NO団体名主な企画内容
47 広島県山岳連盟(広島県) 「わんぱく登山部」
山登りや沢登りを通して、子どもたちに「楽しい」「好き」といった気持ちの原体験を提供する。同時に登山の活性化や「山行中の屎尿の持ち帰り」を広報し、社会に提言する活動もおこなう。

「わんぱく登山部」 夏の大チャレンジ! [8/21-23]

日  時:
場  所:
 
参加者:
2008年8月21日(木)〜23日(土) 曇り時々晴れ(冬のような寒さ!)
広島県山県郡安芸太田町 恐羅漢、牛小屋谷エコロジーキャンプ場、横川(よこごう)、
奥三段峡〜恐羅漢山(標高1346m・県内最高峰)、那須出合い
部員12名(小学校3〜6年生 男子5名、女子7名)、スタッフ6名
 <活動のねらい>

・探検的・冒険的な大きなあそびの楽しさ・達成感
・遊び込む・遊びきる機会の提供
・部員同士の認知と班固め

 <活動内容>

わんぱく登山部の夏合宿。
沢登りと山登りの縦走チャレンジをメインに、暑い夏の中を上手に山遊び(川遊びや沢りなど)で遊びきろう、という「夏のキャンプ」を期待したが、寒気が降りて全体的に肌寒い中での実施となった。
気温が低く寒いため、川遊びなども「水遊びを思いっきり楽しむ」とまではいかなかった。
また、2日目は夕方から冷たい雨と風。冬のような寒さの一夜を過ごした。

2日目のメインの活動は「やりきりたい」という気持ちの中で、予定より1時間早い快走タイムで縦走を成功させた。
また、今回から「し尿の持ち帰り」を携帯トイレで行っていたが、ポリカーボネート製ボトルの使用に移行した。
こども達が各自マイボトルを用意、それぞれ持ち帰った。

 <タイムスケジュール>

8月9日 -- 横川(よこごう)での沢遊び・キャンプ地入り -----
08:30  横川出発
10:00  横川でちょこっと沢遊び
11:30  キャンプ地到着・昼食(お弁当)
18:00  夕食
20:00  明日の活動にむけてミーティング
20:30  就寝

8月22日 -- 奥三段峡〜恐羅漢山チャレンジ -----
05:30  起床・準備・朝食
06:30  装備付け
07:00  キャンプ地出発(バス移動)
07:40  奥三段峡〜恐羅漢へスタート!
12:00  奥三段峡を抜ける(林道出会い)
       ※昼食はパンやスープなどの行動食
14:00  台所原手前の広場
15:00  恐羅漢山山頂
16:00  下山(キャンプ場門前)※約8時間
18:00  夕食
20:00  就寝

8月23日 -- 予備日・休養日 -----
07:00  起床
08:00  朝食・撤収
11:00  昼食
12:00  キャンプ場出発
13:00  那須集落の川到着・川遊び
14:30  出発
16:00  横川駅到着

 <運営ポイント>

2日目縦走について:地図や自分達の体験をもとに前日にチャレンジの説明と会議。
どれくらいの頑張りが必要なのか、どんな風にすれば自分達で成功させられるかなど、2日目のチャレンジのイメージを。

 <こども達の様子>

3日間をへて、自分の班の仲間に興味を持ち、認知し始めた、という感じ。
山のぼりなどの活動そのものよりも、生活を通して自分自身や対人関係での心の揺れの方が、この班を構成するメンバーにとって特に重要な課題だった。3日間の中でそれぞれ自分がどう働きかけたらうまくやっていけるのか、どうしたら楽しくできるのかと試行錯誤しながら、なんとなく光がみえてきたような、そんな感じである。

1日目はこども達の中で「どうやって遊んだらよいのかわからない」という状態が続いた。
「遊び方」がわからず途方に暮れている。「なにをしたらいいの?」と大人に聞いてくる。女子はキッチンの大人から離れようとしなかった。自分で遊べない。大人がひっぱってくれないと出来ない。そういったことが4月からこの班に内在していた全体的な課題だったのだが、ここにきてこども自身にも、ようやく目の前の自分自身の課題として現れた、という感じであった。

遊び始めてもバラバラで続かない。調整役やリーダー役がいない。つまらない顔をしている。
「こんなことならトランプを持ってくればよかった〜」との言葉も。
それでも、「楽しくやりたい」「何かやりたい」という欲求を糧に、楽しい時間を目指していろいろなことを試していく姿が見られた。行き詰って立ち止まる状態も何度かあったが、ようやく日の終わりに男子女子ともにまじりあって遊ぶ状況が生まれてきていた。

2日目の大きな活動では1班への対抗意識も手伝って、予定より1時間はやいゴールを迎えた。
ばらばらだった班のメンバーだったが、しんどさや達成感の共有も彼らの心を少し開放させた感があった。

 <新たな取り組み・屎尿の持ち帰りについて>

わんぱく登山部では山行中のし尿の全面持ち帰りを行っています。
活動の実施にあたっては各回約20人の山行であることや、他にも多くの登山者が入ることを考えると
そのし尿の量は無視できないものがありました。
特に里山などは、そのふもとに住む人々の水源にもなっている生活の場でもあります。
これまでは携帯トイレを使用し大人がすべて担ぎ下ろしていました。しかし、いくつかの理由により 携帯トイレからポリカーボネート製のボトル(ナルゲン社のキャップがつかってある)の使用に切り替えることにしました。

携帯トイレ(山で使用する場合)について私たちが感じる課題点は・・・
・やわらかいため形がたもてず、特に女子に使いにくさがある。ジッパーが閉めづらい。
・使いにくさによって排尿に積極的になれなくなる
・多量のゴミになる。経費がかかる。
・臭いを消すとうたっているが、完全には消せない。臭いの漏れがある。
などがあります。

また、こども達には「人が持って帰ってくれるならするけど、自分で持って帰るならしない。汚い。おしっこを我慢する。」などの姿がみられ、道義的な問題もありました。

ポリカーボネート製ボトル(ナルゲンボトル)については・・・
・形が固定されているため、使いやすい。
・おしっこの処理が簡単(トイレに流すだけ)。ゴミが出ない。
・洗って何度でも使える。メンテナンスが簡単。
・臭いがもれない。高性能のキャップで尿がもれない。
と、利点が多いのが特徴です。

難点は「かさばり」ですが、モンベル社が出している750ml広口タイプを使用することによって、この課題はある程度軽減されます。(日帰りで1Lタイプはちょっと大きい)このモンベル社製の750mlは、1Lと同じ大きさの広口です。(500ml容量のボトルは口がひとまわり小さくなり、特に女子には不向きです)
なお、ポリカーボネート製ボトル(ナルゲンボトル)を使ってのし尿の持ち帰りは、ヒマラヤ遠征などを行う登山隊ではすでに行われている、ごく一般的な方法です。

また、こどもが自分の「おしっこボトル」を持つことによって愛着が生まれます。
おしっこをすることを厭わなくなり、興味をもち、肯定的にとらえていく姿が見られました。
この問題に関しては常に不安を抱かざる得ない女の子達についても「ボトルの方がしやすい!」と驚きと賛同の声が上がりました。

ただし、これらの実施には保護者の理解と協力がなにより不可欠でした。
今回、この「おしっこボトル」の実施にあたってはあらかじめ理由を説明しご意見を伺いました。
最終的にすべての方の賛同を得ることができ、実施に踏み切ることができました。

 <安全管理>

「管理ポイント・2日目縦走」
・装備の正しい装着
・飲み水や行動食の計画・バックアップ車の配備
・こども達へ、再度危険についてのインフォメーションをし、心構えを

「インシデント」
・特になし

 <評価・反省>

「運営」
物理的な運営は円滑に行われた。
ねらいに向けての運営についてはこどもの状態と大人の働きかけ方が少しずれたように思う。
もう少し、大人との関係作りに加重をおいても良かった。

「プログラム設定」
冒険的・探検的な遊びと達成感については成果あり。負荷もちょうど良い。
遊びこむ・遊びきるについては今一歩。天候などの自然環境の状態と、こちらの班内部の状態の読みのずれが要因と考える。
21日から23日にかけて寒気が入ってきており、全日程、夕方から冬のような寒さ。日中も期待したほど気温があがらず、1日目や3日目の沢・川遊びは思い切り楽しめるものにはならなかった。

また、思ったより班の凝縮ができておらず、アイスブレイキングに1日目を費やした感じ。
気温をもう少し見極めて活動をハイキングなど身体の暖まるものに変更してもよかった。
4月から入れ替わり立ち代り欠席が多い班。
今回もキーマンとなるこどもが、軒並み欠席もしくは1班への合流をしてしまっていて
グループの雰囲気を作れそうな人間を欠いた状態であった。

 <総合評価>

3日間を通して、こども自身も班の状態がわかってきて愛着も沸いてきた、という感じ。
2泊3日のキャンプというのは、こどもにとって長く、大人にとっても大変だけれど、やっぱり大事だなあと感じた今回の活動だった。

ちょっと言葉が乱暴でわがままな友達が、夜「お母さんに会いたい」「さびしい」とテントで大泣きをする。
やりにくい子だな、と思っていた友達だったけれど、秘めていた自分の気持ちと同じだったことを知ってなんだか共感してしまう場面。
心をガードしていたこどもが、みんなに励まされ受け入れられる経験をして、本当の気持ちを出し始める瞬間。
安心して自分を出しはじめる瞬間。周りを感じて前に進む瞬間。

自分たちで徒党を組んでいろんな気持ちを共有しながら未知の世界を探検しよう!という楽しさまでは行かなかったけれど、
3日間を通して、人間関係の少々しんどい思いをしながら、他人と一緒に遊ぶことの楽しさや気持ちよさが提供できたと感じる。

もっと彼らがリラックスして自分を出し、遊びに打ち込める、そんな時間を目指して次回につなげていきたい。



わんぱく登山部 実施レポート(1)
わんぱく登山部 実施レポート(2)
わんぱく登山部 実施レポート(3)
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わんぱく登山部 実施レポート(5)
わんぱく登山部 実施レポート(6)
わんぱく登山部 実施レポート(7)
わんぱく登山部 実施レポート(8)
わんぱく登山部 実施レポート(9)

■別年度のレポート
2007年度 わんぱく登山部 実施レポート

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