NO団体名主な企画内容
19 NPO法人 里豊夢わかさ(福井県) 「「自然の中で生きる力を育む体験活動」 ~里山の自然に触れ、遊びと本物の体験を通して生きる力を育む~」
里山環境整備、竹、杉を使ってのモノづくりや火起こし、川あそび、農業体験などの活動を行い、集団活動を通じて、他者への思いやりや社会のルールを学び、人間力を育む企画。

速報レポート5 豊かな森づくり

実施日 令和3年年9月26日(日)
会 場  NPO法人里豊夢わかさ活動地 福井県若狭町能登野地籍里地里山「のとのの里」
参加者 小学生7名 幼児1名 保護者4名  スタッフ5名 計17名
スケジュール

9:00 「のとのの里」集合‥‥受付け・健康確認(検温と体調確認)
    本日の活動内容と一部変更の説明、活動時の注意事項
9:20 焼き杉板づくり
12:00 昼食 フリータイム
13:00 植樹活動
14:40 使用道具の後片付け
15:00 反省会・解散

活動内容

 コロナ感染拡大に伴い福井県独自の非常事態宣言が出され、町教委からも子ども対象の活動中止要請が入ってきたため、2週間の猶予を持たせて活動日を9月12日から26日に延期した。(申請済み)
 活動日変更と再度の参加希望を募ったが、密になるピザづくりや多人数で食をとることなどに不安を抱かれ、参加を見合わせる家族も多く、少人数での開催となった。活動時の食の在り方について役員との話し合いの結果、昼食時の密を防ぐことと、密状態になるピザづくりについては12月まで実施しないことなどを決めた。
 26日の活動は、ピザづくりの活動をなくし、余裕を持った活動運営にすることとした。午前の活動は、製材所からもらってきた杉の木っ端を使って焼き杉板づくりを行い、壁飾りなどの作成活動を行った。午後の活動は、「豊かな森づくり」として植樹活動を行い、クリの苗木を植樹した。

(1) 焼き杉板づくり
 モノづくりは、子どもならではの豊かな発想と表現するための創意工夫の活動として特に大切にしている。
 今回の「焼き杉板づくり」は、参加者全員が初体験であるため、杉の木目を浮き上がらせるまで焼き上げることを止め、板全体が焦げるまで焼くこととした。まず、製材所からもらってきた杉の木っ端の中から自分のイメージに合う板を探し出し、そのまま使うか、のこぎりで切断するかを決める。その板を焚火であぶり、6面をしっかり焦げ目を付け、しっかり冷ましたあと、ブラシで焦げて炭化した部分をこすり落とす。さらに濡らした新聞紙で、手で触っても汚れが付かなくなるまできれいに磨き、焼き杉板を完成する。
 次に、その焼き杉板に自分が描いた構想をアクリル絵の具やマジックインクで書いたり、里山に落ちている葉や枝、ドングリ、松ぼっくりなどを使って表現していた。


選んだ板を適当な長さに切断。初参加でノコギリ使用に初挑戦の子どもも母親の手助けで、抵抗なく切っている。

切った板を焚火であぶり、前面をこんがりと焼いていく。焼き過ぎないようにやや遠火で焼いていた。小さい子は、金網に載せて焼いた。

焼いて炭になった部分をブラシでこすり落とし、濡れた新聞紙て表面がツルツルになるまで丁寧に磨いている。


脇目もふらずにアクリル絵の具を使って、壁飾り作っている。塗りつぶして趣のある焼き杉板が見えなくなっている。でも、これも有りか‥‥。

自分の部屋に飾る壁掛けで、グルーガンを使って枝や拾ってきたクヌギのドングリなどをひつけたり剝がしたり‥‥納得のいく表現をしていた。

手形を押して壁飾りを作っていたが、いつの間にか手で塗りつぶしていた。手も作品として表現か‥‥?


焼き杉板づくりの最後は、ひもをかけてぶら下げるためにヒートンを取り付けて完成。

(2) 植樹活動
 里豊夢わかさの継続事業である「豊かな森づくり」を目的とした活動で、6月に実施した「森のしごと体験」に続く植樹活動で、第14回ミニ植樹として実施した。
 植樹活動は、苗木を植える穴掘りから始まり、炭堆肥投入、植樹、強風・積雪から守るための添え木となる杭打ち、獣害対策のサプリガーネット取り付け、樹木名等を書いた杭を傍に打ち込み、使用道具の後片付けまでの一連の活動を子どもたちが主体的に取り組むようにしている。ただ、今年度は業者との行き違いがあり、手に入ったのが苗木7本のみで、少人数対応としては十分であったが、次回に活動の大半を引き継ぐこととなった。


苗木を植えるための穴を掘っている子どもであるが、体いっぱいを使って深く掘り下げている。傍にいる親の力を全く借りることなく行っているのに感心させられた。

いつもは体験活動に消極的な3年生と5年生の男児であるが、協力して穴を掘っている姿に出会えたことはありがたい。

掘った穴にクリの苗木を植えていく。苗木の向きを見て‥‥見栄えを気にしているようにも見えるが‥‥。


苗木が風でグラつくと根を張ることができず枯れる原因となるため、掘った土を戻すと体重をかけてしっかり踏み固めている。

使ったスコップにこびり付いた泥を布で落とし、倉庫にしまってくれた。汚れが残っていないか、何度も確かめながら洗っている姿は本物である。

(3) フリータイム‥‥たった1本のロープで一つになった
 たった1本のロープでこれほど子どもたちが熱中し、みんなで楽しく遊べることに感心し、改めて子どもたちは遊びの天才であることを確信した。
 昼食後のフリータイム時になると毎回子どもたちはいろいろな遊びを工夫し、楽しんでいる。この時間は、基本、大人は関与しないようにしている。今回のフリータイムで子どもたちが遊びに選んだのが10年ほど前に取り付けたアスレチックターザンロープである。ブイに乗って滑降する子どもたちの人気の遊具であったが、人が乗るとブイが地面につくまでロープが緩んできたため使用していない。
 このロープを子どもたちは遊びに活用している。子どもたちのはしゃぎ声で気づいたが、ロープを握り、左右に大きく揺さぶり、時にぶら下がったりと、夢中になって遊んでいる。終わりの方に母親が「私も入れて‥‥」と、その中に入って一緒に楽しんでいた。
 今回、初めての参加で距離を置いているように見えた子どももいれば、何回か参加していてもお互い言葉を交わしたことがない子どもたちもいる。それが溶け込んで一つになっているように思われた。
 よっぽど楽しいようで、植樹後も、活動終了後もロープに向って駆け出していた。


奇声を上げながら一本のロープを大きく左右に揺らして楽しんでいる。

母親も童心に返ったかのようにこの中に入れてもらい、楽しんでいた。

活動終了後も、一斉に駆け出し、ロープで楽しんでいた。小さい子がちゃっかりブイに乗って楽しんでいたのも微笑ましい光景である。

活動を振り返って

 今回もコロナ感染拡大に伴う福井県独自の非常事態宣言により活動日の変更を余儀なくされた。県内のいくつかの小学校でクラスターが発生し、活動日1週間前になっても一人の参加申し込みがなく、活動中止も視野に入れていた。再度、活動地周辺の家族への働きかけを行い、小学生7名の参加を得て開催にこぎつけることができた。このようなことで神経をすり減らすことは、今回が最後であることを願った。
 今回は、少人数の参加者で、初参加の2名を含め全員が「焼き杉板づくり」と「植樹活動」は初体験の活動であったが、少人数が功を奏したのか一人ひとりが自分のペースで活動できており、充実した活動であった。
 「焼き杉板づくり」では、焼いて磨いた杉板に躊躇なく文字を書いたり、絵を描いたりと頭に浮かんだものを表現していた。何か物足りないと感じたのか、途中でドングリや松ぼっくりなどを拾ってきてグルーガンで貼り付け、立体的に仕上げる子どもたちも出てくるなど創意工夫の場となっていた。手に絵の具を塗りつけて杉板に手形を押してデザイン化している子もいたが、気に入らなかったのか手で塗りつぶしたりと、自由に創作を楽しんでいた。
 植樹活動は、活動日に会場に植樹の苗木や獣害対策ネットなど搬入されていないという予想外の出来事に見舞われ、対応に追われた。過去に前日搬入された苗木が鹿に食べられるという害を受けたことがあり、それ以降は、活動日の早朝に搬入してもらっていた。確活動日の変更が担当者へ正しく伝わっていなかったと謝罪を受けたが、メインの活動を中止するわけにもいかず、植樹活動を午後に変更し、代わりとなる苗木を探してもらった。ホームセンターで栗の苗木7本を購入してもらい、その7本で小規模ではあるが植樹活動を行うことができた。活動前に再確認をすべきあったと反省している。
 活動は、7人の子どもたちが7本のクリの苗木を責任を持って植えてくれた。全員がスコップで植樹に適した大きさと深さの穴を掘り進め、小さい子も見様見真似で邪魔となる木や竹の根を体重を乗せたスコップの先で切断していたのには感心した。苗木を植えた後、掘った土を埋め戻し、しっかり踏み固めるまでしっかり取り組んでくれていた。
 植樹後、使用したスコップを各自が水でしっかり洗って器具庫に片付け、植樹活動を終了したが、里山を「みどり豊な森」にする再生活動は、里山と子どもたちを結び付ける有意義な活動であった。



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