NO団体名主な企画内容
36 尼崎市立南武庫之荘中学校(動植物介在教育研究会)(兵庫県) 「尼崎の海と大地をつなぎ命の環境を学ぶ自然体験(尼崎の海への恩返し)」
尼崎の海でワカメを栽培し、ワカメや付着している貝類で堆肥を作り、堆肥で菜の花を栽培。菜種を搾油し、菜種油で調理し、調理で利用した油をバイオディーゼル燃料に精製して車の燃料にする。かたちは変わっても命はつながり続ける「命の循環」を、生徒たちに体感させる環境教育。

速報レポート2

日時  :7月26日(日)9:00~16:00
参加者 :44人(尼崎市立南武庫之荘中学校・尼崎市立成良中学校・尼崎市立園田東中学校)
活動場所:尼崎北堀運河
活動内容

①尼崎運河と水質浄化施設の役割についての学習会
②干潟づくりと生物観察
③パドルボード体験
④循環花壇づくり
⑤水質浄化水路の清掃

①尼崎運河と水質浄化施設の役割についての学習会

 尼崎の海は、100年ほど前までは砂浜や干潟が広がり、たくさんの魚類や貝類、藻類が生息する生命豊かな海でした。しかし阪神工業地帯の中心地として発展する中でコンクリートの直立護岸に囲まれ、尼崎の海は自然の豊かさを失ってしまいました。 
 尼崎運河は、尼崎の海の最も奥にあり、尼崎の工業の発展を支えてきた水路です。とても閉鎖的な海域で潮の流れが極めて悪く、チッソやリンといった物質が多く含まれ、植物プランクトンが大量に発生して、夏場には水中に含まれる酸素が減少して赤潮が発生したり、水中の藻類や貝類をはじめとする生物が大量死します。それが海底に沈んでヘドロになり水質を悪化させてきました。
 兵庫県では、この運河の水質浄化を行うために、水中生物の生きる力を利用して水質浄化を行う世界初の施設を建設しました。
 そこで尼崎市内の中学生が大学や専門家、市民と力を合わせて水質浄化や水中生物が自然の摂理に従って生きることのできる環境づくりを目指して活動しています。
 今日は、初めて参加する生徒たちに、この施設の水質浄化の仕組みを紹介しました。



ポンプでくみ上げた運河の水の濁りを貝の力で浄化する水槽

藻類を繁殖させて光合成によって酸素を供給する水路

岩場をつくり生物の住み処に

種から育てた芦は海水の汚れのもとになるチッソやリンを吸収して成長します。

干潟・潮だまりに生きる植物や生物の力で浄化した水を運河に戻します

②干潟づくりと生物観察

 昨年度から干潟づくりに取り組み観察を続けた中で効果と問題点を見つけることができました。

場  所効   果問 題 点
干潟全体・水をきれいにしている
・生き物の住み処になっている
・コウロエンカワヒバリガイが土を汚している
・住んでいる生き物の数が少ない
潮だまり・水をきれいにしている
・生き物が多く生きる場所になっている
・潮だまりの面積が狭く、これ以上生き物が増えない。

そこで今回問題点を解決して、より良い干潟にするために次のような活動をすることにしました。
問題点1:コウロエンカワヒバリガイが土を汚している事に対してコウロエンカワヒバリガイ狩りをしました。コウロエンカワヒバリガイはコテではがして堆肥の原料にしました。




問題点2:住んでいる生き物の数が少ない事について干潟の中の生き物の住み処を大きな石を組んで広げました。そしてケージというカゴを干潟に埋めました。




問題点3:潮だまりが小さく、これ以上生き物が増えない事を改善する対策としてスコップで干潟を掘って石を並べて大きな潮だまりをつくりました。




問題解決のための活動の中でたくさんの発見をしました。


浄化水路の中に繁殖しているスジアオノリの表面にたくさんの泡が着いていました。これが光合成によって発生している酸素です。

コウロエンカワヒバリガイは足糸(ソクシ)という糸を出して岩にへばりついています。

カニが卵を抱いていました。夏場が産卵期だとわかりました。雄ガニは雌に比べて大きなはさみを持っています。


この貝はイボニシガイといってコウロエンカワヒバリガイを食べる貝です。

チチブというかわいい魚です。外敵の野鳥に襲われないように潮だまりの岩の陰に隠れて生きていました

干潟の石の下にはヤドカリの赤ちゃんもいました

これ以外にも多くの種類の生き物に実際に触れて観察することができました。

③パドルボード体験

 運河を楽しむ活動の一つとして2年前からインストラクターの指導でパドルボードの練習会を開催しています。上達した生徒は運河の捨てられたゴミの回収もできるようになりました。




④循環花壇づくり

 昨年の10月に水質浄化水路に繁殖していた藻類とコウロエンカワヒバリガイに枯れ草や落ち葉を混ぜてつくった堆肥が熟成したので水質浄化施設の近くにつくった花壇にまくことにしました。今年できあがった堆肥は180リットルで約120kgありました。この花壇で8月23日に矮性のヒマワリの種まきをして10月の下旬に満開になるように計画を立てながら栽培していく予定です。




⑤水質浄化水路の清掃

 水質浄化水路にたくさん繁殖している藻類は、水温が上がり出すと弱って死んでしまいます。そのまま放置しておくとヘドロになってしまうので、死んでしまう前に回収して、土のう袋に入れて乾燥させて堆肥の原料として活用します。
 全長100メートルの水路に繁殖した藻類をちりとりを使って回収してきれいにしました。
 今日もまた命の循環の手伝いができました。今日も盛りだくさんの活動の中で尊いことに気づくことができました。



【熱中症対策について】
 今回は熱中症に対して安全な体験活動を行うために、30分ごとに休憩をとり、体調チェックを行いながら水分やミネラル補給を行いました。また携帯型熱中症計を活用し、警戒時には活動制限を行ったために全員が体調を崩すこと無く最後まで取り組むことができました。



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