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28 上丹生プロジェクトK(滋賀県) 「子どもと、かつて子どもだった大人が一緒に「ツリーハウス」と「炭焼き」にチャレンジ」
里山をフィールドに、独自の発想でツリーハウスを作る。また、炭焼きのほか、地元の人的・自然的資源を最大限に活用した自然体験活動をおこなう。

「子どもと、かつて子どもだった大人が一緒に『ツリーハウス』と『炭焼き』にチャレンジ」 [10/12]

日  時:
場  所:
参加者:
 
2008年10月12日(日)9:00〜14:00
ツリーハウス建設予定の地元の山
小学生20名、大人6名、育成会役員5名、
地元のゲートボール同好会の方14名(飛び入り)
 <レポート>

ツリーハウスは完成まではあとわずかです。
今回はツリーハウスの作業は休憩で、
炭焼きを子供たちが親や大人と一緒に体験する事になります。

7年前に始まったまちづくり活動で、最初に取組んだのが炭焼きでした。
昭和30年頃までは、地元でも炭を焼いて生活の糧にしていました。
まちづくりで何をしようかと皆で話し合っている中、“炭焼きはどうだろう”という
会の中心で活躍している田中一郎君の一言がそもそも事の発端でした。

地元で炭焼きの経験がある清水龍雄さん・山田素さんの両師匠を筆頭に、多くの方の応助と協力を受け
試行錯誤を繰り返しながら皆で手づくりの炭窯を造ることから始まりました。
炭焼きは年配者の方には懐かしく、若い人には新鮮だったのか大勢の人が参加しました。
その後、年に7回ほどの炭焼きを続け、今回が区切りの50回目を迎えることになります。

昨年窯に亀裂が入り継続が危ぶまれましたが、多くの方の協力で新しい窯が再生されました。
今振り返ると炭焼き活動も色々な意味で変化を遂げてきたと感じます。
最初は珍しさもあって子供たちを含め大勢の人が参加していましたが、時が経つにつれて
徐々にその数は減っていきました。
また最初の頃は燃料用にホウソウやクヌギ等の雑木を主体に焼いていましたが
最近では間伐材の杉や檜を焼くことが多くなり、
使用目的も燃料用から『炭盆栽』用が中心になってきました。

炭に何か付加価値が付けられないか・・・から登場した『炭盆栽』は
焼いた炭にドリルで穴を開け、観葉植物や山野草などを植えた物で
新しいタイプの癒し商品として大変人気があります。
商品は近くの道の駅やイベントを中心に販売し、会の大きな資金源となっています。
資金源だけでなく、体験教室を開催する事で地域を越えた幅広い交流にも貢献しています。

会の活動は炭盆栽を中心にした炭商品の販売や、資源回収(年4回実施)を中心に
全て自己資金で運営されています。
(一部チューリップではオーナー制の募金があります)
今回区切りの50回目の炭焼きを迎えるにあたり、
子供たちに炭焼き体験を通して森や山に興味を持って欲しいと同時に
その子供の保護者を含めた大人の方に炭窯をもっと活用してもらいたい・・・
の思いからの炭焼きになりました。

当日は子供と大人合わせて総勢31人が集まり、材料となる木を切り出す事から始めました。
参加者は2つのグループに分かれての作業に当たりました。
1班は資材提供に協力いただいた方の山へ杉と檜を切り出しに、
もう1班はツリーハウス周辺の雑木林の整備も兼ねた材料の切り出しになります。

子供たちにはツリーハウス周辺での作業を担当してもらいました。
親子や大人がいっしょとはいえ、やはり山の中に放り込まれると 最初は少しぎこちない様子も見受けられましたが
すぐに慣れて生き生きとして来るのは不思議でもありました。
この時とばかり威厳を発揮する親もいれば、逆に急な斜面で転んで子供に助けられる親もいて
わきあいあいの切り出し作業でとなりました。

過去にノコギリを使っての作業は何度も経験していますが、小学校低学年の子供たちにとっては
太さ4cm〜5cmの細い木を1本切る事ですら、かなり大変な事を実体験したみたいです。
今回子供たちが切り出しをした場所は、年明けには自然体験(遊びが中心)を楽しめる場所に生まれ変わる事になります。

作業も一段落した昼食時間前に、思わぬ飛び入りの参加者がありました。
近くのグランドでゲートボールをされていた村の同好会メンバー14人(平均年齢は75歳位かと)が
ツリーハウスに登らせてもらえないか・・・とやって来られました。
先日の運動会では悪天気と、大勢の観客の目を気にして登りたくても登れなかったみたいです。
もちろん全員大歓迎で迎え、子供たちといっしょにツリーハウスに登ってもらいました。

デッキから一望できる村の眺めに、まずは全員が歓声を上げておられました。
そのうち自分の家を見つけてはしゃぐ人、公民館の屋根が緑色だったのを初めて知ったという人、
意外に家の数が多いのにビックリされている人・・・
殆どの人が、生まれて初めて見る自分の故郷の景色だったと思います。

しばらくすると誰かが“早く写真撮って!”と呼ぶ声がしました。
あわてて見に行くと西村兼春さん(75歳、過去に区長を3回も勤められた人望の厚い方です)が
ハウスの中の木にしがみついてポーズをとっておられました。
あわててシャッターを切りましたが、
まるで子供に戻ったような無邪気で滑稽な姿に、その場に居合わせた大人も子供も大笑いしました。
つられた女性陣も同じ様に木にしがみついて記念撮影の催促です。
ツリーハウスには、歳をとった人にも“かつて子供だった時の無邪気な気持ち”を蘇らせる
不思議な力があるんだなあ・・・と感じさせられました。

その後、子供たちからのお誘いで昼食の焼きソバを皆で一緒に食べました。
思わぬ子供たちからお誘いの声掛けにお年寄りの方も嬉しかった様です。
食事が終わって後片付けが始まった時、多くの子どもが自由に遊ぶなか、
小学2年生の宮沢香穂ちゃんと、井尻涼夏ちゃんが自ら進んでみんなの皿を洗い始めました。

聞くと家ではあまりやっていない様ですが、次から次と出てくる洗い物を一手に引き受ける形になりました。
周り(特にお年寄り)からの“ありがとうね”“偉いねえ”との言葉に
人から頼られる事の嬉しさと、責任感が働いたのか最後までやり通しました。
しかも二人でお喋りしながらまるで皿洗いを楽しんでいる様子でした。

今回の年配者の方の飛び入り参加、子供たちとの食事風景を見ていると
世代を超えた人と人のつながりが
こうしたところから生まれてくる事を実感させられました。
これもツリーハウスの魅力だと思います。
当日はまたまた表れた三番目(キツツキ・バナナに次ぐ)のマスコット
「オオクワガタ虫」に見送られて作業を終了しました。

 <参加者の感想>

・山の中が明るくなり、きれいになったと思う
・みんなの食事の後片付けを最後までする子には感心した
・ツリーハウスから初めて自分の村を眺めたが、改めて良い村だと感じた
・子供との共同作業は久しぶりだったが楽しかった
・山は子どもを活き活きさせる力があると感じた
・自分が詰めた木が炭になって出てくるのが楽しみだ
・木が倒れるのは爽快だったが、運び出すのはしんどかった
・木にしがみついているお爺さん、お婆さんは子どもみたいだった
・真っ直ぐな木を狙った方向へ自在に切り倒す技には驚いた
・お爺さん、お婆さんに焼きソバを一緒に食べようといったら喜んでくれて嬉しかった
・同じ村に住みながら、何処の家の子か知らない子もいたが解ってよかった
・間伐もされずに放置されている山が多いのに改めて気がついた
・こんなにしんどい事を50回もよく続いたなあ・・・と感心する
・毎回はしんどいけど、たまには気晴らしにもなるのでまた参加したい
・間伐を兼ねた炭焼きは一石二鳥だと思った

 <活動の成果・今後の活動>

今回の炭焼き体験は、上丹生育成会に声を掛けて親子で参加してもらいました。

育成会の活動内容は、春の祭りでの子ども神輿・地元で養殖している虹鱒を放流しての鱒釣り大会
夏休みの日帰り旅行・チューリップの球根植えと球根おこし等が毎年の恒例行事となっています。
もちろんそれぞれの活動は子供たちにとって有意義な事だと思います。
反面、トム・ソーヤー企画コンテストの目的にもある
「子どもの思いやりの心・創造力・チャレンジ精神を育む」活動という観点からすると、少し疑問に感じる事もありました。

ある年の育成会の会長(田中一郎君)は、夏休みの日帰り旅行の代わりに
あえて上丹生の里山をフィールドにした夏休みキャンプを実施しました。
日帰り旅行に比べれば、特にその年の役員の方に掛かる負担は間違いなく大きかったはずです。
キャンプ終了後、子供たちに里山でのキャンプより遊園地やテーマパーク等への旅行の方が良かったのでは・・・
と聞いたところ、意外??にも「楽しかった」「また来年もやりたい」との嬉しい感想が多かったと聞いています。

こうした子供たちに自然体験の機会を作ってあげるには、
まわりの大人が目的意識を強く持ち、大人も一緒に汗を掻かなくては実現できません。
今回の炭焼き体験は、そういった事を大人(親)の方に理解してもらいたいとの想いもありました。
今回は保護者の方の参加が少なく、また参加された方もどれだけ理解して頂けたかは解りませんが
終わったあとの感想を聞いてみると、少なからずその目的は達成できた気がします。

会の活動目的には『子どもは地域の宝・子どもは地域で育てる』があります。
今回のツリーハウス製作や、炭焼き体験のように
子供たちが体力的にも精神的にも、健やかに育ってくれる事を目標に、
保護者の方への呼びかけや、活動への応援を今後も継続していきたいと考えています。

もう一つ嬉しかったのが、飛び入りでツリーハウスに登ってくれた年配者の方々です。
日頃はチューリップの植え付けや球根おこし、大晦日のソバ打ち、炭盆栽の製作などで積極的に活動に参加いただいています。
初めてツリーハウスに登って、童心に戻ったように無邪気にはしゃいでおられる姿はとても可愛らしく感じました。
また子供たちと短い時間でしたが話をし、顔見知りになれた事もとても有意義だったと思います。

ますます加速する高齢化問題は、私たちの地域でも大きな課題となっています。
しかし高齢化を嘆くのではなく、そこに住む高齢者の方が、いかに生き生きと生活しているかが重要な事だと考えます。
その事に視点をおいた新しい活動やアイデアを継続していきたいと考えています。

今回窯に詰めた木は11月2日に炭として窯から出す予定です。
また当日は、ツリーハウスの完工式を予定しています。
炭焼き・ツリーハウスに協力いただいた多くの皆さんの他にも
嘉田滋賀県知事や平尾米原市長に招待状を送り、来村していただきたいと思っています。

嘉田知事とは、今年の1月に地域を応援するグループの発表会である「たたえあう交流会」で
直接知事特別賞をいただいた経緯もあります。
また平尾市長には、4月のチューリップ祭りにプライベートでの来村、
5月の「市長とまちかどトーク」では上丹生でまちづくりに関して意見交換をさせていただきました。
平尾市長は、地元のケーブルテレビを見て、上丹生のツリーハウスに大変興味を持っておられるとも聞いています。

11月2日当日までに、窯の火入れとツリーハウスの細部の仕上げを予定しています。



子どもと、かつて子どもだった大人が一緒に「ツリーハウス」と「炭焼き」にチャレンジ 実施レポート(1)
子どもと、かつて子どもだった大人が一緒に「ツリーハウス」と「炭焼き」にチャレンジ 実施レポート(2)
子どもと、かつて子どもだった大人が一緒に「ツリーハウス」と「炭焼き」にチャレンジ 実施レポート(3)
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子どもと、かつて子どもだった大人が一緒に「ツリーハウス」と「炭焼き」にチャレンジ 実施レポート(8)

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