NO団体名主な企画内容
25 冒険教育を推進する会(長野県) 「おたり森の子クラブ2010」
イカダの上での水上泊や森の中の秘密基地作り、懸垂下落など、普段の生活では味わえないダイナミックなチャレンジで「日常にはない大きな心の揺れ」を、子どもたちの心に感じさせる活動。

おたり森の子クラブ第6回 速報レポート

 5月に始まったおたり森の子クラブ2010も今回が6回目。今年最後の回にも多くの子どもたちが集まってくれました。

 開校式では森の子クラブでの3つの約束、「どんなことにも思い切ってチャレンジすること」「仲間と一緒に最後まであきらめないでチャレンジをやりきること」「インストラクターに頼らず、自分のことは自分ですること」をもう一度確認しました。また、寒くなったり暑くなったりするので風邪をひかないように気をつけること、自転車の旅なので転倒したりぶつかったりして怪我をしないようにすることも伝えられました。
 その後、初めて会う仲間や夏休み前の第4回以来3カ月振りに会う仲間と自己紹介をしました。ほとんどの子どもたちにとっては森の子クラブ初の3日間のプログラムで、チャレンジ前のワクワクした気持ちや少しドキドキした気持ちをグループの仲間と共有し、最後の最後までチャレンジすることを確認して今回のチャレンジが始まりました。

 まずはMTB(マウンテンバイク)での遠征の準備です。最初にインストラクターから今回のチャレンジの全行程が伝えられました。2泊3日をかけて幾つもの峠を越え、約100kmを走破して新潟県上越市の海岸を目指すという大人でも大変なチャレンジに、子どもたちは不安と期待が入り混じったような表情を見せていました。
 雨具や防寒着、ヘッドランプなど、自分で背負う荷物をデイパックに入れ、ヘルメットや肘膝を守るパッドをつけると、実際にMTBに乗って練習を始めました。MTBに乗ったことがある子やない子、普段よく自転車に乗る子やめったに乗らない子など様々でしたが、今回の遠征中に怪我をしないよう、出発前にしっかりと練習をしました。

 昼食をとり、お腹も満たされたところでいよいよ遠征に出発です。1日目は3・4年生グループ(低学年グループ)と5・6年生グループ(高学年グループ)とで出発地点、ゴール地点が違っていました。雨が降ったり止んだりするなかでの出発でしたが、両グループとも勢いよく出発し、この日の決められたゴール時間を目指して進んで行きました。
 両グループのルートにも遠征1日目から峠越えがありました。頑張って上り坂をMTBをこぎながら越えようとしている子やMTBを歩いて押しながらでも前に進もうとしている子、上り坂のしんどさに気持ちが負けてしまってうつむきながらトボトボと歩いている子など、一人ひとりの子どもたちの気持ちは様々でした。低学年グループは目標の4時半ゴールの数分前に目的地に到着、高学年グループは目標の時間より30分ほど遅れてこの日はゴールしました。
 雨が依然降ったり止んだりする中、テントを立てて寝る準備をし、夕食を食べた後、いつものようにこの日のチャレンジをふりかえって話をしました。ふりかえりではその日のチャレンジ中に感じた気持ちを話し、仲間の気持ちを聞き、次の日に向けてどんな気持ちでチャレンジをするかをグループのメンバー全員で共有します。
「上り坂が急すぎてMTBをこげなかった。無理だ、とあきらめていた」
「目標の時間までに着きたくて頑張った。けど間に合わなくて悔しかった」
「みんなで時間までにゴールできてうれしかった。MTBは上り坂も下り坂も大変だったけど頑張った」
 1日目は目標に向かって頑張っていた子、チャレンジのしんどさに気持ちが負けてしまっていた子、慣れないMTBを操るので精いっぱいな子など、同じチャレンジをしながらいろいろな気持ちを感じていたようです。
 2日目に向けては、
「明日はみんなで目標時間にゴールする!」
「上り坂でも頑張ってMTBをこいでゴールを目指す」
「しんどくても最後までチャレンジする」
と、距離も長く、峠の標高も高い2日目に向けての気持ちを確認し、次の日に備えて早めに寝袋に入りました。




 天気予報がいい方向に外れて晴れの日となった2日目、両グループともに6時〜7時の間にそれぞれのキャンプ場をスタートしました。

 10月の爽やかな青空の下、子どもたちのMTBはこの日のゴールを目指して進んで行きました。前半は小さな峠を越え、車もあまり走っていない山間の道を峠への上り坂に向かってこいでいました。朝は元気よくスタートしましたが、上り坂が続くと、気持ちが折れてしまうことが何度かありました。一人ではなく、それぞれ8人のグループで走っているのでペースが合わず、先頭から最後尾までの距離がどんどん離れてしまう場面もあり、「みんなで頑張って一緒にゴールしたい」気持ちも揺らいでしまいました。それでもときどきインストラクターと気持ちを確認し、グループ全員で2日目の目的地に向けて走り続けました。

 遠征最大の峠は標高差約450メートル、距離は5キロにもなります。昼食をとった後、峠への長い上り坂でのチャレンジが始まりました。





 1日目の上り坂と同じように子どもたちはいろいろな気持ちを感じながら、でもこの日は前日よりもへこたれずに、あきらめずに頑張っている姿が多くみられたように思います。前日の経験や気持ちをふりかえって次の日の目標を明確にしたことが生かされているようでした。約2時間かけて上り坂を走破し、全員無事に峠に着きました。
 長い上り坂の後は長い下り坂です。スピードが出すぎて転倒しないよう、ブレーキをかけながらゆっくり下っていきます。下りきったところにある公園がこの日のゴール。両グループとも大きな怪我なく、全員ゴールにたどり着きました。





 時折ザーッと降る雨の中、テントを立て、夕食をとり、この日のチャレンジをふりかえりました。
「時間に間に合うかどうか不安だったけど、頑張ってこいで、間に合ってよかった」
「上り坂がしんどかった。でも最後はみんなでゴールできて嬉しかった」
「先頭のほうの人と後ろの人が離れることが何度もあった。明日は離れないようにみんなで声を掛け合っていきたい」
「明日は絶対に日本海にゴールしたい」
 長い一日のチャレンジを終えた後でもあり、みんな疲れていましたが、次の日のゴールに向けては「絶対にゴールする」と強い気持ちをもっていました。天気が荒れずにいいコンディションの中で最終日を迎えられることを祈りつつ、この日も早めに休みました。

 最終日も暗いうちに起きた子どもたちは準備を済ませ、自転車にライトをつけて日の出直前にスタートしました。最終日はスタート後に峠を一つ越え、日本海まで川沿いの道を下り、最後は海沿いのサイクリングロードをゴールまで走る約40kmの道のり。前日に最大の峠を越えている子どもたちは、最後の峠を力いっぱいMTBをこいで越えて行きました。「絶対に日本海にゴールするぞ!」という気持ちが子どもたちを力強く前に押し進めていました。峠の手前では日本海が遠くに見え、子どもたちの気持ちも更にゴールへと向かっていきました。

 峠を越え、長い下り坂を安全に下り、川沿いの道を日本海へひた走るとサイクリングロードへ。太陽が見え隠れする中、グループは文字通り一丸となって最後の力を振り絞り、ゴールへと突き進みました。

 サイクリングロードが終わるとゴールは目の前。最後は砂浜にゴールラインを引き、全員並んで同時にゴール!一つのグループはタイムリミット20分前に、もう一つのグループは5分前の劇的なゴールでした。ゴール後は100kmの道のりを自分の力でチャレンジした人だけが味わうことのできる達成感や満足感を、一緒にチャレンジした仲間とともに味わい、ゴールできた喜びをわかちあいました。





「絶対にゴールするぞって思っていた。最後まであきらめずにチャレンジしてよかった」
「タイムリミット前にゴールできてすごく嬉しかった。上り坂はしんどかったけど、でもみんなで一緒に頑張った」
「自分の力を100%出した。今日は絶対にグループ全員で時間までにゴールしたかった」
 子どもたちは3日間のチャレンジをやり終えた後とは思えないほど元気に海で遊び、最後のふりかえりではチャレンジをやり遂げた嬉しさ、グループ全員で最後まで頑張ってゴールした喜びを話していました。

 今年最後の森の子クラブは1時間ごとに変わる不安定な天候の中、子どもたちがその力を全て出し切ってチャレンジし、全員があきらめずに最後までやり遂げました。一人ひとりがこれまでの森の子クラブでのチャレンジや今回のチャレンジを通して少しずつ、ですが確実に成長していると感じています。これからも大自然でのダイナミックなチャレンジを、その中でやらされるチャレンジではなく自分からやってやるぞと思えるチャレンジを、子どもたちの成長に必要不可欠な「体験」として提供していきます。


おたり森の子クラブ第1回 速報レポート
おたり森の子クラブ第2回 速報レポート
おたり森の子クラブ第3回 速報レポート
おたり森の子クラブ第4回 速報レポート
おたり森の子クラブ第5回 速報レポート
おたり森の子クラブ第6回 速報レポート

■別年度のレポート
2011年度 子どもたちのための冒険キャンプ『ジュニアアドベンチャー2011』 実施レポート
2009年度 子ども達のための冒険キャンプ『ジュニアアドベンチャー15日間 2009』 実施レポート
2008年度 おたり森の子クラブ2008 実施レポート
2002年度 ジュニアアドベンチャー2002 サマーキャンプ 実施レポート

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