NO団体名主な企画内容
20 伊那市立東春近小学校 6年(長野県) 「「我ら、キラリ探検隊」」
「自分たちでテントを作り、自然の中でのキャンプを楽しみたい」という子どもたちの願いから出発し、子どもたちが主体的に企画し、実施する探検プログラム。テント作りや自然観察会、探検活動を、総合学習や教科学習の内容と連動させて、実体験を伴った学びの実践を行い基礎学力の一層の定着を図れるよう工夫。

速報レポ−ト8 「南アルプスジオパ−クを探検しよう」

実施日時 平成25年10月4日(金)  午前8時10分〜午後4時30分
実施場所 伊那市長谷・諏訪郡富士見町 入笠山  茅野市金沢  伊那市高遠町
参加人数 6学年児童57名 保護者2名 学校職員4名 ジオパ−クガイド2名 
活動目的

(1)「南アルプスジオパ−ク中央構造線エリア」の最北端にある入笠山に登り、長野県中南部の地形地質を観察し、大地の成り立ちや、土地のでき方などを考える。
(2)武田信玄の隠し金山の一つである「金鶏金山」を探検し、金や水晶をさがしながら地質に関心を深める。
(3)フォッサマグナに堆積した守屋層より化石を探す活動を通して地球の営みや大地のなりたちに対する関心を深める。
(4)友だちと協力して安全に活動する。

当日の行動日程

 8時10分 東春近小学校発−(バス)−8時30分 千代田湖畔着−(トイレ休憩)
 発9時15分−9時35分 金鶏金山跡着(探検・観察)−10時45分発− 
 御所平峠着(トイレ休憩)11時30分−(登山)−入笠山山頂着12時00分−(昼食・観察)−下山13時15分−御所平峠着13時45分−(トイレ休憩)−発14時00分(バス)−千代田湖畔着14時45分(トイレ休憩・観察)−発15時15分−東春近小学校着 16時00分

活動の姿

(1)カラマツに囲まれた千代田湖畔で一休みした子どもたちは、色づき始めたカラマツに目をやりながら、深まりゆく秋を感じていた。
(2)「金鶏金山」には初めて来た子どもたちばかりで「こんな場所知らなかった。」「武田信玄の金山なんてすぎなあ。」と整備されて看板を見たり、教師の説明を興味深く聞いていた。さっそく露天掘り(つるしぼり)の鉱山跡に行き、あたりの探検を始めた。あたりには「ずり」とよばれる鉱石かすらしき岩石がごろごろしている。教師より、「金が含まれる鉱石は石英脈が含まれる岩石だよ。」と子どもたちに伝えると、子どもたちは石英探しを始めた。金があっても肉眼で確認することはできず、子どもたちもそれにはがっかりするが、「水晶があった。」とル−ペで石英の表面を見せに来てくれた。すると皆水晶探しを始めた。「石英の表面に穴があるとその穴の中に水晶がある」ことを発見した子どもたちは穴が開いている岩石を探し始め、多くの子どもたちが水晶を含む岩石を採取することができた。「金は見つけられなかったけれど、水晶が見つかったから満足。」と子どもたちは笑顔で言った。近くを流れる小川で洗掘を行い、付近の湿地を「千軒平」と呼んでいることから、戦国時代には大勢の人が金山で働いていたことを子どもたちはどう感じたのだろうか。
(3)子どもたちを乗せたバスは、糸魚川−静岡構造線に沿うように山道を走り、入笠山直下の御所平峠に到着した。そこから山頂(1955m)までは歩いて30分。登山と言うにはあまりにも短いが、子どもたちには快適なハイキングだ。しかし天気は曇り、本来なら山頂で360度のパノラマが広がるはずが、山頂で見られたのが北西から南西方向のみ、楽しみにしていた富士山は見られず、それでも糸魚川−静岡構造線の断層崖とその北東方向に広がるフォッサマグナの海を皆で想像することができた。山頂で昼食をとった子どもたちは、故郷の伊那谷の方向を眺めた、すると東春近が見えた。子どもたちは「あ、○○の屋根が見える。」「あ、○○地区だ、○○君の家はあの辺だ。」などど、思い思いに自分の家を探し始めた。目線を北に移すと諏訪湖が見えた。子どもたちが入笠山に登る価値はそこにあった。自分の故郷の位置を地図ではなく実際に俯瞰できる。八ヶ岳や富士山が見られれば最高であったが、遠く故郷を眺めることができたことは大きな収穫であった。ジオパ−クガイドさんから「仏道(古道)」のお話をいただいた。その後行く諏訪大社のご神体「守屋山」の位置を説明し、下山後、守屋層の化石採取場所に向かった。子どもたちからは「楽しみにしていた富士山が見られなかったのは残念だったが、自分たちの住む東春近が見られて良かった。」「地図ではわかっていたけど、実際の場所が確認できて地図通りだとわかったのが良かった。」などのふり返りが出された。
(4)伊那市高遠町北端に広がる守屋層はフォッサマグナの海に堆積する最下層だ。子どもたちを案内した露頭は、地区で化石を保護しているため採取はできない。そのため、雨などで洗い流された転石を丹念にひっくり返しながら、化石探しを行った。ここでの化石は貝類、特に巻き貝の仲間が多い。かつては湾状に南に張り出した浅い海底だったことが想像できる。子どもたちは無条件に化石が好きだ。化石は子どもたちを太古の世界に誘う。そこでロマンをかきたてる。子どもたちは無心になって化石探しを始めた。約30分。一人1個以上の化石を見つけることができた。教師が「欲がない人ほど化石が見つかるんだよ。」などと余計なことを言ったが、子どもたちの中には化石探しの名人が出てきた。「ぼく、もうこんなに見つけたよ。」なるほどすごい。天性の才能だろうか。一方「何にも見つからない。」とやけになる子どもも。たくさん見つけた子どもは、見つからない友だちにいくつか分けてあげたりしてほぼ全員が化石を手にすることができた。貴重な化石だ。2000万年以上前の生物が子どもたちの手によってよみがえった。「大事な宝物にしたい。」子どもたちは化石を古新聞にくるみ、大事にリュックにしまった。
(5)今回の探検は、「南アルプスジオパ−クガイド」2名に同行していただいた。要所要所で説明をしていただいた。担任も「南アルプスジオパ−ク協議会学術オブザ−バ−」の一人として案内させていただいた。大地のダイナミックな営みを実感した1日だったのではないだろうか。同行した保護者も「行って良かった。近くにこんな良い場所があったなんて知らなかった。今度は富士山を見に来たいし、大勢の保護者にも紹介したい。」とおっしゃってくれた。堅苦しい登山をしなくても手軽に2000m急の山に登れる。そして360度のパノラマだ。子どもたちは現在忙しくてこの活動のふり返りはまとめていない。どんなふり返りがなされるか楽しみだ。


千代田湖畔で

金山での探検

入笠山頂で説明


山頂での記念写真

化石探し



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