NO団体名主な企画内容
17 NPO法人 里豊夢わかさ(福井県) 「自然と共にある体験活動 ~里地里山の自然に触れ、遊びと学びのある活動を通して生きる力・人間力を育む~」
型にはめることなく、子どもたちのペースで里山の自然を楽しみ、充実感を味わう活動を目指す。自然の中での異年齢集団による活動を通して、思いやりや知恵の伝承など「子ども文化」を醸成し、たくましく生きる力を育む。

速報レポート2 「田植え」と「サツマイモの苗植え」

活動日:2023年5月3日(水)
活動場所:福井県若狭町能登野区地係 里地里山「のとのの里」
       能登野区内の田んぼと畑
参加人数: 小中学生 8人 / 大人 25人 / 指導者 7人 / 合計40人
活動内容

 田植えとサツマイモの苗植えの農業体験活動で、いずれも秋の収穫体験活動と連動した体験活動である。サツマイモの苗植えは10年以上継続している活動であるが、田植えは13年ぶりに行う活動で、当初の活動計画には入っていなかったが前年度の最終体験活動時に子どもたちから田植えと稲刈りの要望があり、農家や地域と営農関係団体と交渉を重ね、4月に入りようやく地域の協力を得て実施が決定した活動である。里豊夢わかさから要望した田植えの活動は、「田植え枠」を使用することと人力による田植えであること、さらに、稲刈りは鎌で行うことと刈った稲は天日干しのハサ掛けを行うということで、すべて快く引き受けてもらった。
(1) 田植え
 地域で昨年設立された能登野棚田クラブの協力を得て田植えを実施することとなった。先人の田植えに学ぶ活動で、稲の苗は、福井県の新ブランド米「いちほまれ」である。
 田んぼに入るのが初めての子どもたちで、抵抗があるのではと思っていたが、靴下を履いたせいかすんなりと入り、苗を小分けにしては土の中に差し込んでいく活動を抵抗なく行っていた。
 気温が高く、まだ、暑さに体が慣れていないなかでの活動で、しかも、ほとんどの子どもがマスクを外さずに参加していたため、田んぼに入る前と休憩時にしっかり水分補給を行った。
 この活動は、秋の稲刈り、ハサ掛け(天日干し)、収穫感謝祭につながる活動である。
 今回初めて能登野棚田クラブが協力団体として12名参加  ラオスの木工技能実習生5名の参加も得た。


「田植え枠」を転がして、苗を植える位置を印す体験を行っている子ども。枠で付けた後を踏まないように、また曲がらないようにと慎重に指導者に合わせて転がしていく、緊張する活動である。

苗の小分けの方法や持ち方、どこまで土の中に入れるかなどを習ったあと、田植え枠で作られた線の交点に苗を丁寧に植えていた。話し声も消え、みんな黙々と植えている。

苗がなくなると、大きな声とゼスチャーでアピール。すると的確に苗が飛んでくる。それを見事にキャッチ。初体験とは思えない、息の合ったコンビネーションである。


どこかおかしい? スタートは横一列で植えていたが大きく乱れてきた。前向きっで3か所ずつ苗を植えながら前進するはずが、横向きに植えている子が4名も出てきた。先頭の子は、一列しか植えていないため、植え終えた後、みんなでカバーすることとなった。

田植えが終わると、田植え機に乗せてもらい、現代版田植えの効率の良さを学んだ。

苗植えを終えると、子どもたちは、田んぼの周囲にいる生き物に興味津々で、カエルやイモリを捕まえていた。昆虫や小動物が嫌いという子どもが増えている中、田舎の子の野性的な逞しい姿に出会えた。田んぼの土で泥団子づくりに挑戦している子もいた。

(2) 昼食
 昔、田植え後、田んぼのわきでゴザを敷き、おにぎりを頬張ったことが懐かしく、再現を考えていたが、手洗いの水と着替えなどの関係でのとのの里のいつもの場所で昼食をとった。メニューは、おにぎりとスープ、ゆで卵、お漬物とシンプルであるが非常においしくいただいていた。お米と卵は、能登野棚田クラブからの差し入れである。


結構大きなおにぎりであるが、食欲旺盛な子どもたちは3個も食べていた。よく働き、よく食べるである。

ラオスの研修生たちも地域の方、スタッフと一緒におにぎりを頬張っていた。やはり、日本のお米はおいしいと評判が良かった。

(3) サツマイモの苗植え
 サツマイモの苗植えは、食の大切さと自然に持つ力ついて関心を高める活動として、活動当初から取り組んでいる。かつては農繁期に限らず子どもたちが田畑に出て農作業を手伝っている姿はよく見かけたが、近年そのような姿を見かけることはない。このような時代、子どもたちが土に触り、その土が自分たちの命・体を育む大切な食糧を育てていることを学ぶことは大切なことと考え、月一回の活動でも生育に問題がないサツマイモ栽培に取り組んでいる。植えるサツマイモの苗には根は全くないことや風を意識して植える方向を決めるなど植物の生命力や土の力など自然の力を学ぶ場としても活用している。
 今年度は鳴門金時の苗200本を植え、秋の収穫、1月末までの体験活動時に焼き芋づくりなどの食の活動に繋がっている。


およそ30㎝間隔でマルチに穴をあけ、山からの吹きおろす風の向きを考え、一定方向の斜め植えを行っている。苗を棒の先にかけ、土の中へ押し込み、風で飛ばされないように植えたところに全体重をかけるように両手で押さえる。

植えた苗1本1本に水をやっていく。水やりは毎日できないため、たっぷり与えている。

子どもたちの感想

  • 最初田んぼに入るのが怖かったが、みんなと一緒に入ったら何ともなかった。ただ、足を動かすのが大変なときもあり、こけそうになった時もあった。昔の人は、たくさんの田んぼでこのように手で植えていたので大変な作業だったと思った。これだけでも昔の人の苦労がわかった。
  • 枠の転がしを初めて行ったが、二人が同じリズムで、同じ力で回していかないと曲がってしまうので、大変難しかった。時々止まって直されたが、終わったとき、上手にできたとほめてもらったのがうれしかった。
  • いつも食べているお米が、こんな苗が成長してできることが不思議に思った。こんなのを見つけた昔の人はえらいなあと思った。
  • ラオスでは苗植えはあるのかなど聞きたかったが、ちょっと近づけなかった。秋の稲刈りも参加すると聞かされたので、その時は、米作りのことやいろいろなことを聞きたい。
  • いもの苗を2本もらったのでプランターで育てたいと思う。水をあまりやらないことや肥料もやらないことなど教えてもらったことを守って育てたい。結果を報告します。

活動の様子の一部は、MMネットで放映された。(開始6分47秒後から)
https://www.mmnet-ai.ne.jp/lineup/vPENV6L02URKJGE8Q



速報レポート1 「春の自然を親しむ」
速報レポート2 「田植え」と「サツマイモの苗植え」
速報レポート3 「森のSDGs」
速報レポート4 川あそび
速報レポート5 稲刈り

■別年度のレポート
2021年度 「自然の中で生きる力を育む体験活動」 ~里山の自然に触れ、遊びと本物の体験を通して生きる力を育む~ 実施レポート

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