NO団体名主な企画内容
22 尾鷲市立矢浜(やのはま)小学校(三重県) 「僕らのあそび場づくり ~そと育・みらい育・おわせ行く~」
子どもたちが主体的に自然で遊ぶ能力を培いながら、郷土を学ぶ。地域の民官の団体と連携し、様々なフィールドで活動する機会を創出。自然と親しみながら、自然のリスクも学び、人として「生きる力」「生きぬく力」を身につけるなどを目的にした活動。

速報レポート6 【みらい育】そと育新聞の発表と国内外で活動している大学生、大学院生の体験談を聞く

活動日: 2023年 10月 11日(水)
活動場所: 尾鷲市立矢浜小学校 6年生教室
参加人数: 小中学生   10人 / 大人   9人 / 指導者   1人 / 合計 20人
活動内容

~①6年生児童による新聞作成と発表~
 トム・ソーヤープロジェクト企画2023「僕らのあそび場づくり~そと育・みらい育・おわせ行く~」プロジェクトの第6回目の活動、矢浜小学校6年生教室でこれまで体験したことについての新聞発表を行いました。
この新聞は第2回、3回、4・5回での山、川、海の3グループに分かれて、それぞれの内容について新聞を発表しました。

 第5回の海での体験が終わった後に新聞づくりに取り組みました。第2回の山での間伐体験、第3回の川の流れに乗る体験や飛込体験、第4・5回のイカダ制作と海での冒険について、それぞれグループに分かれて新聞を作成しました。

 この際、これらの活動の後に、6年生全員がその都度作成していたふりかえりの用紙をもとに、どんな活動をしていたか、どのようなことを学んだかを思い出しながら、新聞の記事にしていきました。また、グループごとに、クラス全員分のふりかえりを共有し、わからないこと、気になることがあれば作成者に聞きに行き、自分のグループのテーマについて6年生の代表としての新聞をつくることをクラス全体に話しました。

 新聞づくりが始まると、子どもたちは、グループごとにふりかえりの紙を見ながら、「こんなこと教えてもらったな!」、「これってどういうことなん。」とグループ内に限らず、クラス全体で話し合いながら、新聞の記事にしていきたい内容を決定していきました。

 どのグループも間伐や飛込といった体験したことに限らず、川岸での炭の片付け方や汽水域といった学習したことを多く取り上げており、その理由を聞くと、「教えてもらったことを今度は発表したい。」「教えてもらったときにびっくりして覚えてるから、そのことについて書きたい。」と話しており、体験だけではなく学習したことも子どもたちにとっては新鮮で印象に残っていたことを実感しました。
 その後は、新聞のレイアウトや写真を決めたり、発表の原稿を作成したりしました。作業中もお互いの新聞のレイアウトを見て参考にしたり、「見出しは大きく書いた方がわかりやすいんじゃない。」、「記事ごとに線で仕切りがあった方が始めと終わりがわかるで。」と助言しあったりと、クラス全体でこれまでに体験した内容を新聞にまとめている一体感が感じられました。 

 新聞が完成した後は発表の練習に取り組みました。1つのグループが発表しているときは、他のグループが聞き、「今の言い方はわかりにくかったから言葉を変えた方がいいと思う。」、「原稿を見すぎていて、ただ読んでいるように見える。」など感想や助言を伝えあっていました。また、当日は、これまで手伝っていただいた人たちが見に来ることを伝えると、少しでも多くの人が見やすいように、発表者の立ち位置や動きを工夫するようになり、少しでも自分たちの発表を聞いてもらえるように子どもたちが考えて試行錯誤していました。

 当日の発表では、これまで講師をしてくださった有限会社ドーモの森田さんや市役所の岩屋さん、サポートとして活動を支えていただいていた尾鷲藪漕隊の方々に加えて、学校法人慶應義塾大学の学生の日向さんにも来ていただきました。また、リモートで国立大学法人京都大学大学院の学生の森下さん、前回のイカダ制作にもご協力していただいた国立大学法人三重大学の末永さんも参加していただきました。普段の教室に多くの大人が入り、慣れないリモートでの授業の参観に少し緊張している様子も見られました。また、欠席した子どもの分の発表を直前に割り振りなおして本番に臨んでおり、練習とは違うことに不安を感じていました。

 自分たちの発表の時間になると、練習通りに発表するどころか、リモートで参加している方にも聞こえやすいように大きめの声で発表しようとしていました。また、新聞の記事についての発表の後には、「色々学べて楽しかったです。このような楽しい行事がいつ来るのか楽しみになりました。」、「いかだの作り方、川のおぼれたときの対処方法、木の切り方など、いろいろなことを学べてとても良かったし、もっといろいろなことを学んでいきたいと思いました。」など、全員がこれまでの取り組みについての感想を発表しました。

 すべてのグループの発表の後には、森田さんからは「楽しかったこと、むずかしかったことがよく分かった。発表が上手だった。」、岩屋さんから「これまでの取り組みでいろいろな人に助けてもらったことを忘れないでほしい。」と話していただきました。また、今回参加していただいた大学生・大学院生の方々からは「自分たちの小学校6年生のときよりも堂々と発表していた。とても上手な発表だった。」と言っていただき、子どもたちも嬉しそうな表情を見せていました。


山、川、海に分かれて、体験を通して学習したこと、印象に残ったことを新聞で発表しました!



~②大学院生、大学生による講話~
 6年生の新聞発表の後、大学生、大学院生の方からの講話をしていただきました。
 最初に、現在、ブータン王国で生活をしている森下さんから話をしていただきました。森下さんには、スライドを使って、ブータン王国の生活や文化について教えていただきました。子どもたちは「ブータン王国」という国の名前も聞き慣れておらず、どこの国なのかもわからなかったので、地球儀でブータン王国の場所を確認すると、「中国のちょっと下の方なんや!」、「こんな国全然知らんだ。」と話していました。

 森下さんのスライドでブータン王国の自然や学校、食べ物の写真を見て、「僕らの学校と全然違う!」、「なんか尾鷲の自然と違う気がする。」など興奮気味に話しており、子どもたちはあまり身近にはない国に興味津々でした。また、ブータン王国の周りに海がなく、新鮮な魚が食べられないということを森下さんから話していただくと、「魚が食べられやんって信じられない。」「ずっと食べられやんのは嫌やな。」と自分たちが住む尾鷲との違いを感じていました。

 最後に、森下さんがブータン王国でしたいこと、研究していることとして、①山の中の小さな村で子どもたちはどのように学んでいるのか、②幸せとは何か、について話していただきました。近くに大学がなく、大学生、大学院生との交流する機会の少ない子どもたちにとっては、大学生はどんなことをしているのかを知る良い話を聞くことができたのではないかと思いました。(画像4、画像5)
 


地球儀で森下さんの生活するブータンを探しています。見つけられたかな?

ブータンの料理を紹介してもらっています。初めて見る料理に興味津々です!

 次に、紀北町に移住して、国立大学法人三重大学に通いながら自然体験を行っている末永さんから、「過去の自分の生い立ち」や「自分の将来」についての話をしていただきました。幼少期は、引っ越しが多く、様々な県で生活してきた過去があり、大学進学を機に三重県での生活を始めたところ、紀北町の自然の魅力にひかれ、移住を決めたことを話していただくと、子どもたちは、生まれてから当たり前に感じていた自然が、他県にはないことや移住を決めるだけの魅力があることを知って、尾鷲市の魅力について改めて実感していました。

また、末永さんが将来ヤギを飼って、色々な場所で生活したいという話を聞いて、子どもたちは「なんでヤギなんやろ。」、「自分やったら何を飼うかな。」など、卒業間近の大学生の話から、自分の将来について様々なことを考えていました。特に、将来の仕事についてではなく、将来の生活について子どもたちが色々な視点で話したり、末永さんに「ヤギは何匹飼う予定ですか。」など質問をして積極的に交流しようとしたり、学校では体験できない経験ができたと思いました。(画像6、画像7)


末永さんからのお話。子どもたちも大学生のお話に興味があるのか、真剣に聞いています。

 最後に、他県の大学に在学しながら令和4年6月1日から尾鷲市の地域おこし協力隊として、向井地区の活性化の取り組みや、活性化を担う人材の創出に取り組む日向さんから、日向さんの過去と、現在行っている活動について話していただきました。日向さんも自分の身の回りには、尾鷲市のような豊かな自然がなかったことや、コロナウイルスの影響で大学の授業がすべてリモートになってしまい、その時に訪れた尾鷲市の自然の魅力にひかれて、尾鷲市へやってきたことを話してくれました。

 ここでも、豊かな自然にひかれた大学生の話を聞いて、子どもたちは「やっぱり尾鷲の自然ってすごいんやな。」と話していました。また、日向さんが現在「むむむ」という団体で行っている自然体験や、プログラミングについての話をしていただき、子どもたちも名前を聞いたことがあるだけの子どもがほとんどで、尾鷲の自然で活動する場所を新しく知り、授業後には「行ってみたい。」「今度の尾鷲育とかで行かんの。」と話していました。子どもたちは授業が終わった後も、日向さんと話していて、当地域において中々大学生と話すことのない子どもたちにとっては新鮮な経験になったと思いました。(画像8、画像9)


最後に、地域おこし協力隊の日向さんのお話。挙手して、質問する子どももいました!


大学生、大学院生の3人のお話を聞いて、改めて尾鷲の魅力を感じました。

 授業の最後に、講師の森田さんから「尾鷲にこの先も住みたいですか。」と第1回の活動と同じ質問をされたところ、多くの子どもたちが挙手していました。これは、これまでの活動で尾鷲市の自然の魅力を身をもって感じたことや、他の地域や他県の人たちから見た尾鷲市の魅力を聞くことができたことが、大きいのではないかと思いました。その一方で、子どもたちからは「都会にあるようなビルがない。」「もっと遊ぶところが欲しい。」と尾鷲市の課題を話し、尾鷲市の魅力と課題を再確認しました。森田さんからは、「このような課題を解決していくのはこれからの人たちにあたる、みんなの力が必要です。」と話をしていただきました。(画像10)


森田さんからの問いかけの「尾鷲にこの先も住みたいですか。」について考えます。

 授業終了後、子どもたちがこの活動で分かったことや感想を書く、ふりかえりシートへの記入を、宿題にして終了しました。

子どもたちの感想

  • 尾鷲には、どの県よりも海や川、山が近くにあることがわかりました。
  • 尾鷲には、都会とは違う、良いところがあるのだと思いました。
  • 自然がないからという理由で、尾鷲市に来るという行動力がすごいと思いました。
  • 大学の人の話を聞いて、自分の好きなことを色々勉強したり研究したりすることがわかった。
  • どこにでも尾鷲のように、3つの自然があるわけではないことがわかった。
  • 尾鷲の自然がどれだけ大切かがわかった。
  • 尾鷲は3つの自然がすぐ行けるくらい近くにあることがわかった。
  • 他の班の発表を聞いて、今までの活動を思い出しました。
  • 森下さん、末永さん、日向さんのお話を聞いて、全員行動力がすごいなと思いました。
  • 尾鷲の自然が好きで、尾鷲に来た人もいることがわかった。



速報レポート1 【ガイダンス】つなぎ服の贈呈式
速報レポート2 【山育】生物多様性学習及び間伐作業
速報レポート3 【川育】ウォーターアクティビティ
速報レポート4 【海育】イカダの組み立てと冒険(1)
速報レポート5 【海育】イカダの組み立てと冒険(2)
速報レポート6 【みらい育】そと育新聞の発表と国内外で活動している大学生、大学院生の体験談を聞く

プログラム検索に戻る