の甘い香りに包まれます。網地島は山百合の島とも呼ばれています。山の中では,甘い良い香りがする山百合ですが,近くで臭いを嗅ぐと,その強烈な臭いにみんな「ゲッ」となります。


ながぐづ先生の山百合に気を付けろ

そんなに近くで臭いを嗅ぐと大変だ

9:00 発熱した子がいましたが,網小医院で対応していただきました。島に病院があると安心です。

9:30 網地島だけの魚釣りあなご抜き・磯観察
 島の昔の子供達が熱中した網地島だけの魚釣りあなご抜きを楽しんでもらいました。
 島に生えている長い真竹に短い糸と針を付けて,岩の下に突っ込んで釣ります。
 初めて魚釣りをする子もいて,みんな真剣でした。
 磯観察では,フジツボを食べている犯人を捜したり(犯人は何食わぬ顔で近くにいます),いろいろなイソギンチャクに手を入れてみたり(実は刺されていることを知ると,子供達は驚きます),いろいろな鮮やかな卵の親を探したりしました。楽しいクイズ形式で海の生物の特徴を学んで行きます。ヒトデも青色系と緑色系がいることに気付きます。


長い釣り竿のアナゴ抜き

東北大学池田先生の磯観察

11:00 シャワー・外で遊ぶ
 シャワーを浴びてから,余裕があるので,子供達は大学生ボランティアと遊びました。

11:45 島の海女とのお昼づくり
 子供達が釣った魚は,島の海女のおばあさんがあっという間におろしてくれました。
 炭火で焼いて,お昼のおかずにしてもらいました。普段は魚を食べない子供達も,自分が釣り上げた魚は愛おしくなるようで,骨まで舐めるように食べてしまいます。味噌焼きおにぎりも炭火でこんがりと焼きました。香ばしい香りが食欲をそそります。
 宮城県のソウルフードである「はっと」は,各家庭で作り方が違うことから,毎回,味付けの船頭が多く,どうなることかと思いましたが,海女のチームワークでうまくまとまりました。はっとは,子供達にちぎってもらい,汁の中に入れました。子供達は,「おいしい,おいしい」とたくさんお替りをしました。
 島ではお祝い事があると,昔は,杵と臼を使って,餅つきをしました。各家庭に杵と臼が常備されています。お餅を初めてついた子供も多く,お祭り騒ぎでした。臼の縁を杵でたたく子がいて,お餅が少し茶色になりました。


力いっぱい餅をつきます

杵が重いので一緒につきます

12:00 昼食
 味噌焼きおにぎり,はっと,鯨のお刺身,あんこ餅,きな粉餅が出されました。きな粉餅は,おばあさんのどのような隠し味があるか分かりませんでしたが,絶品でした。和吉先生が植物教室で教えてくれた香りのよいクロモジの爪楊枝も添えられました。
 昼食の時間を活用し,東日本大震災を乗り越え,10年以上に渡り,活動を支えてくださった島のお年寄りに子供達から感謝状が贈られました。


朝5時からの食事づくりや料理の指導に感謝

竹鉄砲や竹とんぼづくりを教えてくださったお年寄り

感 謝 状
          小野寺 〇〇〇 殿
あなたは 網地島の海女であり 総料理長として うにやあわびを惜しげもなく使った網地島の美味しい料理をたくさんの子供達に食べさせてくださいました
歌手として たくさんの弟子を持ち 大漁旗の法被を着たお母さん達をバックダンサーに歌う姿は壮観で AKB48より上手でした
東日本大震災の後は 長渡婦人会をまとめて青空復興市を開き 島のお年寄りを支えました
永年の功績に対して 感謝状を贈ります

令和三年七月二十四日

子供達代表 〇〇〇〇
子供達代表 〇〇〇〇

感 謝 状
          阿 部 〇 〇 殿
あなたは 十五年間に渡り たくさんの子供達に 小刀を使い竹鉄砲や竹とんぼの作り方を教えてくださいました その話力に子供達は引き込まれ 夢中になって遊びました 優しい人柄は 誰からも愛されました これからも御自愛いただいて あと十五年間頑張ってください
永年の功績に対して 感謝状を贈ります

令和三年七月二十四日

子供達代表 〇〇〇〇
子供達代表 〇〇〇〇

13:45 船に乗ってお別れ
 船での別れは格別です。姿が見えなくなるまで手を振り続けます。また,網地島にまた遊びに来てね。


島のおばあさんにロゴを印刷した手ぬぐい贈呈

お互いに見えなくなるまで手を振り続けます

まとめ

 網地島の豊かな自然の中,島の自然に生かされてきた明るく元気な島のおばあさん(海女)やにこやかな島のおじいさんとの昔の島の遊びや昔のご飯づくりを通じた交流に,子供達は積極的に取り組んでくれました。

 海洋マイクロプラスチックの勉強では,遠く離れた網地島にもたくさんのプラスチック製品が流れ着き,それらが海洋マイクロプラスチックになり,生態系に大きな影響を与えていることを学びました。子供達は知恵を絞り,それを防ぐにはどうすればよいかを真剣に考えました。

 島のお年寄りの温かな愛に包まれ,たくさんの発見や感動,本気の泣き笑いもあり,新しい友達もできました,充実した2日間を過ごすことができたと思います。



速報レポート1 網地島ふるさと楽好くじらコース
速報レポート2 網地島ふるさと楽好うにコース1日目
速報レポート3 網地島ふるさと楽好うにコース2日目
速報レポート4 網地島ふるさと楽好あわびコース1日目
速報レポート5 網地島ふるさと楽好あわびコース2日目
速報レポート6

■別年度のレポート
2017年度 網地島ふるさと楽好 ~自然体験活動による 愛され、大切にされる記憶の醸成~ 実施レポート

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