NO団体名主な企画内容
47 広島県山岳連盟(広島県) 「わんぱく登山部」
山登りや沢登りを通して、子どもたちに「楽しい」「好き」といった気持ちの原体験を提供する。同時に登山の活性化や「山行中の屎尿の持ち帰り」を広報し、社会に提言する活動もおこなう。

「わんぱく登山部」 特別例会「国際交流隊!」 [7/12,8/1-6]

 [事前勉強会]
日  時:
場  所:
2008年7月12日(土)
広島県山岳連盟 事務所
 [登山遠征]
日  時:
場  所:
2008年8月1日(金)〜6日(水)
富山県 立山・剣岳、雷鳥沢野営場(キャンプ地/テント宿)
参加者:
協  力:
 
部員5名(小学校4〜5年生 男子4名、女子1名)、スタッフ2名
森和樹(個人会員)、田中勝彦(三原山の会) 他
韓国と広島県高校体育連盟登山専門部の先生方・高校生のみなさん
 <活動のねらい>

・漠然とした夢やあこがれを、具体的な目標に変えて、それにむかって自分で行動し、かなえていくことの楽しさ。
・宿泊をともなった日本の中央山岳登山の体験と、その楽しさ
・異文化をもつ人々と、自分の好きなものを通して交流することの楽しさ

 <活動内容>

剣岳・立山登山合宿(遠征・テント泊)、国際交流活動

 <全体スケジュール>

7月12日(土)  隊員事前勉強会/保護者説明会(岳連事務所にて)
8月01日(金)  移動日:富山県 立山雷鳥沢野営場へ(テント泊・夕食弁当)
8月02日(土)  立山登山(テント泊・自炊)
8月03日(日)  剱岳登山(テント泊・自炊)
8月04日(月)  予備日・休養日(テント泊・自炊)
8月05日(火)  下山:午後から金沢見学ほか(旅館泊/山代温泉・白山菖蒲亭)
8月06日(水)  移動日:広島へ

 <運営ポイント>

・自分の荷物はメインザックを使用し、自分で背負う。(テント・寝袋・団食料などは大人が荷揚げ)
・事前勉強会を実施し、自分達の登山のイメージを出来るだけ具体的にする。
・行動食など部員自身で計画、準備。また、報告書の作成義務も。
・屎尿は携帯トイレをやめ、ナルゲンボトルで持ち帰り。
・時間管理が安全管理に大きく関わるため、出来ていなければ大人もどんどん話しをし、指示を出して。

 <国際交流隊 結成!>

高校生の国際交流登山大会へ、わんぱく登山部からの参加。
広島県高校体育連盟・登山専門部主催(広島県山岳連盟と大邱広域市山岳連盟が後援)の「日韓高校生交流登山」に、小学生部員から有志をつのって登山隊(名称:国際交流隊)を結成し、参加した。
この登山隊の隊員は5名。小学校5年生の男子4名、小学校4年生の女子1名。これまでのわんぱく登山部内での活動の様子から気力・体力を考慮し、希望通り、これら5名の参加を決定した。

5名の隊員は、事前に勉強会をするなどして初めての遠征登山に備えた。
これまで行っているし尿の持ち帰りについては携帯トイレをやめ、ポリカーボネート製ボトル(750ml/モンベル)を使用することとした。
登山隊としては、立山、剣岳、両山を制覇。もうひとつの目的である国際交流も大いに楽しみ、また、はじめての山岳地域での長いテント生活も十分に楽しんでたくましく過ごした。

 <日韓高校生交流登山大会>

この登山大会は広島県高校体育連盟登山専門部と韓国・大邱広域市高校学生山岳連盟とが共同主催で毎年開いているもので、登山を通しての「高校生の国際交流」の場。広島県山岳連盟と大邱広域市山岳連盟が10年以上の民間交流をする中でうまれた、草の根の青少年国際交流である。
3年周期でお互いの国をいったりきたりしながら、山登りを通しての国際交流を続けており、今年は韓国が日本を訪れる年。広島県から41名(5校参加)、韓国から中学生を含めた41名、関係者合わせて総勢84名の大会となった。


 「国際交流隊!」隊員事前勉強会

 <タイムスケジュール>

09:45  山岳連盟事務所 集合
10:00  「国際交流隊とは」「剱岳・立山について」
11:00  「韓国語講座:入門編」
12:00  「山のごはん:実習編」(昼食)
13:00  「報告書の書き方」「寝袋おさらい」「荷物はどうかな?」
14:00  「行動食の計画について」後、解散
17:00  保護者説明会
       (今回のコンセプトについて・経費・保険について・おうちでお願いしたいこと など)
18:00  保護者&スタッフ懇親会

 <活動のねらい>

・国際交流隊隊員としての動機づけ。
・遠征登山についてのイメージを具体化し、自分の目標にむかって自分がどのように準備し、
 どのように頑張ればよいかを明確にする。
・隊員同士の認知

 <活動内容>

机上学習と室内実習。保護者をまじえない隊員(こども)のみの勉強会。
隊員は勉強会までに自主研究を作成、当日もちよった。国際交流隊とはどういうものなのか、剣岳・立山とはどんな山でどんな登山になるのか、韓国の言葉や文化についてなども勉強し、本番にむけての心の準備をおこなった。

 <こども達の様子>

全員が希望者のため、すでに立山・剣岳遠征に向けてきちんと心が向いていた。それでも集合時は漠然としたイメージ、期待と不安、まだ具体的にどう頑張ればよいのかわからない、といった感じ。
勉強会をすすめていくなかでこれからの登山について少しイメージできた様子。自分がどう準備すればよいのか、どう頑張ればよいのかなどがわかりはじめエンジンがかかった。期待もより大きく。
帰宅後の様子を見て保護者からも「うらやましい」との声が返ってきていた。

国際交流についても、積極的にこちらから話しかけていくこと、いつもの自分では恥ずかしくてやらないことでも勇気を出してやってみることも今回のチャレンジであることを伝えた。
すぐにその場で反応できる子、なかなかはずかしくて出来ない子と実際にはさまざまだったが、心づもりはできたようだ。

<備 考>

本番まで各自で行動食の計画や買い出しをすることが必須となり、帰宅後、さっそくスーパーへ出かけて行動食研究をしはじめるこどもも。
また、それぞれ自分の興味にしたがって、調べものをしたり思い思いの練習を行っていたようだ。当日までに朝4時に起きる練習や、早朝1時間歩いて自主トレーニングをする隊員も。
事前勉強会の実施は、国際交流隊のねらいにむけてとても有効に働き、また隊員のモチベーションも大きく高めることができたと感じる。


 「国際交流隊!」日韓高校生交流登山

 <タイムスケジュール>

8月1日 晴れ -- 移動日・キャンプ地へ -----
07:00  広島駅新幹線口出発
19:15  雷鳥沢野営場着・テント設営・夕食
18:00  室堂ターミナル着
18:20  ターミナル出発(徒歩約1時間)
20:30  就寝

8月2日 晴れ -- 立山登山日韓合同スケジュール -----
04:00  起床・朝食
06:10  雷鳥沢出発
07:40  一の越 到着
08:50  雄山山頂
09:30  大汝山山頂
10:30  大走り分岐・昼食
11:15  分岐より下山開始
12:45  下山(約6時間30分行動)
16:00  夕食
18:30  就寝

8月3日 晴れ -- 剱岳登山フリーチョイススケジュール -----
02:30  起床・朝食
04:00  雷鳥沢出発
05:50  別山乗越
06:20  剣沢キャンプ場
06:55  剣山荘
07:25  一服剣
08:30  前剣
09:45  カニのタテバイ(約10分待ち)
10:45  剣岳山頂・昼食(11:30出発)
14:30  剣山荘
15:10  剣沢キャンプ場
18:00  雷鳥沢着(約14時間行動)

8月4日 中雨→晴れときどき曇り -- 予備日休養/フリーチョイススケジュール -----
早朝雷雨、午前中いっぱい雨。午後から晴れときどき曇り。
午前中は各自テントで過ごす。韓国チームとの交流なども。
15:00  雷鳥沢ヒュッテにて温泉入浴。

8月5日 -- 下山・金沢見学など(日韓合同) -----
04:30  起床・テント撤収・朝食
07:00  キャンプ場出発
08:00  室堂ターミナル着(お土産タイム)
09:00  室堂ターミナル出発
13:00  兼六園(兼六亭にて昼食)
14:45  和菓子作り体験※お土産タイム(石川県観光物産館)
11:00  ショッピングモールで韓国側お土産タイム(富山内)  
17:30  旅館着(加賀:山代温泉白山菖蒲亭)
19:30  旅館夕食(打ち上げパーティー)

8月6日 -- 移動日 -----
06:50  朝食
08:00  旅館出発
15:30  小谷SA着・韓国との解散式
16:30  広島駅新幹線口着・解散

 <こども達の様子>

『彼らは前向きで強かった。そして新たな自信を得た。』

すべての事を自らの力で楽しみながら、本当に楽しい6日間を隊員全員がすごした。
10時間のバス移動、知らないたくさんの高校生や大人たち、はじめてのメインザックと中央山岳での長いテント生活、午前2時3時の起床とヘッドランプをつけての朝食や登山・・・。
はじめてのことばかりで不安もあるに違いないのに、彼らの目はきらきらとして、どんな時も楽しんでいた。前向きで強かった。

山登りではとにかく強かった。
「大丈夫だろうか」というこちらの不安をよそに、彼らは底なしの強さをみせた。この強さは一体どこから沸いてくるのか。
単純に「こどもは身が軽いから意外と強いのよね」などというレベルではない。立山はともかく、剣岳は一般道とはいえ普通のハイカーが気軽に登れる山ではない。鎖場を多く持つバリエーションに近い一般道で、しかも大人の足で往復12時間(雷鳥沢野営地からの時間。剣沢野営場からスタートするのが一般的)かかる。一服剣からは急峻な岩場の連続だ。
彼らは山が「好き」なのだ。「好き」と「楽しい」からくる底なしのパワーと集中力。
2007年からわんぱく登山部をはじめて、こども達が山にくりだしてから1年と半年。この前向きなパワーの源をあらためて実感することとなった。

さて、実際の剣岳登山では登頂後、さすがに「疲れた」という表情も見せ、頂上の360℃の素晴らしい眺望も楽しむ余裕はなかったようだ。「ここから帰るんか〜」「ヘリコプターで帰れたらいいのに」と目の前につきつけられた現実にがっくりきていた。
ここからが彼らにとって「本当のはじめての体験」でチャレンジだったのだ。
普段の例会山行なら、下山にかかる時間はたいてい1時間程度。登って万歳!のいけいけ登山で、下山が苦痛だったことはないし、下山の意味について考えさせたれたことはなかったはずだ。自分の足で帰らなければいけないという切実な下山の意味。7時間かけての登頂のあとの、下山のためのこれからの7時間。やらなければ帰れない。

1名が脱水症状でふらふらになりながらも、頑張って自分の足でキャンプ場へ帰った。
体調不良は気持ちもくじく。しかし結局は自分の足で帰らなければいけないという現実を受け入れたとき、彼は深呼吸して呼吸を整え、「よし。」とひと言、自分を奮い立たせた。先に帰着した韓国チームがキャンプ場の入り口で彼を待ち続け、拍手と大声援で出迎えた。
「なんか、24時間耐久レースやった気分・・・」と、彼は真っ青な顔でニッと笑った。

1日目からこども達は、高所での人間の体の反応を実体験し、自分の体を自分で管理していくことを覚えていった。自分で計画して用意した行動食を口にし、水をのみ、各自用意した750mlのナルゲンボトルにおしっこをして持ち帰った。持ち帰ったおしっこは、自分でトイレに流して処理し、洗浄方法を自分で考えてきれいに洗っておさめていた。
山岳用の狭いテントで寝起きし、起床時間になると自分達で起きてきた。2日目には自分達で荷物や靴を整理して出来るだけ快適にすごせるように工夫していた。どこから得た知識か、雨にそなえて自分達でテントの周りに溝をほった。そのうち溝ほりは土遊びにつながって、テントのうしろに大きな川の地図をかいて無邪気にあそんでいた。

韓国の人々との交流では、頑張ってあいさつや感謝の言葉を積極的にかけている女子部員の姿があり、向こうからも可愛がられて韓国の人々に大いに受けた。他の部員も、韓国の大人たちから飴やお菓子をもらったり食事に誘われたりと可愛がられ、彼らにとっても「楽しい」ものとして感じられたようだ。一緒に山に登り、見守られ、励まし励まされ、言葉を超えて楽しさや喜びを共有しあっていた。
下山後のショッピングモールはで、韓国の大人やお兄ちゃんお姉ちゃんたちについていって、彼らのお土産選びをお手伝いする姿もみられた。

 <安全管理>

「管理ポイント」
・事前勉強会を実施し、自分達の登山のイメージを出来るだけ具体的にする。自分のものにしておく。
・剣山荘以降、クライミングヘルメット着用。
・危険な事、それらを回避するための方法など、どんどん教えて実行させて。
 (水分の補給、行動食、歩き方、休憩など、それぞれの意味と知識、方法を。
  また登山を成功させるための自己管理の意味や方法についても。)

「インシデント」
状況:剣岳からの下山時、吐き気を訴える。歩みも遅くなる。
剣沢野営場からは嘔吐もあり、かなり疲労。帰着後、管理センターにつめている金沢大学医学部にお世話になったが、「ひどい状況ではないが、あきらかな脱水症状」と診断。血中酸素濃度は正常だった。
[支持された処置]吐き気・嘔吐があるので、ポカリスウェットを一口づつ、10分毎に摂取。おしっこが出るまで行う。
要因分析:天候がよく、気温も高かった。前日の立山の疲労も残っていたよう。また、水分、行動食ともに他の部員にくらべて摂取量が少なく、排尿量も全部で200mlちょっとと
少なかった。
今後の対策:カロリー計算をするなどして、行動食や水分など摂取したい具体的な量をしめしておきたい。
今回の場合、こども自身に行動食・水分と活動量の関係をしめす経験がなく、とらなければいけない量が「これくらいでいいだろう」という漠然としたイメージだった。時間があれば、行動食をとりながらの山行を事前におこなって準備ができたらよい。

 <評価・反省>

「運営」
事前勉強会の実施は、本番の登山遠征の成果において有効に働いたように思う。
雷鳥沢をベースに、3日間いろいろな登山を楽しむという形は、心身とも余裕ができてよかった。

「プログラム設定」
全体を通してねらい以上のものが提供できた。
当初は若干負荷が大きい感じもしたが、5名という人数設定、フィールド、共にちょうどよい設定になっていたと思う。また、こども自身、大人が思っていた以上に体力があり強かった。

彼らの漠然とした「本格的な山岳」に対する憧れを現実のものとするとき、剣岳はかなりリアルで強烈なインパクトを与えていたと感じる。ただし、リスクも大きい。
参加する小学生がすでに山が好きであること、体力があり自分で登ろうという意志があることや、その小学生と引率する大人との深い信頼関係、引率者の登山技術・判断力などの熟達度、こどもや他人への愛情など、さまざまな条件がそろってはじめてこども達に「やっぱり山って楽しい!」と感じてもらえると思う。また、それより以前に、こどもを預ける保護者とスタッフとの信頼関係が何より重要であると感じる。
登山のフィールドとして、剣岳は負荷ぎりぎりか。疲労が大きく「やったー!」というような山頂でのわかりやすい達成感はないが、リアルな達成感がある。(ただし一般的には小学生のフィールドとしてはお勧めできません。)
また6日間の天候がよかったことは、成功への大きな要因である。

日韓高校生の登山大会への参加という形も、また楽しいものだった。
趣味である登山を通じての国際交流は、とても強いきずなを結ぶことができる。共感できるものをすでに持ち寄った上での交流だから、気持ちがすでに通じている。主体的で、かつ横並びの対等な対人関係の上で行うことができ、青少年・成人ともに国際理解・異文化理解に有効であると感じる。

 <総合評価>

『やってよかった。行ってよかった。』

やってよかった。
こどもにとっても大人にとっても、本当に素晴らしい6日間、いや、募集から数えての素晴らしい約2ヶ月間だった。
この企画を思いつき、部員に募集をかけるまで、実現には半分半分な気持ちだった。希望者が出ない可能性も大いに考えられたからだ。出なければ出ないでもいい。とにかく聞いてみよう。そこに5名が名乗りをあげた。本気で腹をくくった。そしてハイリスクはハイリターンにつながった。

わんぱく登山部「国際交流隊」の交流登山への参加は、こども達だけでなく大会自体に大きなインパクトとインスピレーションを提供することができたとも感じる。
韓国チームは広島の小学生登山部の誕生を大いに喜んだ。広島県の高校登山部には、わんぱく登山部に部員獲得のヒントをさがして注目する人もいた。多くの高校登山部員が危険な剣岳登山を活動からはずす中、「小学生が剣岳に登ろうとしている」姿を見て、「僕は行ってみたい」と先生を説得し、一人わんぱく登山部への合流を申し出た高校登山部リーダーがいた。

韓国、広島ともに、私達が「本当の楽しいと好き」を追求して楽しく活動する姿を実際にみてもらいアピールすることができたことは、何かの一歩を踏み出せた手ごたえがある。「最後は高校生同士が結構交流していた。これまであまり見られなかったこと。こどもたちが良い刺激になっていたのでは」と教えてくれた人がいた。わんぱく登山部がただ小学生のためだけでなく、その活動を通して、さまざまな分野・世代の人びとに、今と未来を楽しく元気に生きるヒントを見いだせる場になっていくことができたら素晴らしいと思う。

また、保護者の方たちも大きな不安・心配を抱える中、こども達と一緒に準備をしながらとても楽しそうな様子だった。「私が行きたい」という言葉も何人かから聞こえてきた。
しかし、連れていく私たちも背負ったリスクを痛いほど感じていたが、保護者の方たちの心配はそれ以上だったろうと思わずにいられない。「心配で心配で・・・」と思わずもれるその言葉に、親というものはこんなにもこどもへの愛情にいちずなのだと、預かるものの重さを感じずにはいられなかった。

さて、5名の部員たち。
これまでの漠然とした本格的な山への憧れを、自分たちの手で実際のものとすることができた。そんな自己効力感、大きな自信はもとより、とてもリアルな世界を体験し、その楽しさを知ったのではと思う。いつもの「山遊び」の活動から一歩踏み出した、現実をつきつけられる中での山登り。ぬきさしならない状況の中で、なんとかその場をきりぬけようと間違いなく自分自身が頑張った。今回はそんな「リアルな自分とリアルな自然を感じる」楽しさをも提供できたのではないかと思う。

「ヘリコプターでキャンプ場まで帰りたい」といった時、彼らの中にはまだ「リセット」出来るのでは、という感覚をもつ者もいたはずだ。ゲームなら電源をoffにして苦しい場を「無かったこと」にすることが出来る。でも、この山登りは強烈に「自分でなんとかするしかない」現実と「ゆるぎない本物の世界」をつきつけていた。
そして、彼らはそんな苦しい場も含めて、今回の遠征登山をやりきった自分を肯定的に受け止めて帰ることができている。

国際交流隊の隊員たちは、遠征後、雰囲気が変わった。
わんぱく登山部の中でも、ちょっと雰囲気が違う。つきなみな言い方だが、なんだか「しっかりしている」のだ。それになんだか、秘密のすごい体験の共有者のような、変な感じである。
私自身も、こんなに楽しかった登山は他にない。

 <隊員の報告>

『全部をおえて・・・今、思うこと』

交流登山に参加することが決まって、まだまだ先だと思っていたけど、あっという間に8月1日になってしまいました。
うれしかったけど、気持ちがそわそわしました。
実は出発の前の夜からいきたくないな、という気分だったけど、小谷(こだに)で韓国の人がやさしく声をかけてくれたり、手をつないでくれたりしたので少しホッとしました。

立山は楽勝でした。剣岳は思っていたより遠くてつらかったです。
でも岩をくさりやボルトでのぼれたので楽しかったです。とちゅうですごく頭がいたかったけど、やけくそでがんばりました。剣岳を行って帰ることができて、自分でもすごい!!と思いました。
朝早起きしても、あまりつらくなかったです。行く前に、早起きしたり1時間歩くトレーニングをしていたのがよかったのかな、と思いました。

今回の交流登山に参加して韓国の人と仲よくなれたこと、三千メートルきゅうの山に登れたこと、自分のげん界までがんばれたことがよかったです。次は、韓国に行って韓国の高い山に登ってみたいです。
やさしくしてくれた韓国のオッパ(お兄ちゃん)、オンニ(お姉ちゃん)、ソンセンニン(先生)にまた会いたいです。

ああ〜行ってよかった!



わんぱく登山部 実施レポート(1)
わんぱく登山部 実施レポート(2)
わんぱく登山部 実施レポート(3)
わんぱく登山部 実施レポート(4)
わんぱく登山部 実施レポート(5)
わんぱく登山部 実施レポート(6)
わんぱく登山部 実施レポート(7)
わんぱく登山部 実施レポート(8)
わんぱく登山部 実施レポート(9)

■別年度のレポート
2007年度 わんぱく登山部 実施レポート

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