NO団体名主な企画内容
22 尾鷲市立矢浜(やのはま)小学校(三重県) 「僕らのあそび場づくり ~そと育・みらい育・おわせ行く~」
子どもたちが主体的に自然で遊ぶ能力を培いながら、郷土を学ぶ。地域の民官の団体と連携し、様々なフィールドで活動する機会を創出。自然と親しみながら、自然のリスクも学び、人として「生きる力」「生きぬく力」を身につけるなどを目的にした活動。

速報レポート5 【海育】イカダの組み立てと冒険(2)

活動日: 2023年 9月 14日(木)
活動場所: 尾鷲市 大字向井 黒の浜
参加人数: 小中学生   11人 / 大人  9 人 / 指導者  1 人 / 合計 21人
活動内容

~①イカダの出航と大冒険~
 12日の活動に引き続き、第4回の活動の後半として、前回作成したイカダに乗る体験と、矢ノ川河口付近で淡水と海水が混ざり合う際に、シロップのような揺らめきがみえる場所である「ユラユラ帯」の観察を行いました。今回も、これまでと同様に1回目にもらったつなぎを着用して行いました。

 学校から黒の浜に移動した後、前回の川育と同様に、「浮くっしょん」という水辺でのアクティビティにも活用できるライフジャケットを着用し、熱中症対策として体を冷やす目的で、「水慣れ」を行いました。その後、森田さんから「もしも、おぼれてしまった場合は、どうするんやったかな。」と質問され、子どもたちは「大声で助けを呼ぶ。」、「ライフセーバーさんを呼ぶ。」など、3回目の川での活動を思い出して、どう行動すればよいかを話し合いました。子どもたちは意見をまとめて、「浮いて待つ。」ということを全体で確認しました。

 そして、あらかじめ黒の浜に運び込まれていたイカダを浜まで運び、水の上に浮かべました。浮いているイカダを見た子どもたちは「すごいな!本当に浮いた!」、「ちゃんと乗れる!」と大喜びしながら、乗り込んでいきました。はじめは、波の影響で左右にユラユラと動いているため、中々全員が乗ることができませんでしたが、「反対側と一緒に、順番に乗ろ!」、「前から乗るから、後ろの人はイカダを持っといて!」など、どうすれば乗れるかを考え、試行錯誤しながら全員でイカダに乗って、出航しました。乗った後の子どもたちの表情からは、イカダに乗れた喜びと、左右に傾くイカダへの驚きが見てとれました。

 イカダに乗りこんでからは、矢ノ川を遡っていきました。風や水の流れでイカダが流されてしまうので、なんとか進めようと必死にオールで漕ぎました。しかし、オールを使った経験がほとんどなかったので、うまく漕ぐことができず、イカダの進む向きも不安定な状態で、「え、どうやって進むん。」、「戻ってる!」と子どもたちも不安そうに口にしていました。そんな中、しばらく漕いでいると、「今、右の人が漕いで左に曲がってるから、次は左の人漕いで!」、「真ん中でイカダの向きを調節するわ!」と、徐々にイカダを操縦するコツがつかめてきた子もいました。また、バラバラに漕ぐのではなく、掛け声を合わせながら漕ぐタイミングを合わせようとするグループもありました。

 このように試行錯誤することで、徐々にイカダがまっすぐ進むようになり、「あの浜からスタートしたのに、もうめっちゃ離れてる!」、「周りの景色もちょっと変わってきた!」と、子どもたちも喜びながらイカダを進めていました。目的地の砂浜までは、他のグループに負けないように懸命に漕ぎ、競争のようになりながら、全てのグループが砂浜までたどり着くことができました。


自分たちが作ったイカダでいざ出航!

~②「ユラユラ帯」の観察~
 川で遊んだりイカダを修理したりした後、「ユラユラ帯」の観察をしました。森田さんからの「ここは川ですか、海ですか。」という質問に対して、「川。」「海。」「川と海の境目。」と、子どもたちがそれぞれの考えを発表していました。続いて、「じゃあ、川と海で水が温かいのはどっちかな。」と質問され、「川じゃない。」「海かな。」「わからん。」と自信なさげに子どもたちは答えていました。子どもたちの答えを聞いた後、森田さんから「じゃあ、実際になめてみて確かめてみよう。」と言われ、水面付近の水をなめてみたところ、「普通の水やな。」、「しょっぱくはないかな。」と言う一方で、底の水を汲み取ってなめてみると、「しょっぱい!」、「うわ、これ海水や!」と言っていました。このことから、「底の方がしょっぱいから海や!」、「上は川で、下は海になってるから、上下で海と川は分かれてる!」と、川と海の水の境目について実体験を通して理解することができました。


なめてみたらしょっぱかったです。

 また、「だから、底の方がちょっと温かいんやな。」という子どもの発言があり、それを聞いた子どもたちも「本当や!」、「たしかに、足の方が温かいよな!」と話していました。最後に、森田さんから、「じゃあ、温かいのは、川と海どっちかな。」と再度質問されると、子どもたちは「海!」と自信を持って答えられていました。また、箱めがねを使って、足元の様子を観察すると、水がシロップのようにユラユラしている様子が見られ、これが海と川の水が交じり合っている「ユラユラ帯」と呼ばれる汽水域という場所であることを森田さんに説明してもらい、味覚的にも視覚的も「ユラユラ帯」を体験することができました。観察が終わった後、黒の浜に戻る中では、「さっきのところよりも足元が冷たいから、ここにはユラユラ帯はないんやな。」と、さらに深く考える子どももいました。


箱めがねで観察!ユラユラしているのが見えました。

~③帰り道~
矢ノ川の砂浜から黒の浜へ戻る前に、それぞれのイカダの上で集合写真を撮りました。イカダを漕いで疲れも見られましたが、子どもたちの表情からは達成感が感じられました。また、自分が漕いできたイカダの上で、一緒に漕いだ子ども同士で集まってポーズをとっていたり、話したりしており、イカダに対する愛着やグループの結束が強くなったことが感じられました。


全員でポーズして記念撮影!

 イカダで黒の浜に帰る前に、森田さんから「川の流れを見て、どこで漕ぐかを考えると楽に進めるよ。」とアドバイスをもらい、川の流れを見てみると手前側は川から海への流れになっているのに対して、奥側は海から川への流れになっていることがわかりました。そこで、「手前側の方が楽に進める。」とグループで考え、黒の浜へ戻っていきました。往路の疲れや逆風などもあって中々進まないこともありましたが、森田さんや藪漕ぎ隊の方々に手伝ってもらいながら、黒の浜を目指して進んでいきました。

 道中では、波の影響で丸太を結んでいたロープが緩んでいき、1つのイカダが分解しそうになっていましたが、そのグループの子どもたちは「壊れる!壊れる!」と叫びながらも、オールや手で水を漕ぐなどして、大人の手も借りながら、自分たちで黒の浜までイカダを進めていました。他のグループも含めて、何とか全てのグループが到着して、黒の浜まで戻ってくると、「ぼくらのイカダ、分解してった。」「すごいことになってたよ!」と子ども同士で笑いながら話しており、そういったハプニングも含めて、忘れられない楽しい思い出になったのではないかと思いました。


イカダがバラバラになりながらなんとか到着。

 その後、木と浮きを結んでいたロープをほどいて木をトラックに運ぶなどの片づけをして、学校に戻りました。この木は第6回以降の木育で使う予定です。最後に、子どもたちがこの活動で分かったことや感想を書く、ふりかえりシートへの記入を、宿題にして終了しました。

子どもたちの感想

  • 尾鷲の海はとてもきれいでしたが、ごみが捨ててあるところもありました。なぜ海や川にゴミを捨てるのか、とても不思議でした。
  • イカダは無事に浮きましたが、バランスをとるのが難しかったです。
  • イカダが浮いていることや、川の流れなどの景色がきれいで楽しかったです。
  • 水が下の方が温かくて塩が濃かった。上の方が塩がうすかった。つまり、下が海で、上が川になっていることがわかった。
  • ユラユラ帯が見えた。本当にゆらゆらしていた。
  • イカダはみんなで漕がないと進まないことが分かりました。
  • がんばってイカダを作ったけど、浮きが外れてしまったので、もう少ししっかり固定すればよかったなと反省しました。
  • イカダをつくるのも、イカダを漕ぐのも大変なことがわかった。
  • イカダを漕ぐのが大変でしたが、楽しかったです。
  • 川と海の境目は、川が上で海が下ということがわかった。
  • イカダをこぐのが難しかったけど、漕げたのでうれしかったです。
  • イカダの漕ぎ方がわかった。
  • 下の方が海で温かく、上の方が川で冷たかった。
  • オールがとても重かった。
  • イカダから落ちそうで怖かった。
  • ユラユラ帯は下の方がモクモクしていてすごかった。
  • イカダづくりが大変で、ちゃんとできたと思っていたけれど、浮きが外れたので、バランスの調整が難しかった。



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