NO団体名主な企画内容
46 一般社団法人 広島県山岳連盟(広島県) 「わんぱく登山部」
登山活動の普及を通して、長期的な社会貢献を目指す活動。その一環として「こども山遊びクラブ」を開催。山登りや沢登りで、子どもたちに「楽しい」「好き」といった気持ちの原体験を提供する。同時に登山の活性化や「山行中の屎尿の持ち帰り」などを実践し、社会に提言する。

わんぱく登山部 5月活動速報レポート2 生まれたての森を探険!

日程    : 5月17日(日) 雨 ※2班
場所    : 広島県廿日市市吉和町 吉和冠山 (標高1339m)
活動部員数 : 部員16名(男10子名 女子6名)※小学校3~6年生
        スタッフ5名
ねらい

深い山へ分け入っていく楽しさ
山をフィールドとした冒険心の芽生え
「山って面白い!」更なる好奇心へ。

5月17日(日)タイムスケジュール
7:20 横川集合・出発
8:30 PA休憩(ちょこっと遊び)
8:50 登山口到着・準備
9:10 登山開始
11:30 昼食(キャベツのお味噌汁)
13:00 頂上
13:30 下山開始
15:00 下山
15:30 現地出発
16:30 PA休憩
17:20 横川着





運営ポイント

こどものあそびが発展するような関わりで、かつ邪魔をしないように。
まだ2回目のため新規のこどもは特に注意して見守り、まずは大人との信頼関係が築けるように関わる。
沢や水場があり、植生が豊かで分け入っていくような雰囲気の山を選択。
頂上で高さが感じられる山。

安全管理ポイント

今年から「おしっこタイム」をとる。強制的にトイレの時間を確保。

実施の概要

わんぱく登山部としては2回目の活動。4月の活動が不完全燃焼(山が小さすぎた)に終わったこともあり、今回はジャングルのように豊かな植生と、こどもの遊びが発展しやすいような場所が見受けられる山、また眺望が望める山(達成感)、かつ「ちょっと頑張る必要がある」山を選んで、こども達の山への好奇心を掻き立てることを目指した。
が、当日の天候は「激しい雨に厳しい寒さ」。たいがいの雨ならば森に入ればある程度雨露がしのげるし、それなりの遊び方や楽しみ方ができるのだが、今回はちょっとそれどころではなかった。楽しい雨、というよりも「克服しなければいけない雨」。

こども達の様子

山になれた継続部員のこども達は案外平気そうに登っていた。カッパは暑いし面倒くさいから傘を片手にひょいひょい登っている子も。「ようやくカッパを着られた!」と喜ぶ女の子もいたようだ。(重いのに晴れても毎回持って行くのが内心不満だったわけで。今回は元をとった?)
新規のこども達には何が何やらわからないまま、とにかくカッパを着てついていった、という感じ。遊んで楽しい、というよりも、ぬきさしならない状況を無心でもくもくとやり過ごしている。時間が経てばたつほど雨は激しくなる一方で、寒気まで入ってきて昼食時は冬のような寒さ。温かい具だくさんの味噌汁がありがたくて、みんなむさぼるように食べて…昼食はほとんどサバイバルな雰囲気だった。
ようやくついた頂上も完全ガス…。「寒いけ~はよおりようや…」とはこどもよりも大人の気持ち。寒すぎて「遊ぶ」という発想にはあまりならなかった。





運営について

これだけの激しい雨と寒さの中の山は、これがぎりぎり。これ以上ひどい場合は避難か中止である。
今年は天気が安定しない。「この時期はこんな気候でこんな山が楽しめる」という経験が裏切られることが多い。自然のことなので従うしかないけれど、そんな中でどんな楽しみがあるかも探っていきたい。

プログラムの設定について

予想外の雨と寒さ。「う~ん…こんな日は外に出てもあんまり楽しくない…」という感じである。
さすがに元気に遊ぶ気にはなれないし、こうなったら大人の例会でも「はよ~おりて温泉に入るのがたのしみじゃ~」となるはず。なすすべがなかったというのが正直なところ。温泉に入っても良かったな…。

総合評価

ねらいに関しては今一歩?あのどしゃぶり雨の山がこども達にどんな気持ちをもたらしたのか。
もちろん、あのような雨や寒さも自然の姿だから、それを経験するというのは悪くない。人の小賢しい「ねらい」というものに照らし合わせれば今回の活動は「成果なし」となるのだろうけれど。

「のぼってヤッター!」のすっきり登山で、こどものハートをがっちり掴みたい!
そんな浅ましくも小賢しい人間の思惑は、自然の大きな流れの前には無力で無きに等しい。そもそも、自然を楽しもうという山遊びに毎回なにやらのテーマやねらいをつけましょう、ということ自体に無理があるのかも…と思うことの多い今年度。最近は自分がやっていることが滑稽に思えてきた。

今回はほとんどサバイバル状態。雨が実はこんなに寒くて、5月でも冬のようにがたがた震える状況があって、セーターなんかも着て…。リュックから着る物やおわんを出すのも億劫。頑張らなくちゃ食べるものも食べられない。そんな状況を新規のこどもに関んしては、たった2回目にして提供することになってしまった。
「山や自然の中で遊ぶことを好きになってほしい」という気持ちが強くて、活動中、彼らが山嫌い、自然嫌いになってしまわないだろうか、と内心びくびくしていた。そんなだから、正直なところ本当はこども達の様子を芯から観察出来ていない。もっと自然やこどもを信用して良いのだと、後から思う。
自然は平等で、こどもはそんなに馬鹿じゃないし弱くもない。何を楽しいと感じるかは、彼らの自由である。

我々の仕事はとにかくこどもを自然へ連れ出すこと。
連れ出しさえできれば我々の勝利なのだと、もう一度初心に帰った今回でした。