NO団体名主な企画内容
42 彦名地区チビッ子環境パトロール隊(鳥取県) 「きれいで美しい泳げる中海を取り戻そう」
町内の環境パトロールや、使用済み割りばしを回収して紙に再生する活動。天ぷら油の再利用など、環境保全を基軸にした活動を持続的に取り組む。

速報レポート11 環境新聞『中海』の継続発行

実施日 :毎月1日発行・町内全戸配布
実施場所:新聞編集・作成 向井哲朗  新聞印刷 彦名公民館
参加者 :全町民、町内外の関係者
環境新聞『中海』の継続発行

  サポーター  向井哲朗

(1)背景
 近年では経済社会のあり方が大きく変化し、人々の価値観が多様化するなかで、住民一人ひとりが環境を含めた生活の豊かさを享受できる社会を目指していくことが、これからの地域づくりに求められ、大きな課題となっている。しかしその方策は行政主体の取り組みだけでは不充分であり、住民サイドからの自主的・積極的な活動の展開が望まれる。
 とりわけ、今日的な課題として大きくクローズアップされてきている持続可能なライフスタイルや経済社会システムを実現するためには、それぞれの主体が環境に関心を持って、自分たちの責任と役割を果たしながら対処していく必要がある。それには、こどもから高齢者までのそれぞれの年齢層に応じて、学校・地域・家庭・野外等いろいろな場で、人間と環境の関わり方、人間の活動が環境に及ぼす影響、自然の仕組み等環境に関する教育や具体的な学習を進めていくこと、さらには実体験を通じての感性や環境を大切にする心を育てていくことが極めて重要となる。
 また、住民が自らの地域が持っているかけがえのない魅力を見つけ守り育てていくこと、すなわちそれぞれの地域のもつ自然風土、歴史、文化,人材などの良さをいかに引き出すかが重要な焦点になる。

(2)活動の経緯
 私たち中海湖岸流域の住民は、生まれてから今日までずっと中海の近くに住んでいる。昭和20年代末までは、この中海で夏には毎日真っ黒になって泳ぎ、青竹の釣竿でセイゴ、メバルなどが面白いほど釣れ、海草や貝もたくさんとれた。しかし、このような中海も昭和30年代の初期の頃までで、それ以降は水が少しづつ汚れてきて水泳も出来なくなり、魚貝類や海草類も少なくなった40年代には汚れが一層進み、50年代には赤潮が多発、汚濁が更に悪化した中海になってしまった。
 社会経済の発展、生活文化の向上は、私達が想像もしなかった短い期間で先祖から受け継いできた貴重な財産である天然汽水湖中海を蝕み続け、知らず知らずのうちに汚してしまった。改めて私達はこの湖の大切さを知らされ、今や中海の水質浄化、水質保全は、この流域住民総ての願いとなっている。この様な現況にあって、私はこれまで誰もが毎日の生活の中でちょっとした気配りと工夫で出来る環境改善活動を単に問題提起だけで終わらせてしまいがちであった反省から、私たちの地域の固有の財産である「中海」について「こどもも大人も身近な環境問題を五感で感じることが課題解決へ繋がる近道」との発想のもと 私は1990年6月地元の次代を担うこども達に呼びかけて昔の原風景『泳げる中海を取り戻すには』を活動のテーマにかかげ、集まった環境に関心のあるチビッ子と『彦名地区チビッ子環境パトロール隊』を立上げた。

 こどもと同じ目線に立って環境パトロール、美化清掃,めだか探検調査、中海の湖上観測等めぐまれた自然環境の中で遊び心も取り入れて、自然の大切を学ぶという体験的な活動を行なって環境問題に関心を持って対処して行こうというものである。保護者の皆さんも巻き込みながら今日まで継続的に取り組みを展開してきた。その結果、地域の皆さんの環境への関心度、とりわけ中海への水質浄化に関しては、畏敬の念を持って対処できるようになったと感じている。
 
(3)チビッ子環境パトロール隊の編成と主な活動
 1990年より,毎年5月に地元の小学校に呼びかけてこどもエコクラブのメンバーを募集、集まった環境問題に関心のあるこども達小学3年生〜中学生10〜15名前後でチビッ子環境パトロール隊を編成、町内の環境パトロール、めだかの生息調査やホタル観察会等環境に関する各種体験 学習会を企画、実践活動を展開してきている。そして、その調査結果について発表会を開催して保護者や自治会の皆さんに報告、また広報紙「中海」やかべ新聞でも紹介したりして水環境の保全・改善活動の重要性を訴え、台所排水の浄化等毎日の生活の中で身近にできる事を一つずつ確実に実施して頂くようお願いしている。
 私達は、社会に生きるものとして他者に貢献し自己を育てる『社会貢献の心』を持つゆとりが必要であると考えているが彦名地区チビッ子環境パトロール隊は、環境保全を基軸にした活動を通じて住民のため、地域のため、地球環境のために持続可能な範囲で出来ることに取り組んできている。『継続は力』をモットーに互助性を重視、環境への気配り・思いやりの行動を通しその心を育むことを自然体で醸成してきている。
 具体的な活動としては、町内の環境パトロール、生活雑排水浄化に関する親子勉強会、中海湖上観測、エコクツキング、めだか探検、使用済み割りばしを回収し紙に再生、廃食油を回収し車の燃料に利活用して頂く取り組み等の活動を行ってきた。そしてその結果を町民の皆さんに発表会等を通して報告したり、壁新聞や環境新聞「中海」等でも紹介 地域住民と一体となって環境を基軸にした地域活性化の取り組みを展開してきている。

(4)環境新聞「中海」の発行(毎月1回発行)
 1988年郷土提言論文に応募した『中海の水質浄化の具体的提言』が幸運にも、『鳥取県知事賞』の栄誉に浴した。本提言を実効あるものとするために、その提言内容を理解して頂くために町内会の各自治会で環境学習会を開催、この学習勉強会を通して実践の呼びかけを行なってきた。合せて地域の皆さんから賜った貴重な提案や意見を生かして具体的な実践行動とするために、広報紙環境新聞『中海』を発行して普及啓発を行い、中海の水質浄化の呼びかけを行ってきた。
 その第一号は「中海の水質浄化は家庭から」を合言葉に1989年11月に手づくりの環境新聞『中海』として産声を上げ、本問題を重点に置いた水環境に関する広報誌としてスタートさせた。
 小学生から年配の方まで気軽に参加出来、読めるようにできる限り解り易い言葉を使い、写真やイラストもたくさん入れて工夫、特に次代を担う小学生等チビッ子環境パトロール隊の活動を多く紹介してきている。可能な限り多くの町民の皆さんの登壇をお願いしている。環境新聞『中海』はB4版両面印刷、毎月1日に1回/月1200部発行、町内全戸配布している。

 近年では、環境問題全般の内容を解説を加えながら取り上げており、この広報紙『中海』は平成8年には、環境新聞「中海」の1〜100号までの縮刷版として『なかうみ』を発行、さらに平成16年には101〜200号までの同縮刷版を発行して全戸配布し、中海の水質浄化、ごみ減量と資源リサイクル、温暖化防止等地球環境問題の手引書と意識啓発を図ってきている。
 『継続は力なり』をモットーに環境新聞『中海』を全地域住民が共有し、『泳げる中海を取り戻すため』一体となり浄化活動を実施している。中海の水質浄化という身近な活動が環境問題全般を考える素地をつくり、地球温暖化問題への理解も深めさせ、豊かな心を育む人権・福祉・環境を考えることができる『人づくり』へと発展してきている。



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