NO団体名主な企画内容
17 NPO法人 里豊夢わかさ(福井県) 「自然と共にある体験活動 ~里地里山の自然に触れ、遊びと学びのある活動を通して生きる力・人間力を育む~」
型にはめることなく、子どもたちのペースで里山の自然を楽しみ、充実感を味わう活動を目指す。自然の中での異年齢集団による活動を通して、思いやりや知恵の伝承など「子ども文化」を醸成し、たくましく生きる力を育む。

速報レポート5 稲刈り

活動日:2023年8月27日(日)
活動場所:福井県若狭町能登野区地係 里地里山「のとのの里
能登野地区 棚田
参加人数: 小中学生 5人 / 大人 18人 / 幼児 3人/ 指導者 7人 / 合計33人
活動内容

 5月3日実施した田植えに連動した稲の収穫体験である。この活動は9月17日に実施する計画を立てていたが異常気象ともいえる連日の高温で、例年より生育が早く、協力団体である能登野棚田倶楽部から8月27日か9月3日のどちらかしたいと連絡を受け、田植えに参加した家族やスタッフ等との相談の結果8月27日に実施することとなった。ただ活動日前に町内で小学生のコロナ感染者が出てきたため、田植え参加者のうちその小学校からの参加者はゼロとなり、参加者は少なかった。
 活動内容は、午前中に稲刈りを行い、昼食時焼きそばを作り、午後から刈り取った稲を束ねって運搬し、ハサ掛けを行うとしていた。しかし、活動日当日の朝、10日以上連続の「熱中症危険アラート」が発令されたため、子どもたちの様子を見ながら活動内容の変更・カットなどを行うことを申し合わせ体験活動に臨んだ。特に、子どもの様子をみて声掛けを専門に行うスタッフを置き、こまめに休憩をとることと水分補給を徹底して活動を行った。
 危惧していた通り、子どもたちの活動量は落ち、疲労度が高くなってきたため、鎌で刈る範囲を狭め、刈り取りの時間を短くし、後は小型のコンバインで刈ることとした。また、活動の途中で、昼食のために里山まで行き来することは、子どもたちの疲労度を考えると負担が大きいため、活動量を少なくし、ハサ掛けの活動まで一通りの活動体験を午前中に済ませることとした。

(1) 稲刈り
 春に植えた稲の刈り取り活動である。指導を受けた稲に鎌を入れる場所や鎌との距離を考えて稲を握る場所を決め、慎重に稲刈りに挑戦していた。子どもたちはコツをつかむのが早く、手際よく刈り取っていた。切り取った3株で小さな一束を作り、その上に同じように切り取った一束をやや斜めに交わるように置き、ハサ掛け一束分を作っていた。
 高温の中でのしゃがんだ状態での稲刈り活動は、予想以上に子どもたちの気力と体力を奪い、頻繁に休憩を取らざる得ない状況であった。30分おきに木陰で一斉休憩であったが、稲刈り活動時間が30分間持たず、15分程度にした。逆に休憩時間は10分から20分へと増やしていった。やはり暑さにスタミナが奪われている様で休憩時の会話が全くなくなっていった。35℃ほどの炎天下で、しかも無風状態の活動は、問題があった。休憩時の会話も笑顔もなく、求めていた「収穫の喜びを体験する活動」とかけ離れた活動となったことは残念である。


刈り取り開始前に、田植えに引き続いて参加してくれたラオスの研修生のお手本を見せてもらった。ラオスでは現在でも稲作は手作業で行われているそうで、稲刈りは子どもの頃から手伝っていたというだけあって無駄のない手さばきを披露してくれた。

子どもたちも稲刈り活動開始。活動前の注意事項で「過去の経験では鎌で小指を切る怪我が最も多い」と聞かされ、稲の握る場所と鎌を入れる場所を確認しあいながら鎌入れスタート。

ものの2~3分後には、見事な鎌さばきで稲を手早くスパッと刈り取っている。のこぎりの使い方と同じで引く力で刈り取る方法を会得したようである。

(2) 刈り取った稲の束ねと運搬
 刈り取った稲を「ハサ掛け」するために束ねて、ハサ掛けの場所まで運搬する活動である。束ねる活動は以前の稲刈りの際、昔の方法を真似て藁を使って束ねたが強く結んでも持ち上げるとずり落ちることが多かったため、今回は麻ひもを利用した。子どもたちはくいこむほど強く結んでいいため、稲を持ち上げた際にすり落ちるなどの失敗例はゼロであった。


刈り取った6株分稲をハサ掛けできるよう麻ひもで強く結び束を作っている。

束ねた稲を集めて一輪車に積み込んでいる幼児たち。この3名が一番元気に稲束集めに活躍してくれていた。

木陰でしばしの休憩。高温、炎天下の活動は子どもたちだけでなく大人にも相当なダメージを与えていた。まず、水分を、しっかり補給。会話はほとんどなく、静かに体のクールダウンと体力の回復の時間でもある 。

(3) ハサ掛け
 能登野棚田倶楽部にお願いしたことの一つに昔の田園風景である刈り取った稲を天日干しする「ハサ掛け」がある。天日干しのコメの品質は、乾燥機使用よりもはるかに良いということもあるが、自然の力を利用した昔の知恵を学ぶ場でもある。


ハサ掛けの下の段を子どもたちが中心になって受け持ち、稲束をほぼ等分にいてハサに掛けていく。隙間がないよう掛け終えると押し詰めて、次の子どもへバトンタッチ。

ハサ掛けの高い段は背の高い大人が掛けてハサ掛け終了。稲刈り前3週間以上全く雨に当たっていないため、この天日干しも数日で十分であるとのこと。脱穀・精米されたお米が届くのが楽しみである。

(4) 焼きそばづくり(昼食)
 昼食づくりは、稲刈り活動後に引き続いて行う活動であるため、負担が少なく、しかも手っ取り早い鉄板焼きそば作りを行った。スタッフ2名が、稲刈り活動を中抜けし、のとのの里の「憩いの広場」で火をおこして、焼きそばづくりの準備をしてくれた。疲れた体ではあるが、子どもたちは冷たい水で顔や手を洗った後、休む間もなく焼きそばつくりに取り掛かってくれた。


何度か休憩をとったため稲刈り活動が予定の時間をオーバーし、遅い昼食になってしまった。のとのの里へ足を引きずるように登ってきたが、冷たい水で何度も顔や腕・手を洗い、スキっとした表情でやきそばづくりに臨んでいた。全員初めての体験であるが、そばをほぐしたり、野菜の混ぜ方など手馴れている。

十分すぎる量の焼きそばを準備したが、子どもはお代わりをするなか、大人のお代わりはなく、疲労で食欲が落ちているようであった。子どもたちの回復力の速さを羨んでいた。

子どもたちの感想:反省会の発表から

  • 稲刈りは、楽しみにしていたが、難しかった。先生からノコギリと一緒と言われ、引くときに力入れるとザクっときれいに切れた。暑いため刈る時間が短くなったのが残念でした。
  • 頑張りました。休むと動くのが嫌になり、陰のところにずっと居りたかったが、みんな頑張っていたので、一緒に、最後までやった。
  • 稲刈りはあまり上手にできなかったが、ハサ掛けはがんばってたくさんできた。後の方は、背が高いので掛け役になって渡してもらったのをかけていった。



速報レポート1 「春の自然を親しむ」
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速報レポート4 川あそび
速報レポート5 稲刈り

■別年度のレポート
2021年度 「自然の中で生きる力を育む体験活動」 ~里山の自然に触れ、遊びと本物の体験を通して生きる力を育む~ 実施レポート

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