NO団体名主な企画内容
36 尼崎市立南武庫之荘中学校(動植物介在教育研究会)(兵庫県) 「尼崎の海と大地をつなぎ命の環境を学ぶ自然体験(尼崎の海への恩返し)」
尼崎の海でワカメを栽培し、ワカメや付着している貝類で堆肥を作り、堆肥で菜の花を栽培。菜種を搾油し、菜種油で調理し、調理で利用した油をバイオディーゼル燃料に精製して車の燃料にする。かたちは変わっても命はつながり続ける「命の循環」を、生徒たちに体感させる環境教育。

速報レポート10

日時   9月7日(月)~11日(金) 8:50~12:40
参加者  34人(尼崎市立南武庫之荘中学校2年生)
活動場所 南武庫之荘中学校 (果樹園 綿畑 花壇 木材加工室)
活動内容

命・環境・自然・循環をテーマとした体験学習
①尼崎運河の貝と学校の落ち葉を使った肥料づくり
②環果樹園・畑の手入れと追肥
③花壇の循環
④巣箱製作
⑤綿繰り

 兵庫県の中学校では、2年生を対象に地域に学ぶ「トライやるウイーク」という体験活動を行っています。この取り組みは1995年の阪神淡路大震災、1997年の神戸市須磨区の事件を契機に、心豊かな人づくり懇話会、心の教育緊急会議からの提言を踏まえ、「命を大切にする心」、「思いやりの心」、「規範意識を養う」など「心の教育」の充実を図る事を目的として1998年度から始まりました。
 中学2年生が職場体験、福祉活動、勤労生産活動、文化・芸術創作活動、自然保護活動、環境改善活動など地域や学校での様々な体験活動を通じて、生きることや働くことの意義を知り、社会の一員としての自覚を高めます。
 今回の活動は、35人の生徒が5日間の体験活動を通じて、「命」「環境」「自然」「循環」をテーマに様々なことを学びました。

①尼崎運河の貝と学校の落ち葉を使った肥料づくり
 尼崎の海の歴史と現状と、循環型社会の構築に向けた取り組みについて学び、尼崎運河で大量に繁殖するコウロエンカワヒバリガイの貝殻を粉砕した粉と、地域の公園や街路樹の落ち葉で作った堆肥を混ぜ合わせて肥料をつくりました。
 粉砕機にコウロエンカワヒバリガイの貝殻を入れ、スイッチを入れると30秒ほどできめ細かい粉になりました。
 ふたを開けると細かい粉が煙のように舞い上がり、「量が半分になってる」、「砂みたいな手触り」、「磯臭い」、「昆布だしの匂い」、「海の匂い」「おいしそうな匂い」など今まで自分が経験したことをもとに気付いたことを聴くことができました。  活動の中で貝殻を粉砕すると体積が減ったり、匂いが増すことも生徒にとって大きな発見でした。
 落ち葉で作った堆肥は、昨年の11月から何層にも重ね合わせて定期的に切り返しを行いながら腐葉土になった時点で生ごみ処理機に投入して約24時間、90℃の温度によって雑草の種や害虫の卵を処理します。
公園の樹木や道路の街路樹の落ち葉の問題は、地域でも悩みの種になっていて、これまではゴミとして焼却処分されていました。このことによって二酸化炭素が放出され、地球温暖化の原因にもつながっていました。
町の中で厄介者になっている落ち葉を循環させる堆肥づくりは環境にも優しく、土に変わっていく途中の様子を観察することで土の中の命のつながりを学ぶこともできます。
環境にやさしい生活の仕組みをつくるために、これからも生徒たちとこの堆肥づくりを続けたいと思います。






枯草、雑草、落ち葉の山

生ごみ処理機でさらに分解します

【堆肥づくり】 
枯草、雑草、落ち葉に米ぬかと水を振りかけながら踏みつけ、何層も重ねて山にします。1週間に1度の割合で切り返しをして4か月で量は4分の1ほどになって市販の腐葉土とほぼ変わりない状態になります。それを生ごみ処理機に24時間入れて完成です。

②循環果樹園・畑・花壇の手入れ
日当たりの良い校舎の南側に昨年度から果樹園と畑をつくり栽培活動を行っています。果樹園では、地域の公園や通学路の落ち葉で作った堆肥と、尼崎運河で繁殖するコウロエンカワヒバリガイの貝殻を粉砕して作った肥料を混ぜ合わせて、リンゴ、ビワ、カキ、ブルーベリー、ラズベリーを育ててきました。今年は5月の中旬から下旬にかけてビワを収穫することができました。 6月の下旬から7月中旬にかけてはラズベリーを収穫できました。8月初旬にはブルーベリーを収穫することができました。畑では人参、尼崎の伝統野菜の尼芋、綿を栽培しています。
今年は果樹園を広げて、ミカン、キンカン、レモンなどの柑橘類の栽培を行います。果樹園と畑の除草と追肥を行いました。









③花壇の循環
春から手入れを続けてきた花壇の花が、長雨の影響で傷んでいました。傷んだ花やしおれてしまった花殻を摘んで生ごみ処理機で堆肥にしました。


花殻摘みの様子



花殻を生ごみ処理機に投入している生徒の様子


④巣箱の製作
今年度も、尼崎の海辺の「尼崎21世紀の森」に森の成長を調べる事と課題を見つけるために巣箱を設置します。
1月中旬から巣箱を設置して3月中旬から6月中旬まで営巣、産卵、孵化、巣立ちの様子を観察していきます。
生徒たちは巣箱製作と観察の目的を理解して熱心に製作に取組みました。


巣箱づくりをしている生徒の様子

完成した巣箱

⑤綿繰り
これまで、尼崎の海で栽培したワカメや運河の藻や貝類から作った堆肥を使って無農薬で育ててきた綿の綿繰りをしました。地道な作業ですがみんな集中して作業しました。4日間、35人で5時間程度の作業時間でしたが1,8㎏の繰り綿(種を取った綿)ができました。


綿繰りをしている生徒の様子

綿と種で循環のイメージを作った生徒

【体験活動のまとめ】
今回の体験活動で、生徒から環境改善に向けて自分たちで取り組んでいかなくてはならないといった感想が多く寄せられました。
物質の循環は、命のつながりがあってはじめて出来ることだと多くの生徒が気付きました。
また地球に入ってくるエネルギーは太陽光エネルギーしかないこと、地球上にある物質はこれまで自然の摂理に沿って循環してきたからこそ、今でも存在し、自分たちの命を支えていると気付く事が出来ました。
自然の大切さや自然の恵みによって作られた物の価値を実感することができました。



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速報レポート13 ヒマワリの種の収穫
速報レポート14 活動発表とポスター展示 活動交流会 
速報レポート15

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