NO団体名主な企画内容
13 柏の葉サイエンスエデュケーションラボ(千葉県) 「理科の修学旅行 〜アクティブラーニングで海と山と川と教室をつなぐ〜」
身近な海・川・山をフィールドに、理科学習の原体験である自然体験や、自然環境について理解を深める。また独自の開発した生徒の主体的な学習を促すプログラムを活用して、仲間と深く考えながら課題を解決する力を養う企画。

速報レポート2 ~海が教えてくれること~ 1日目

実施日時:2016年7月16日(土)
実施場所:千葉県鴨川市太海(宿泊場所:千葉県立鴨川青年の家)
参加人数:小学3年生~6年生 46名、指導員11名
位置づけ

 「理科の修学旅行」は自然体験活動を通じて、身の回りの自然の中に潜む不思議な現象に触れ、身近な理科・科学に親しむ合宿型の理科教室です。過去4回実施してきましたが、今年度は「第一弾:海が教えてくれること(7月)」で海の自然に、「第二弾:山が教えてくれること(10月)」で山の自然に触れる二部構成で行います。海、山、そして両者を結ぶ川の、幅広い自然現象に触れ合い、これらのつながりを学べるプログラムです。本稿では、海の日にちなみ、千葉県は鴨川の海岸で実施した第一弾「海が教えてくれること」で初日の様子をご報告いたします。

スケジュール

1日目(7月16日)
07:00 柏の葉キャンパス駅に集合、出発
11:00 千葉県立鴨川青年の家到着、入所、昼食
13:00 自然体験(満潮の観察、漂着物の回収)
15:00 理科学習(集めた漂着物から海流を考える)
17:00 夕食、入浴
19:00 宇宙科学解説、天体観察
21:00 就寝

眠い目をこすりつつ、期待に胸を膨らませながら、午前7:00、子供達が集合しました。集合場所でもしおりに目を通し、3日間の旅程に思いを馳せます。残念ながら体調不良のため、2名の参加者が当日キャンセルとなってしまいましたが、彼らの思いも乗せ、バスは柏の葉から鴨川へ旅立ちました。同じ千葉県内ですが、高速道路を使っても4時間の道のりです。到着後、荷物を部屋に入れ、入所式を終えて昼食を食べたら、いよいよプログラムの始まりです!


集合場所でもしおりを見ながら3日間で学べることをおさらいしていました。



はじめましての参加者同士やスタッフとも、バスの車内で打ち解けます。


【理科学習①:潮の満ち引きの観察】
潮が満ち引きすることは知っていても、海岸線がどのくらい変化するのかは見たこともないしイメージもできない、という方は年代を問わずたくさんいることでしょう。小学生となればなおさらです。少し水を向けてあげると、どうして潮の満ち引きが起こるのだろう?どのくらい海の様子が変わるのだろう?と疑問を持つ子どもは今回の参加者の中にも多数いました。「潮の満ち引き観察」では、満潮になったときに海岸のどこまで潮がくるかを班ごとに予想し、満潮の1時間前に柵を立てました。各班に渡された柵は2本。海に近すぎると波にさらわれてしまい、明日の干潮時に分からなくなってしまう。けど遠すぎても基準が分からなくなってしまう。「この場所に、石や海藻が溜まっているよ。」「海岸にずっと続いているね。」「ということは、この石や海藻のある位置が目印になるのかな…?」班のみんなで一生懸命議論しながら柵を打つ位置を決めました。さて、明朝の干潮時、柵はどうなっているのかな?結果を見られるのをドキドキしながら一晩寝かせます。


班のメンバーで相談しながら柵を打っていきます。

3班にそれぞれ2本、合計6本の柵が海岸に並びました。

【理科学習②:漂流物から潮の流れを学ぼう】
海岸には潮の流れに乗って様々なものが運ばれてきます。清掃ボランティアの方々が小まめに掃除してくださっているにも関わらず、残念ながら多くの漂着物が落ちています。そのほとんどはゴミ。でも、漂着したゴミだって、大事な学習教材。漂着物を拾って、それがどこからやってきたのかを子どもたちと考えます。「韓国語で書いてあるよ!」「こっちは英語だ!」「この漢字知らない、中国語かな?」「この缶、すごく古そうだし錆びているよ。長い時間、海を漂ったのかな?」「まだ新鮮なナスやキュウリがある、近くでBBQした人が捨てたのかな」など、子どもたちの好奇心や想像力は大人の予想以上。次々と漂着物を集めて、それらのルーツを予想していました。傍らで海岸整備をしていた地元のボランティアの皆さんは、楽しそうにゴミ拾いに勤しむ子供達に感心しきり。とてもほめてくださり、子供達も鼻高々です。一方、理科学習のために始めた漂着物集めを通じて、海岸にはたくさんのゴミが流れ着き、景観を悪化させ、環境に悪影響を与えていることにも気づきました。大人が無理に教え込むのではなく、体験活動を通じて自発的に環境学習も行なうことができました。


次々とゴミを拾ってくる子供達。中には珍しいものもたくさん!

理科の学習のために行なったゴミ拾いは、もちろん海岸の清掃活動にもなっています。

海岸での活動を終えた後は、青年の家に戻って振り返り学習を行ないます。どんな漂着物が見つかったのか、他の班のメンバーとも共有し、分類していきます。もっとも多かったのはペットボトル、その次が漁業系のゴミ、などと次々に意見が飛び出します。フランス語やスペイン語、アラビア語などが書かれたゴミは見つからなかったことや、ビンや金属など重いものは少なくペットボトルなど軽いものが多いことに興味を持ち、今回扱ったプログラムの中ではもっとも地味で難しい内容にもかかわらず、自由研究にしたいと熱心に写真を撮影している姿も見られました。


回収した漂着物を宿舎の玄関先に並べて分類します。作業の中心はもちろん子供達。

漂着物を集めて終わりにするのではなく、プログラム終了後には振り返り学習会を行ないます。

【理科学習③ 天体観察】
残念ながら星空は分厚い雲に覆われて満天の星や天の川は見られませんでした。そこで天文学・宇宙科学の現時点で最新の知見が全て詰まったシミュレーションソフトを使い、テレビで天文学の解説も行なっている専門家が宇宙についてのレクチャーを行ないました。神話から星座、今日見えるであろう星空、月や惑星の話から宇宙の果ての話まで、話題が尽きることはありません。
レクチャーが終わって外を見ると、雲の隙間から月と火星が見え隠れしているではありませんか!そこで望遠鏡を3台持ち出し、急遽天体観察会を行ないました。初めて望遠鏡をのぞいた子も多く「月が近くに見える」「火星ってホントに赤いんだね、でもあんまり大きくは見えない」などなど、様々な感想を漏らしていました。


3台の望遠鏡を調整して月と火星をのぞきました。

月や火星が雲間から抜けると、それまで真っ暗だった視界に像が見えるようになります。その瞬間を行儀良く並んで順番に待っていました。

満潮・干潮、天体観察など、時間帯によって体験できるプログラムは異なります。時間を十二分に使いつつ、どの時間にもそのタイミングに適したプログラムを行ないながら、座学も交え、スタッフも子供達も、頭と体をフル回転して学びました。でも、2泊3日の修学旅行は始まったばかり。ゆっくり休んで、また明日のプログラムに備えましょう。21:00就寝。



速報レポート1
速報レポート2 ~海が教えてくれること~ 1日目
速報レポート3 ~海が教えてくれること~ 2日目
速報レポート4 ~海が教えてくれること~ 3日目
速報レポート5 ~海が教えてくれること~ 自由研究相談会
速報レポート6 ~海が教えてくれること~ 自由研究コンテスト
速報レポート7 山が教えてくれること:事前学習会

■別年度のレポート
2015年度 理科の体験農業 実施レポート
2014年度 理科の修学旅行 実施レポート

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