NO団体名主な企画内容
19 NPO法人 里豊夢わかさ(福井県) 「「自然の中で生きる力を育む体験活動」 ~里山の自然に触れ、遊びと本物の体験を通して生きる力を育む~」
里山環境整備、竹、杉を使ってのモノづくりや火起こし、川あそび、農業体験などの活動を行い、集団活動を通じて、他者への思いやりや社会のルールを学び、人間力を育む企画。

速報レポート6 秋を楽しもう

実施日 令和3年年10月10日(日)
会 場  NPO法人里豊夢わかさ活動地 能登野地籍里地里山「のとのの里」
参加者 小学生11名 幼児1名 保護者8名  スタッフ7名 計25名
スケジュール

9:00 「のとのの里」集合‥‥受付け・健康確認(検温と体調確認)
    活動に対する注意事項と活動内容変更の説明
9:20 サツマイモ畑へ移動
    芋掘り
11:00 火おこし体験  焼き芋づくり
12:00 昼食 フリータイム
13:00 植樹活動
15:00 後片付け
15:15 反省会・解散

活動内容

 午前中、5月に苗植えを行ったサツマイモの収穫とそのサツマイモを焼くための焚火を火おこしから取り組んだ。午後から9月に行った植樹活動の続きを行った。

(1) サツマイモ掘り
 5月の体験活動でサツマイモの苗を230本植えたが、1か月後の生育状況確認で、およそ100本の苗がなくなったり、枯れていた。マルチの上に小動物の足跡がたくさん残っており、近くの農家の人から、最近ハクビシンがあちこちでいたずらしているから、おそらくハクビシンん仕業だろうと教えてもらった。すぐ苗を調達して補植したが、6月に入って真夏のような天候が続いている中であったため生育は芳しくなかった。

 サツマイモの収穫では1本の細い苗が育ち、根を張り、いくつもの芋を作っている様子を確認するため茎からややはなれた周囲からスコップで慎重に掘り進んでもらった。1本の根からいくつもなっている芋を掘り出し、高く掲げ、誇らしげに見せていた。1か月遅れに植え直した芋の出来は、極端に小さく、細い芋であった。植える時期が大切であることに気づいた子どももいた。
 今回、初めて収穫後に雑草を防ぐために畑を覆っていたマルチの撤去作業を全員で行った。畑の地主の体調が優れず、依頼されたものであるが、土に埋まったマルチを引き出す作業は、サツマイモの収穫活動以上の体力を使う作業となった。30℃近くの高温の中、子どもたちは体を使ってマルチを土の中から引っ張り出してくれた。子どもたちの頑張りは称賛すべき活躍であった。
 収穫した芋は、昼食の芋ご飯、汁物の具、芋の天ぷらに活用され、子どもたちは焼き芋作りにも利用した。収穫した芋の多くは今後の体験活動時に利用するため、新聞紙に包んで保管した。


一つの芋も取りこぼすことなく見事に掘り出した芋を高く掲げて、誇らしげ。傷つけることなく、丁寧に、慎重に掘った結果である。

細くて小さい芋にガッカリ。1カ月遅れに植え直した芋の収穫であるが、手前の芋と比較し、これほど差が大きいとは驚きである。

全身で芋を引き抜いた結果である。勢い余って後ろにぶっ倒れた。‥‥童話の「おおきなかぶ」の再現である。


雑草を防ぐためのマルチの撤去作業。ふちが風に飛ばされないようにしっかり土に埋め込まれているため引き出すのも一苦労。力を入れるとちぎれるため、厄介な重労働である。

収穫した大量のサツマイモ。焼き芋に適した芋の選別。

自分で洗った芋を包んでもらうために母親に渡す幼児。洗った芋を濡れた新聞紙に包み、その上からアルミホイルで巻いて焚火の中に入れて焼く。

(2) 火おこし
 単に火をおこす体験ではなく、自分たちで火をおこし、その火を焚火にして芋を焼き、火の後始末まで行う体験活動である。着火の道具として、小さい子どもでも使えるファイヤースターター(マグネシウム火打ち石)利用する。火種となる素材は、落ち葉や枯草、杉の葉、木の皮などを子どもたちは拾い集めて着火を試みていたが、成功したのは枯れたススキの穂とほぐした麻ひもだけであった。火種に杉の葉を載せると勢いよく燃え、焚火まで持って行けた。


火おこし用の材料となる枝などを集めている。杉の葉や細い枝、やや太い枝を意識しながら集めている。

マグネシウムの「ファイアスターター」を利用して火が着きそうなものに試している。枯れたススキの穂とほぐした麻ひもが容易に着火できていた。

火種に杉の葉を載せると勢いよく燃え、枝などを載せ、さらに太い木を載せて大きな焚き火になった。風があったため、焚火までが意外と早かった。


焚火からしっかり燃えている枝などを集め、炉の底に置き、熾火として焼き芋の準備完了

熾火の上にアルミホイルで巻いたサツマイモをならべ、その上に焚火の燃えている太い木を移して焼き芋がスタート。

火おこし体験の活動場所の後始末。小さな熾火まできれいにスコップですくって炉の中に入れ、最後に水を撒いて安全な状態にしていた。

(3) 植樹活動
 自然の中で遊ぶだけでなく、自然に関心を持ち、自然の大切さについて理解を深めていくことは未来を担う子どもたちには必要なこと考え、緑豊かな森づくりとして植樹活動を継続実施している。特にこの活動は一人ではできず、協力し合い、意思の疎通を図ることも不可欠であるため、貴重な体験の場と捉えて臨んでいる。
 前回の植樹活動では、業者との行き違いで現物がなく、当日、7本の苗木を調達してもらい植樹活動を行った。ただ、獣害対策が不十分であったため、植えた苗木2本の枝がしっかり鹿に食べられていた。今回は、その苗木を含め獣害対策と新たに13本の植樹を行った。活動は、決められた植樹場所で苗木を植えるための穴を掘り、炭堆肥を入れ、丸太の支柱を打ち込み苗木が吹き飛ばされないよう固定する。さらに、獣害対策ネットの取り付け、樹木名などを書いた木杭を打ち込む活動で、約2時間の重労働の活動であった。


苗木と炭堆肥、支柱等を運び入れ、木を植える場所で穴掘りに着手。

掘った穴に炭堆肥を入れて一休み。これで苗木を植える準備は完了。

堆肥を入れ終えた穴に苗木を入れ、穴を掘る時に出た土を戻して苗木を植える。


結構重いカケヤで苗木を支える支柱を打ち込んでいる。

三点脚立に乗って長さ170㎝のサプリガードネットを固定するカーボン支柱を木づちで打ち込んでいる

苗木を支える加工杭木の支柱とカーボン支柱を結んで固定し、カーボン支柱と獣害対策ネットを結束バンドで固定していく。


サプリガードネットを取り付けた後、風で吹き飛ばされないようにストッパーを打ち込むが、3人がかりでやるようなことではないのだが‥‥ちょっと構いすぎ。

植樹木名、日付、植樹者名を書き、植樹木の手前に打ち込み植樹は終了。最後に使った道具の後始末を行って植樹活動を終えた。

活動を振り返って

 10年ほど前までは、植樹活動は11月に実施していたが、寒いため、主に10月実施に変更している。温暖化の影響か10月に入って毎日が夏日、真夏日が続いている。この状況下でサツマイモの収穫、火おこし、植樹と続いた活動は、子どもだけでなく大人にも負担を掛けたようで、帰った後何もする気が起きなかったというメールをいただいた。この時期の活動内容について吟味する必要が生まれた。また、火を使う活動などの実施時期の見直しの必要もでてきた。
 熱中症対策として20分ごとに水分の補給は訴えたが、子どもたちの持参した水筒は午前中で空になり、こちらが準備したスポーツドリンクは、いつもの3倍以上飲み干されていたことからも、子どもたちにとって大きな負担を与えていたことが伺える。幸い熱中症や体調を崩す子どもたちが一人もいなかったが、特にマスクをしての活動が今後も続くと考えられるため、より慎重な活動計画の必要性を感じた。
 サツマイモの収穫の活動は、収穫がわずかであった昨年の反省から、4月に炭堆肥をしっかり入れてサツマイモの栽培を行ったため、昨年の約3倍の収穫量で、参加者に配布しても1月の体験活動まで十分に賄える量を確保できた。
 今年は土の中のサツマイモの様子が分かるようにスコップを入れ、下から持ち挙げるように掘り起こしてもらった。一つの根に連なった状態で掘り起こし、土の中での様子が分かり、掘り出した子どもたちは感激していた。傷ついた芋がほとんどなかったことがありがたかった。
 昨年度までは、収穫を終えると畑を後にしていたが、今年度から畑の地主の要望で、マルチの撤去作業も行った。土の中からマルチを引き出すという作業であったため相当な負担となったが、子どもたちはしっかり働いてくれ、マルチをきれいに取り除いてくれた。地主から感謝の言葉をいただいた。
 火おこし体験は、これまで小さな炉を作って行っていたが、今回は焼き芋を目的とした火おこしであるため、露地で行った。材料は、火種用に準備した麻ひも以外は、全て里山に落ちている杉の葉や枝、間伐で切り取った木の先端部分などで、それらを拾い集めて活用した。特に着火に使用したファイヤースターターは、小さい子どもでも火花を出すことが出来、種火の材料さえ整えば利用価値は高い。コツをつかんだ子どもたちはいろいろな物に着火できるかを試していた。杉の葉や木の皮、落ち葉などは着火が難しく、着火に成功した素材は、ススキの綿毛のようになった穂と麻ひもの解した繊維である。
 杉の葉を集めたところで種火を作ると即、勢いよく燃え出し、種火が燃え尽きて消えることはなく、焚き火となっていった。2か所で焚火を行い、焚火から燃えている枝などをドラム缶の炉に移して焼き芋に取り掛かった。子どもたちは自分の考えをいろいろ試し、興味を持って積極的に取り組んでくれていた。
 これまでの火おこし体験は、耐火煉瓦で炉を作って行っていたが、着火から焚火にするまで相当時間もかかり、途中うちわであおいで風を送るなど苦労していたが、今回は、拍子抜けするほど素早く焚き火となった。おそらく風の影響が大きいと考えている。次回の火おこしの良いヒントを得ることができた。 
 植樹活動は、前回に引き続く形であるが、実質は植樹に関する大半の活動を行った。植樹地帯に入ると前回もそうであったが、子どもたちの意識が変わったように真剣に取り組んいた。今回、初参加の2年生と6年生の兄弟もいつの間にか他の子どもと打ち解け、一緒に活動を行うなど良い雰囲気で取り組んでくれていた。特に兄は、自主的に重いカケヤを持って木づちで打ち込んだ支柱杭がぐらつかなくなるまで打ち込んで回ってくれており、頼もしく感じた。
 苗木を全て植え終えた後、過去の植樹木で支柱杭が腐っているところへ支柱杭を新たに打ち込んで風や雪で倒れないようしたり、サプリガードネットが風で吹き飛ばされているところも支柱に括り付けるなどの作業も全員でしてもらった。
 植樹地帯の後片付けを行っている間に、誰からも言われることなく子どもたちはスコップを洗って器具庫に収納してくれていたのには感心した。



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2023年度 自然と共にある体験活動 ~里地里山の自然に触れ、遊びと学びのある活動を通して生きる力・人間力を育む~ 実施レポート

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