NO団体名主な企画内容
28 上丹生プロジェクトK(滋賀県) 「子どもと、かつて子どもだった大人が一緒に「ツリーハウス」と「炭焼き」にチャレンジ」
里山をフィールドに、独自の発想でツリーハウスを作る。また、炭焼きのほか、地元の人的・自然的資源を最大限に活用した自然体験活動をおこなう。

「子どもと、かつて子どもだった大人が一緒に『ツリーハウス』と『炭焼き』にチャレンジ」 [9/13]

日  時:
場  所:
参加者:
2008年9月13日(土) 9:00〜16:00
ツリーハウス建設予定の地元の山
小学生15名、大人20名
 <レポート>

ツリーハウスの基礎が完成し、当日はハウス部分の製作をメインに行いました。
いよいよ子どもたちも、地上7メートルの木上での作業への本格参加となります。
集合時間の9時を待ちきれずにやって来る子も多く、早く登って作業したい気持ちが強かったみたいです。
基礎ができたと言っても高所での作業になります。現場でふざけたりすると大きな怪我につながる事もあり、充分注意を払って作業する必要があります。
当日の具体的な作業内容(分担)と注意事項などを説明し、いよいよ作業の開始です。

今回子どもたちには、ハウスの外壁製作を担当してもらう事になりました。
子どもたちにとって木上での作業は今回が初めてですが、今まで休憩時間や作業の終了時に何回も登っているので、高さに対する恐怖心は殆ど有りませんでした。
大人は周りで怪我や事故の無いように見守り、極力手を出さない様に徹しました。

作業内容はハウスの枠組みに金槌と釘を使って板を打ち付けていきます。
過去の色々な経験(夏休みキャンプでの木工体験・竹を切り出しての流しソーメンの製作・炭焼きでの切り出し体験・巣箱つくり・・・など)があり、道具を使う事に慣れた子どもも多くいました。
作業の合間には爽やかな風を受けながら、デッキから一望できる村の風景を楽しんでいました。
作業自体も当初想像していた以上に順調に進み、途中で低学年の子どもに手を貸そうとした大人に対して、大丈夫自分でできるから・・・と負けん気も旺盛でした。言葉では解っていても見守る事の難しさを大人が痛感する一場面でした。
たまに釘が曲がってしまったり、釘を打つ場所を間違えるのはご愛嬌です。

そして作業が進むにつれて、好奇心旺盛なわんぱく小僧たちが、デッキから地上に向けて木の切れ端を落として歓声を上げ出しました。しかし大人からの一喝で素直に反省です。
気持ちは解らなくもありませんが、地上で作業をする人や、また見物に来られている方もおられます。何よりデッキ(手すりは未完成)から自分自身が落ちる危険もあるのでそこは厳しく対処しました。
叱られた子どもたちは、完成したらデッキから紙飛行機を飛ばそうと話していました。

また当日はテレビ局・ラジオ局・新聞社など合わせて5社から取材に来られました。
マスコミ取材と聞いただけで何故か緊張してしまう大人と違い、記者の取材に対して堂々と思ったままの受け答えする子どもの姿に、良い意味での現代っ子らしさを感じました。

ツリーハウスの製作現場が主道路から一望できる事もあり、マスコミ関係以外にもたくさんの通りがかりの人々が見に来られました。少し緊張したのは、お巡りさんが来られた時です。
何かまずい事でもしたか??と一同顔を見合わせましたが、話してみると個人的にツリーハウスに興味があったみたいで、まずは一安心しました。
取材に来られた方を含め全ての方が、口を揃えてその大きさ・高さ・作り方に「すごい!」・「完成したら使用させて欲しい!」の言葉に、製作している大人や子どもたち本人が、改めて自分達が作っているツリーハウスに感心する場面も有りました。

その後ツリーハウスに可愛いマスコットが登場する事になります。
今回ツリーハウス製作の中心になって活躍してもらっている嶌田敏幸さんが、手製の「キツツキ」を取り出されました。早速ツリーハウスの看板にとデッキの先端に取り付けられ一同大歓声を上げました。
外壁の製作は予想以上に順調に進み、3時頃には作業が完了しました。
大人たちはまだ屋根の製作や階段の製作準備を続けていると、子どもたちの姿が見えません。しばらくすると、ツリーハススの近くの山の中から、子どもたちの賑やかな声が聞こえてきました。手に棒切れを持ち、木々の生い茂る山の中を探索していました。

自分たちが小さい頃は、子どもたちだけでの山遊びは普通の事でした。
しかし、今の子は田舎に暮らしていても山遊びをする事は普段なら全くと言って良いくらい有りませんが、ツリーハウスと言う拠点ができた事と、今回は近くで大人が作業していると言う安心感もあって、子供たちの山遊びに繋がったと思います。
4時にはすべての作業を終了し、デッキの先端に留まっているキツツキに見送られながら当日は解散となりました。

 <参加者の感想>

・ツリーハウスからワイヤーを使って滑車で滑り降りたい
・ツリーハウスのそばの山で遊んだのが楽しかった
・ツリーハウスの製作段階でもっと多くの人に参加してもらいたい
・こんなのが素人で作れるなんてスゴイ!!
・随所に上丹生らしいこだわり(妥協しない)が感じられる
・早く完成させないでもっと長く作るのを楽しみたい
・嶌田さん、田中さんにプロの姿を見た
・あまり交流のなかった人とも親しくなれて良かった
・知らなかったロープの結び方を教わり、すごく役に立つと思った
・10月の村の運動会で参加者全員にツリーハウスに上がってもらいたい
・知らない人が次々と集まってくるのに驚いた
・テレビ取材は少し緊張したが、良い宣伝になったと思う
・キツツキがツリーハウスに良く似合っている
・大人はすごい

 <活動の成果・今後の活動>

子どもたちにとって今回の体験は、ツリーハウスの実際の製作に関わったと言う意味で、過去三回の体験とは大きな違いがあったようです。
過去に体験した材料の準備(木の皮むきや塗装作業)と違い、自分の手でツリーハウスが出来上がって行くことを実体験しました。過去の作業中にも、早く登りたい・上で作業したいと言った気持ちが大きかったのを感じました。しかし自分達にはまだ出来ない事も解っていたり、作業の進捗状況を彼らなりに気にしている様子が周りの大人に伝わって来ていました。

今回の外壁製作に続き、今後彼らには手すりの製作や、ハウスの内装などの製作をメインに体験してもらう事になります。 まだ参加していない子どもやその親への呼びかけも、今後もっと積極的に行っていきたいと考えています。子どもに引きつられて親たちにも参加して欲しいと考えています。

また今回のツリーハウス製作の目的は、多くの子どもたちに自然体験の機会を与えてあげたい事と同時に、地域に埋もれた素晴らしい人材を表に登場してもらいたい事が有ります。
上丹生は昔から、木彫や仏壇といった伝統工芸が盛んな村です。今も腕の良い職人さんが沢山おられます。職人さん以外にも、豊富な経験や豊かな知識や知恵を持った方(人生の先輩)がたくさんおられます。しかし上丹生人の気質かも知れませんが、自分から進んで表に出て人に接する事は苦手な人が多いと以前から感じていました。

そんな方を表に登場してもらうきっかけを作り、その人の持つ経験や知識や技を他の人に伝授してもらいたい事も、今回のツリーハウス製作の大きな目的です。実際ツリーハウスの製作は、木や山の事に精通した「嶌田敏幸さん」、今は現役を引退されていますが、大工として活躍されていた「田中武弘さん」の両名がおられなければ出来なかったと思っています。
外部のツリーハウス製作のプロ(C&N施勝彦さん)のアドバイスは頂きましたが、現場のメンバー誰もがツリーハウスの製作経験はもちろん、知識も無い状況でした。お二人の持つ経験・知識・技が無ければ計画をスタートする事すら出来なかったと思っています。

子どもたちだけでなく参加した大人も含め、それぞれ個人差はあると思いますが、お二人の動きや言葉を興味深く見聞きしたのも事実です。
地上7メートルでの命綱を頼りの作業・様々なロープの結び方・図面通りには行かない現場合わせの組み立て作業、限られた材料を有効に使う発想、トラブルに対処する柔軟性・安全を重視するが故の時に厳しい言葉や態度・・・は参加した子どもたちにとっても普段なら経験出来ない貴重な体験になったと思います。
お二人の「久しぶりに遊ばせてもらってありがとう」の言葉には、奥の深さを感じました。

普段なら存在しない、こうした大人と子どもの共通作業は、ツリーハウス完成後も互いの良い関係が継続できそうに感じました。
今後の体験を通して、出来上がった物や状況をそのまま与えられる事も多い中で、自分達で汗を流して一つの物を作り上げていく楽しみと達成感を体験していく事になります。会では少子高齢化が進む上丹生ですが、子どもとお年寄りが元気で、活き活きと生活する村を目指しています。

ツリーハウスは残すところ、手すりの完成・階段の製作・屋根の完成を残すだけになりました。
次回は9月23日に階段の製作と、手すりの製作を予定しています。



子どもと、かつて子どもだった大人が一緒に「ツリーハウス」と「炭焼き」にチャレンジ 実施レポート(1)
子どもと、かつて子どもだった大人が一緒に「ツリーハウス」と「炭焼き」にチャレンジ 実施レポート(2)
子どもと、かつて子どもだった大人が一緒に「ツリーハウス」と「炭焼き」にチャレンジ 実施レポート(3)
子どもと、かつて子どもだった大人が一緒に「ツリーハウス」と「炭焼き」にチャレンジ 実施レポート(4)
子どもと、かつて子どもだった大人が一緒に「ツリーハウス」と「炭焼き」にチャレンジ 実施レポート(5)
子どもと、かつて子どもだった大人が一緒に「ツリーハウス」と「炭焼き」にチャレンジ 実施レポート(6)
子どもと、かつて子どもだった大人が一緒に「ツリーハウス」と「炭焼き」にチャレンジ 実施レポート(7)
子どもと、かつて子どもだった大人が一緒に「ツリーハウス」と「炭焼き」にチャレンジ 実施レポート(8)

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