第3回 自然楽習会 in 大正川 〜茨木市の街中で、生きものを捕ってみよう!!〜日時 2010年08月22日(日)午前9時30分〜午後00時00分
活動の目的
場所 大阪府茨木市・大正川・天王小学校前 参加者 幼児2人・小学生28人・中学生1人・高校生2人・指導者&保護者36人 講師 川島大助(かわしま・だいすけ) 「第0回 自然楽習会 in 大正川」に参加した天王小学校の子どもたちにとっては、先だって学習した生きものを現場で見る機会を創ることが目的。そして、その他の家族は、夏休みの思い出や自由研究に利用していただきます。大正川は当会のホームグラウンドなので、過去10年の情報が蓄積されており、楽習会の開催も今回で12度目。当初の小学生は高校生に成長しましたが、同じ現場を見続けることによって、環境の変化を感じ取る力を身につけてほしいと願っています。 小学校の正門前を流れる大正川は、子どもたちの遊び場のひとつ。春には遡上してきたコイを抱き捕りしたり、夏には小魚やカメ捕りを楽しんでいる姿を見かけます。2面コンクリート護岸で、夏場はCOD8以上と決して美しい川ではありませんが、生物相は豊かです。大阪府レッドデータブックに掲載されている魚種も棲んでいます。2010年は4〜8月に6回調査していますが、今年はとくに特定外来生物であるウシガエルが急増。オオクチバス・ブルーギル・カダヤシに加えて、ウシガエルにも捕獲圧をかけています。 例年通り1週間前には、下見をかねて足場を確保するための草抜きを。警察・茨木市環境政策課にも、イベント概要をお知らせしました。また、当日の午前7時から現場を事前調査し、危険箇所をチェック。シマヘビ・アオダイショウの巣を確認し、カミツキガメ・ワニガメ等がいないかを点検。合わせて、水質検査(COD・アンモニウム態窒素・硝酸態窒素・りん酸態りん)を測定。今年は熱中症予防のためテントを張り、指導者・保護者36人で子どもたちの見守りを。天王小学校の先生、地元の医療関係者(看護士・整体師・薬剤師)、茨木市職員にも、ボランティアで参加していただきました。 前日 千葉支部長・猪名川支部の子ども2名が大阪入り ■捕獲生物の解説 ※詳しくは、最後に掲載する「講義記録」をご覧ください。 前日夕刻に、最終打ち合わせ食事会。 集合場所の目印に、当会ののぼりを!! 全員集合のパノラマ風景。 川遊びの注意、よく聞いてね。 さぁ、生きものを捕ってみよう。 川の上にも、中にも、スタッフを配置。 水中は、こんな感じ。濁っているね。 サデ網に何が入っているか見てみよう!! 草の下に魚が隠れているんだよ。 先生、投網の使い方を教えてよ。 お父ちゃん、何か捕れたでぇ〜 ザリガニ、アメンボがいっぱいだよ。 双子の姉妹は網1本でも息がピッタリ。 遊歩道に上がる時は気をつけようね。 在来種と外来種に分けて観察開始。 川島先生の指がバスの口に入ったよ。 小さな水槽に1種ずつ入れて解説。 コイはヒゲあり、フナはないんだよ。 バス・ギルを除き、在来種をリリース。 終了後には、スタッフが昼食&反省会。 ※イベント終了後の聞き取り調査より ・飼っていたドジョウが死んでしまったので、自分で捕りに来ました。3匹捕れて良かったー ※イベント終了後の聞き取り調査より ・こんな街中なのに、魚の種類が多い!! びっくりしました。 私は、十数年前から生物調査員として活動しており、全国のさまざまな河川で魚を捕り続けています。自然あふれる清流では、人間の心を落ち着かせる何か神秘的な力を感じますが、それと同時に、人間の心を威圧する厳しさも併せ持っています。そんな自然の偉大なパワーを体感することも大切ですが、大正川のように街中を流れる小さな川も面白いものです。川いい会のメンバーとして、この4年間、大正川を見続けていますが、本当に不思議な川だと思います。純淡水魚が棲息するのは当然ですが、キチヌやボラなど河口近くに棲む汽水域の魚も棲んでいるんですから。 NPO法人nature works生物調査部・三重県文化財保護指導委員 川島大助 1 同じ現場であっても、年間を通じて何度も調査してみましょう。渡り鳥や植物などは季節によって観察できる種類が異なり、淡水魚の繁殖行動も季節によって違います。 2 飼いきれなくなったカミツキガメ・ワニガメ、アリゲーターがーなど、危険な生物が川に捨てられていることがあります。イベントを開催する際は、充分に気をつけましょう。 3 特定外来生物の取り扱いには、ご注意を。法律で「移動させてはダメ」「飼育もダメ」となっています。オオクチバス・ブルーギル、カダヤシなどは、その場で処分する必要があります。 環境省の「いきものみっけ」というサイトには、生物多様性についての様々な特集コンテンツが用意されています。生きものの見つけ方が紹介されており、各地で見つけた生きものを報告したり、報告された集積データを見たり。クマゼミ・アブラゼミの鳴き声の違いを聞き比べることもできます。明るく楽しいデザイン、見やすいレイアウトで、子どもたちにも分かりやすく編集されています。自然体験を企画される団体に、おすすめのサイトです。 http://www.mikke.go.jp/ ■4月03日(土)13:30〜15:30 ■5月22日(土)13:30〜15:30 ■5月25日(火)13:00〜15:30 ■6月13日(日)08:00〜10:00 ■7月25日(日)08:00〜10:00 1 イベント概要と注意事項 ■主宰・石山 おはようございます。川いい会の石山です。大正川での自然楽習会は、毎年夏休みに行っており、今回で12度目を迎えます。最近、大阪は雨量が少なく、大正川の水量が減っています。1週間前まで中央部は10cmぐらいの水深でしたが、ご覧のとおり、今日は川底が露出して干上がっていますね。ということは、魚が水たまりに集まっているということです。初めて魚とりをする人でも、捕りやすいと思います。 毎年参加されているご家族はご存知かもしれませんが、オオクチバス・ブルーギル・カダヤシだけでなく、今年に入ってからはウシガエルが急増しています。これらの特定外来生物は、法律の縛りがあって「持って帰ること」ができません。今日、捕れた生きものを家で飼いたい場合は、必ず川島先生か小村先生に種類を確認してもらってから、お持ち帰りください。 川遊びの範疇は、川いい会ののぼりが立っている場所です。橋の下、堰の下は深みがありますので、気をつけてください。とくに小さなお子様は、膝から下の水量のところで遊んでください。転んで草などが足に絡まると、水深30cm程度でも溺れることがあります。大人は自分の子どもだけでなく、近くにいる子ども全体に目配せをお願いします。 今日はよく晴れすぎて、気温が35℃まで上がるそうです。水温も30℃ぐらいのぬるま湯状態で、風もほとんど吹いていません。充分に水分補給をして、熱中症・日射病に気をつけてください。途中で遊歩道に張ったテントの下で休憩するか、この前にある公民館に行ってくださいね。公民館はクーラーが効いていますし、トイレもあります。川に入る前に、タオルを濡らして首に巻いておくと熱中症予防になりますよ。 HP等で今回のイベント概要を掲載するため、スタッフが撮影します。肖像権の問題があるので、撮られたくない人は挙手をお願いします。皆さん、OKのようですね。それでは、11時まで生きものを捕ってみましょう。捕り方が分からない人は、川の上や中にスタッフがいますから声をかけてください。では、川に入りましょう。 2 捕獲した生物の解説 ■川島先生 ■子どもたち ■川島先生 このヒゲの生えている魚がコイです。この川にはコイがたくさん棲息していますが、普段は上流や下流の深みにいます。4〜5月の産卵期には、60cm以上になる大きなコイが浅瀬で産卵する姿を観察できます。すごい迫力ですよ。今日は、サデ網で25cmクラスが捕れましたね。このコイは3〜5歳ぐらいかな? こっちの魚がフナ。コイとフナはよく似た形をしていますが、フナにはヒゲがありません。これで違いが分かるね。大正川ではギンブナが多いのですが、ゲンゴロウブナ、通称ヘラブナも棲息していて、中には40cm以上になる大物もいます。 この細長い魚はオイカワです。どこの川でも見られる普通の魚ですが、夏の繁殖時期になると、オスはきれいな色になります。虹色をしているでしょ。この色でメスを誘うんですね。 そして、頭の大きい魚がボラです。この魚はよくジャンプをします。そのジャンプ力を活かして、大阪湾から大正川から旅してきたんですね。春に上がって来るボラは「オボコ」と呼ばれていて5cmくらいしかありませんが、大正川で夏から秋にかけていっぱいの栄養を摂って大きくなり、再び河口へと帰っていくんですよ。 ドジョウもいましたね。ここのドジョウは普通のものですが、安威川には絶滅危惧種のアジメドジョウが棲んでいます。高槻の芥川ではシマドジョウが捕れますし、猪名川ではスジシマドジョウなんかも捕れます。機会があれば、お父さんにお願いして連れて行ってもらいましょう。 水槽の底にいるのがウキゴリ、マハゼ、ヨシノボリ。みんなハゼの仲間で、川の中では、石の下や草の間に隠れています。一番小さいのが「シマヒレヨシノボリ」。この種類は少し前まで「トウヨシノボリ・シマヒレ型」と呼ばれていましたが、最近になって新しい名前に変わりました。ヨシノボリは、とても多くの亜種があって、これからも数種に分類されるかもしれません。ここのシマヒレヨシノボリも更に研究が進んで、大正川の固有であったら「タイショウヨシノボリ」なんて名前になるかもしれませんね。 ウキゴリとマハゼは似ていますが、ウキゴリの方が目が離れていますね。正面から見ると、面白い顔をしていますよ。そしてウキゴリの最大の特徴は、ここ。第一背ビレの一番後ろにある、白と黒の星マーク模様です。これで、マハゼと簡単に見分けられます。 さっき、誰かが「ウキゴリを家で飼いたい」って言ってましたね。でも、ウキゴリは縄張り意識が強く生きた小魚を食べてしまうこともあるので、君たちが上手に飼育するのは難しいし、動物性のエサを毎日与えるのも大変です。このウキゴリと同様に、飼いたくても難しい魚は、せっかくゲットしても飼育に失敗することが多いので、もといた川に戻してあげるのが一番です。これも生き物たちへの優しさだと思ってください。 今日は捕れていませんが、この川にはウナギもいます。5月には、30cmぐらいのものが捕れました。ついでにお話しすると、(ある男児を示して)このお友達が「タウナギ」の赤ちゃんを捕ってくれました。4cmぐらいで、ヒルと間違いそうですね。この魚は、中国や東南アジア原産の外来種だそうです。ウナギと名前に付きますが、全く違う種類です。では、日本のウナギとの違いが分かる人はいますか? ■保護者 A ■川島先生 ■子どもたち ■川島先生 みんなが答えてくれたブラックバスは、正式にはオオクチバスと言います。本当に、大きな口をしていますね。(10cmぐらいのオオクチバスをもって)、先生の指が口の中に入るほど、口が大きく開きます。小さな日本の魚をこの大きな口で食べてしまうんです。 そして、この熱帯魚のようにきれいな魚がブルーギルです。今日は20cmぐらいの大きい個体が捕れました。この魚もオオクチバスと同じように、日本の魚たちの卵などを食べてしまいます。 この川の水質を考えると食べることはおすすめしませんが、この2種類はきちんと料理すると、美味しく食べることができます。先生が住んでいる滋賀県では、小学校の給食でフライなどで使われているんですよ。琵琶湖博物館のレストランでは、バス丼なんかも出しています。第1回の自然楽習会は、滋賀県のブルーギルをフライにしてみんなで食べましたが、美味しかったですよ。 メダカによく似たカダヤシも、たくさん捕れていましたね。大正川には4〜5年前までメダカがいましたが、カダヤシの方が繁殖力があり、今はメダカがいなくなってしまいました。ウシガエルのオタマジャクシもいましたね。ウシガエルは食用ガエルとも呼ばれており、かつては食料として養殖もされていましたが、現在は食べることも少なく全国で増え続けています。 もう一度言いますが、この水槽に入っているのは「特定外来種」です。姿形をよく観察しておいてください。しかし、皆さん、誤解しないでくださいね。テレビや新聞などでは、ブラックバスやブルーギルをよく悪者扱いしますが、生きものが勝手に日本にやって来たのではありません。では、どうして外国の生きものが日本で増えているのでしょう? ■保護者 B ■川島先生 はい、では、こちらの水槽に話を変えます。 ■子どもたち ■川島先生 ■子どもたち ■川島先生 大正川には、シジミやタニシ、アメンボやトンボも、サギやセグロセキレイなど、たくさんの生きものがいましたね。魚だけでなく、両生類や爬虫類、鳥類など、いろんな種類の生きものが一緒に暮らしていることが大切です。今年は国際生物多様性年になので「生物多様性」という言葉を耳にすることが多いと思います。自分たちが住んでいる地域で、ぜひ生きものたちを観察してください。そして、多様な種が共存することによって、豊かな環境がつくられていることを感じてほしいと思います。 第0回 自然楽習会 ~都心部で、里山で、生きものを捕ってみよう!!~ 第1回 自然楽習会 in 藤ノ木川 ~比叡山坂本で、生きものを捕ってみよう!!~ 第2回 自然楽習会 in 大川 ~都会の川を散歩しながら、虫を探してみよう!!~ 第3回 自然楽習会 in 大正川 〜茨木市の街中で、生きものを捕ってみよう!!〜 第4回 自然楽習会 in 正修寺 〜茨木の里山で、虫を探してみよう!!〜 第5回 自然楽習会 in 北川 〜福井県の山で、アユを捕ってみよう!!〜 第6回 自然楽習会 in 藻川 〜猪名川の支流・藻川で、生きものを捕ってみよう!!〜 第7回 自然楽習会 in 茨木市 〜茨木の生きものたちを、描いてみよう!!〜 プログラム検索に戻る |