NO団体名主な企画内容
50 久米島ホタルの会(沖縄県) 「久米島・ホタルとつながる絆を呼びもどす泥んこホタレンジャー活動」
地元の自然を知り、自然環境の復元と再生のための活動。学校での出前授業や環境整備、月に数回ホタルや水辺の生き物の観察を行い、島中ホタルが舞い飛ぶ夜空の実現には何が必要か子どもたちに気づかせる企画。

速報レポート9「ホタレンジャーオリエンテーション5日目」

実施日時:5月7日
     1.AM9:30〜PM12:00
     2.PM2:00〜5:00
     3.PM7:00〜8:00
実施場所:1.だるま山 2.カンジンダム南棚田 3.久米島ホタル館
参加者 :26名 久米島ホタレンジャー (久米島島内小・中学生・一般)
     講師:久米島ホタル館館長 スタッフ5名
活動内容

1.だるま山モニタリング1000
ホタル館からだるま山まで、徒歩で、2時間ほどかかる山道を、人工度の高い場所から自然度の高い場所というエリアに沿って、そこで見られる生きもの達を、記録して歩く調査観察会を行いました。この活動は、日本自然保護協会の行っているモニタリング1000への登録で行っており、100年後の未来のために、今の久米島の自然環境を記録しておこうという取り組みですが、このモニタリング1000の行程は、単純にホタル館からだるま山までの道のりを歩いているだけではなく、公園地・畑・森の入り口・森の中を、歩きながら、そこで見つけた生きもの達が、その環境で生きている事を、子ども達が体験として理解することも、視野に入れながら活動しています。そうすることで、昔ながらの里山と、自然林の区別を理解する事ができます。
小さなキャパシティの久米島では、もともとは森林であった場所を開墾しながら畑を広げてきました。
そのため、森で生きている生きもの達が、畑に迷い込んでくる事があったと思います。その現象を目撃して、いつの間にか、畑の作物を食い荒らす害虫が、森で発生していると思い込み、取り違えた発生源対策として、畑の近くの森にまで、除草剤や農薬を撒き散らす様な行為を、今でも行なう人がいるのです。
こうした例は、ごく一部ですが、自然環境の仕組みを、本当に理解する事ができれば、もっと安全に、多くの人々が、この島の生きもの達と、安心して暮らすことが出来ると、私達は考え、機会あるごとに、ホタレンジャーの子ども達を、フィールドへと誘っているのです。
自然を理解するには、知識も大切ですが、調査やゴミ拾いの活動をすることで、意外なくらい体力も身につきます。そして、何よりも身につくのは、様々なストレスを受ける事で培われる強い忍耐力と、生きものの命を間近に感じる事で育まれる生きる力なのです。
これは、人間として生きていくうえで、とても大きな自信になります.。
ホタレンジャーの子ども達に、この想いが届くか届かないかは、活動を、継続していかなければ、その答えはないのかも知れませんが、私自身は、今、この時の、この瞬間を、共有している事が、とても大切だと信じています。
この日は、梅雨の湿度と、気温の上昇で、誰もが汗だくで活動していました。
「暑〜い、もう暑いさぁ〜」と口にしながらも、ホタレンジャーの子ども達は、「館長さ〜ん、これ、なぁにぃ〜」と、見つけたものを館長に伝えて、ちゃんと、記録してもらう事には、抜かりありません。
ホタルの会の活動は、5年目のホタレンジャーの子ども達に、間違いなく支えられ、力強く育まれています。毎週土曜日の晴れた日の午前中にこうして山道を歩くという活動の継続からは、様々な気づきがあります。

2.シマカナメモチ計測と植栽
「これから、シマカナメモチの生育記録の方法について、説明しま〜す。」そう言って、ホタルの会の農業青年メンバーは、小中学生のホタレンジャーの子ども達に、実際に仕事でも通用している植物の計測方法を教えてくれました。ホタレンジャーの子ども達は、日増しに”ホタルとつながる久米島の自然生態系を学び、守り育て、伝える”という活動目的への、自覚と、意欲を、高めてきています。自然を学ぶためには、自然を観察することや、調べる事が必要ですが、そのための指導者や案内者によって、自然の学びは、千差万別になります。ホタル館の館長は、専門的であることはもちろんですが、解らない事、不思議な事を、調べて理解しようとする意欲や、偏りの無い、モノの見方考え方で、様々な問題を、解決しようという姿勢が、私たちや、ホタレンジャーの子どもたちに、”自覚的な生き方”という強い影響を与えてくれます。この日行ったような、植物の成長を計測する方法が、解るようになったからと言って、直ぐに、勉強や成績に反映されるという訳ではありません。それでも、植物を、計測するという、普段では、あまりない体験から、子どもたちは様々な事に、気づく機会を得る事が出来ると考えています。そして、小さな子どもたちが理解できるようにと、前日に工夫して作った、手作りの計測器を駆使しながら、計測方法を一生懸命に、教えようとしている農業青年達も、また、子ども達への、技術の継承という関わり方で、世代を超えた仲間づくりを、学ぶ機会を得ているのです。
私たち、久米島ホタルの会やホタレンジャーの子どもたちは、久米島で生まれ育った人も、他の市町村や県から移り住んだ人も、片親が外国人の人も、大人も子どもも世代や性別も分け隔てなく参加し、活動しています。現在、中心になっている私やホタル館の館長が、久米島の生まれや育ちをしていなくとも、私たちは、間違いなく、この久米島で、まじめに一生懸命に生きています。”久米島の自然を守る活動は、本当は、久米島の人がやるべきで、余所者が、あれこれもっともらしいことを言うのは問題だ!”と、非難する一部の人達の棘は、確かに痛く辛いものですが、現実的にこの島の自然環境や生きもの達は、私達の実際の活動によって、間違いなく再生し始めました。自然や生きものたちは、正直です。人間の都合に合わせての回復をしてはくれません。その現象の応えに真実を知り、本当に大切なことは何かに気付き、人や自然と共に生きていく事を臨む想いで暮らそうと、つながり始めた人々や、遠く離れていても、この島の自然を大切にしてほしいと願う人々からの応援の輪は、確実に広がり、私たちを、心底、勇気付けてくれています。その想いに支えられながら、私たちは、ホタルの会のメンバーやホタレンジャーの子ども達と一緒に、傷ついた島の自然を、手当てするように、島の自生の植物を育て、森をつくり、その植物とつながる多様な生きもの達の生態系を大切にすることで、人の暮らしを、真に豊かにしていく生き方を、模索しています。自然に存在する、危険な生きものや、害になる植物を、排除して、人の暮らしの範囲を広げ、整えていく方法を、ある意味当然だと考える人がいますが、それは、この小さな島の自然環境が、島の人の暮らしを支える自然浄化システムの役割がある事や島の特色や魅力となっている事を、置き去りにした穿った考えでもある事に、気づいてほしいのです。
この小さな島に存在している人と自然は、互いに、共存する関わりでこそ明るい未来があると信じています。そして、その方法は、決して難しいものではありません、私たち人間が、自然に存在する危険な生きものや、害になる植物の知識を身につけ、その被害を最小限に抑える方法を、自然をよく知っている人から、偏見を持たずに、真摯に学ぶ事です。
そのお手本は、すぐ傍にいる、私たちの小さな先輩、・・・・。
この島で共に暮らし、未来を夢見る逞しい子ども達と、その子ども達の濁りなき眼の中に映る、私たち自身の、決して失ってはいけない”素直で美しい心”なのだと想います。

3.ホタル観察会
沖縄テレビ、報道番組の取材依頼を受けて、久米島ホタル館で行われているホタル観察会に、ホタレンジャーも参加しました。久米島ホタル館は、平成11年、大田集落を流れる浦地川に隣接するように建てられました。その当時の浦地川は、テナガエビやユゴイ、ヨシノボリなどの魚やエビ等の生きものはいましたが、上流にある農地から流れ出す赤土が川底を覆い、薄汚れた藻が生えて、現在のように川底の石が見えることはありませんでした。しかし、30年ほど以前は、洗濯をしたり、川に飛び込んで泳いだり、テナガエビを捕って食べることも出来た、近くに住む大田区民にとっては、本当に身近な生活の場、遊びの場だったそうです。その浦地川を、再生させる為の方策として、久米島ホタル館の館長は、平成15年から平成21年度まで行なわれた沖縄県の耕土流出防止対策事業で、浦地川の中流域の土地改良区(大屋)に、赤土流出防止を目的にした沈砂池を、設置するように提案しました。県では、沈砂池の効果について館長が力説する”川の汚れが軽減されれば、クメジマボタルが飛ぶ!”という事を、”立証できるなら”と、事業を進めてくれたのです。
そして、今年、その効果を立証するようにクメジマボタルが、ホタル館の浦地川を飛び交い、こうして、テレビの取材を受けるほどのホタル観察会を行うことが出来ました。


速報レポート1「大岳幼小学校の泥んこ田植え体験」
速報レポート2「復興支援ホタル観察会」
速報レポート3「島の自然を教えてくれる・クメジマボタルの観察会」
速報レポート4「島の遠足を、泥んこになって感じよう!」
速報レポート5「ホタレンジャーオリエンテーション1日目」
速報レポート6「ホタレンジャーオリエンテーション2日目」
速報レポート7「ホタレンジャーオリエンテーション3日目」
速報レポート8「ホタレンジャーオリエンテーション4日目」
速報レポート9「ホタレンジャーオリエンテーション5日目」
速報レポート10「ホタレンジャー調査活動」
速報レポート11「大岳小学校のびのびエコクラブ」ホタル館の生きもの調べ
速報レポート12「離島体験交流事業」ホタル館で泥んこ自然探索ミッションゲーム
速報レポート13「久米島小学校4年生親子レクレーション」
速報レポート14「清水幼稚園川遊び体験」
速報レポート15「グローバルスポーツと、ホタレンジャーの泥んこカンジンダム作業」
速報レポート16 ホタレンジャー阿嘉湿地生きもの調査
速報レポート17 ホタレンジャーモニタリング100
速報レポート18 立神海岸クリーンアップ活動
速報レポート19 清水小学校の川の生きもの調べ
速報レポート20 ホタレンジャーの川遊び
速報レポート21 ホタレンジャーの『ハッピー・エコリュクス』イベント準備
速報レポート22 外来魚のバスターフィッシング『ハッピー・エコリュクス』
速報レポート23 仲里幼稚園、あずかり保育の川遊び
速報レポート24 ホタレンジャー、泥んこ冒険キャンプ 1日目
速報レポート25 ホタレンジャー泥んこキャンプ 2日目午前
速報レポート26 ホタレンジャー泥んこキャンプ 2日目午後
速報レポート27 ホタレンジャー泥んこキャンプ 3日目午前
速報レポート28 ホタレンジャー泥んこキャンプ 3日目午後

■別年度のレポート
2016年度 久米島ホタルとトンボのビオトープ&秘密基地づくり 実施レポート
2015年度 久米島・ホタルレンジャーがつぐむ、人とホタルの里づくり 実施レポート

プログラム検索に戻る