NO団体名主な企画内容
20 伊那市立東春近小学校 6年(長野県) 「「我ら、キラリ探検隊」」
「自分たちでテントを作り、自然の中でのキャンプを楽しみたい」という子どもたちの願いから出発し、子どもたちが主体的に企画し、実施する探検プログラム。テント作りや自然観察会、探検活動を、総合学習や教科学習の内容と連動させて、実体験を伴った学びの実践を行い基礎学力の一層の定着を図れるよう工夫。

速報レポート2 「伊那市の歴史を探検しよう」

実施日時 平成25年 5月30日(木) 午前8時30分〜午後2時30分
実施場所 長野県伊那市富県・狐島・荒井・西春近
参加人数 6学年児童57名 学校職員3名 
     伊那市創造館学芸員 濵慎一先生
活動目的

 社会科の学習に併せて伊那市の歴史的史跡を探検し、歴史に対する興味関心を高めると共に、創造館で開催されている「南アルプスジオパーク展」を見学し、大地のつくりに興味を持つ。

活動内容

御殿場遺跡で説明を聞く子どもたち

子どもたちが住む伊那市には様々な歴史的史跡がたくさんある。しかしその多くを子どもたちは知らない。子どもたちが6年生になり、社会科で歴史を学習するようになり、子どもたちが教科書に書かれている内容と自分たちの身の回りの事象とをつなげながら学習を深めることはとても大事な学習だと考える。伊那市創造館学芸員の濵慎一先生を外部講師としてお迎えし、縄文時代から戦国時代にかけての史跡をめぐりながら、復元家屋をみたり、出土品をみたりした。また、創造館で特別展をしている「南アルプスジオパーク」に関する展示物をみながら、理科の「大地のつくり」の学習の一端も扱うことにした。

活動の姿

(1)伊那市のバスを利用して、市内の史跡探検を行った。悪天候の中だったが、不思議と車外に出たときはほとんど雨が当たらなかった。

 富県の御殿場遺跡(縄文時代の遺跡)で伊那市創造館の濵先生と合流し、遺跡の鍵をあけて中を探検させていただいた。復元家屋の中に入り、「縦穴」の意味や木組みの仕方など、濵さんの説明を聞きながら子どもたちは興味を持って調べていた。

(2)「一夜城」は、同じく富県にあり、織田信忠が武田氏攻略のため5万の軍勢で伊那谷を攻め上り、高遠城を攻め落とすための拠点とした陣址で、「信長公記」にも記述がある。そこでは戦国時代の話や城の発掘調査でわかったことなどを説明してくださった。方形の土塁が残るだけで当時をしのぶものはないが、子どもたちは「こんな狭いところに5万人も入れないな。」「ここの道を織田信長が馬に乗って歩いたのかな。」などとつぶやいていた。


蓮台場でおっかなびっくり探検する子どもたち

(3)「蓮台場」は狐島のわかりにくいところにある。ここは昔の処刑場ということもあり、教師から「怖い人は入らなくていいよ。」と言いましたが、ほとんどの子どもは友だちと手を取りながら、囲いの中を探検した。


本物の土器に手を触れる子どもたち

ここでは武田信玄が上伊那地侍8人を処刑した伝説があり、戦国時代の厳しい下克上の姿を感じることができる。子どもたちは「武田信玄はひどいことをしたんだな。」「でもそのあと織田信忠に攻め滅ぼされたんだ。武士の世界は厳しいな。」などと友だちと語り合っていた。

(4)伊那市創造館では濵先生より、御殿場遺跡や名廻遺跡から発掘された土器・石器・鉄器等を見せてくださった。常設展示物の中には、国の重要文化財の「神子柴遺跡」から出土した黒曜石製石器などの展示や、南アルプスジオパークの特別展がおこなわれており、子どもたちは興味を持って見学した。時間がもっとほしかったくらいだった。お昼はそれぞれが握った「おにぎり弁当」をおいしそうに食べた。

(5)その後、伊那バスターミナルでバスに乗り、西春近の「名廻遺跡」を見学した。これは古墳時代の円墳で、中央道建設に伴って発掘され、復元されたものだ。子どもたちは石室をのぞいたり、古墳の上を歩いたりした。学校の周辺にも円墳が多数分布する古墳群がある。しかし子どもたちはそれが古墳であることは知らず、ただの小山としかとらえていなかった。子どもたちは「こんな身近に古墳があるなんてビックリした。」「古墳は段丘の高台の上にあって見晴らしが良い。昔から聖地だったのかな。」「古墳を自分たちで発掘してみたいな。」などと語った。

成果と課題

古墳に上ったり、石室をのぞいたりして調べる

教科書の写真では感じられない古代の息吹を子どもたちは肌で実感できた1日だった。レプリカもあったが、多くは本物だった。これは伊那市創造館のご協力のたまものだ。子どもたちは土器にさわり、数千年前の人と会話した。石器や鉄器に手を触れ、自分が古代人になったかのような模擬体験をした。人が人を殺すことが日常的だった時代の怖さを実感した。そんな歴史的な遺跡が数多く残っている故郷の歴史の重みを感じ、子どもたちは故郷への感じ方をまたちがった側面から見られるようになったのではないか。

 その後、数名の子どもたちは保護者を案内して史跡巡りをしたそうである。



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