NO団体名主な企画内容
21 駒ケ根市立中沢小学校 4年(長野県) 「お蚕様を育てて命をいただいて物をつくろう!!」
地域の伝統産業である養蚕を教科学習と関連付けて学び、体験の成果を学校新聞で地域に発信。蚕の飼育、餌となる桑の栽培、育てた蚕の繭で真綿のエコカイロ等を作る体験で、ふるさとへの理解を深める。

速報レポート19 中沢小学校 4年 お蚕様を知る旅

日時  10月8日(火)
場所  岡谷 宮坂製糸所
    松本 高原社
参加者 児童18名 指導者2名    計20名
    製糸所の宮坂さんおよび工場で働く人 7名  高原社の方 2名 
活動目的

 自分たちの手元に届く前、届いた後のお蚕様について、興味を持ったことを追究する。

活動内容

 一学期から行ってきたお蚕様と関わる活動の中で、子どもたちの中から生まれてきた、「自分たちの届いた卵はどうやって…シルクミュージアムで親が病気だと卵も全部病気に なってしまうことがあると言っていたけど、どうやってよい卵を用意しているのかな。」
「養蚕農家で出荷した後の繭は、さなぎはどうなるのかな」
「出荷したまゆはどうなるのかな。」
 という疑問を調べるために、卵を出荷ししている高原社、製糸をしている宮坂製糸所に 行き、様子を見たり、話を聞いたりする。

成果と課題

 宮坂製糸所につくと、作業場の横に椅子が並べてくれてあり、そこに通されました。当日、熱風処理したまゆ、冷蔵した生まゆ、塩漬けしたまゆという処理の仕方の違うまゆを、諏訪式、上州式、自動操糸という方法で糸にしていました。子どもたちは最初に簡単に説明を受けた後、実際に諏訪式、上州式で作業をしている職人さんを見て、その場で、聞きたいことを教えてもらうという機会をいただきました。その後、自動操糸の機械の仕組みを教わり、次々と糸が巻かれていく様子を見学しました。また再繰という小さい枠に巻いた糸を大きな枠でまき直す様子も見学しました。


宮坂さんの説明を聞いています

出荷する絹糸の束、これで着物2枚分

 最後に質問に答えてもらいました。来る前から自分たちが不思議に思っていたこと、見学の中で生まれた新しい疑問について教えてもらうことができました。
「あんな風に糸になっていくんだね。」
「すごく速くて、それをどんどんやっていく職人さんすごいと思った。」
「あの細い一本の糸を作るのに14~15のまゆから糸をとってよっているなんてびっく り。私たちの育てたお蚕様じゃ全部合わせても着物一つ作れないんだ。」
等々、多くの驚きがあったようです。


諏訪式で糸を紡ぐ女工さん

自動操糸 食い入るように見つめる子どもたち




「先生、こんなにいっぱいわかったよ。」
とぎっしり書かれたノートを見せてくれる子もいました。
 なかでも一番驚いたのは(わたしもびっくりしたのは)、今、全国で製糸所は4カ所しかなく、そこで働く女工さんは50~60人だということ。最盛期、岡谷だけでも3万人いたという女工さんも、そんなに少なくなってしまっていると言うことでした。日本の伝統的な養蚕の技術が消えてしまうのはいけないと思い頑張っているという話もしてくれました。
「みんなの住んでいる上伊那は、昔からとても良質のまゆを育てる地域だったんだよ。それは気候がまゆにあっていたということもあるし、お蚕様を大切に育てようという人柄もあったと思うよ。」
と最後に話してくれた宮坂さん、日本の伝統的なこの養蚕を、子どもたちにも知ってもらい、守ってもらいたいという思いを強く感じました。

 高原社につくと、すでに会議室に資料が用意して、私たちの到着を待っていてくれました。
 ここでは、パンフレットと資料を中心に、私たちが聞きたかった内容について小学生にもわかるようにと工夫しながらお話をしてくれました。



なんとこのトレー上に 100万個の卵



人工飼料 巨大ソーセージみたい

 現在、高原社でどのような仕事をしているかということ、どのようにお蚕様を飼育しているかということ、孵化する前の卵はどのように保管されているかということ、どんな品種を育てているかということ、養蚕の昔と今の違い、高原社で使っている人工飼料のこと、品種改良のこと、病気の種類と見つけ方など、多くのことを教えてもらいました。
 お話の中で、「今のお蚕様は、糸がたくさんとれるように改良されていて一個のまゆから昔の3~4倍糸がとれるようになったけど、病気に弱くなっているので、手などしっかり洗って清潔にしてあげないといけないんだよ。」ということをいわれ、ちょっとどきっとした子もいたようです。また、「たくさん糸を作るようになってまゆが厚くなったから、蚕蛾がまゆからでることができなくなってしまい、卵を産ませるものはまゆを切ってさなぎを取りだしている」と聞き、「だから、自然羽化させようとしたものが、そのまま出てこないのが多かったんだ。」と納得したりしていました。
 子どもたちからの質問で「病気を持っているかどうかの検査はどうやるんですか」に対し、「蚕蛾をミキサーに入れてすりつぶして、顕微鏡で検査…」と聞き「えっ」とびっくり、ちょっとした悲鳴も上がりました。
 ここでも、日本の養蚕はとても少なくなっていること、現在日本で使われているまゆのうち、国産のものは0.9%という衝撃的な話をお聞きしました。
 ここでも、日本の養蚕を守ろうとする人々の話が聞け、とても勉強になりました。

おまけ

珍しい電車移動 楽しいな

松本城も見学しました

○今回、日本に残る数少ない製糸所、蚕卵飼育の会社を実際に訪問でき、見聞きできたことはとても貴重な体験となった。
○実際に自分たち育て、知りたかったことを、直接見聞きできたことは、子どもたちの探求心を満足させるとても良い機会となった。
○養蚕を通して、自分たちの地域の良さを感じることが出来た。
●公共機関の体験もさせたいということから、電車、市バス、徒歩の旅としたが、当日が蒸し暑い日であったこともあり、旅で疲れてしまった子もいた。せっかくの見学を充実したものにするには欲張らず、貸し切りバスで行くのも良かった。



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