NO | 団体名 | 主な企画内容
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47 |
宇城市立青海小学校(熊本県) |
「ふるさとを愛し、豊かな心を育む体験活動 〜サトウキビ栽培から黒砂糖作りまでの全過程の取組を通して〜」 教育目標である、「ふるさとを愛し、夢に向かって頑張る子どもの育成」を目指した総合学習。ふるさとの産業の歴史や伝統文化について語れることができるように、30年前から続いている活動である。 |
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速報レポート10 「名人から青海の黒砂糖作りの歴史を学ぼう!」
日時 9月27日(火)10:45~11:30
場所 3年生教室 サトウキビ畑
参加人数 3年生23人、学校職員1人 地域の協力者1人
今回の活動の目的
●郷土の伝統と文化を大切にし、郷土を愛する心を育む
●勤労への意欲
●社会貢献される方への感謝の心をもつ
活動の内容
●黒砂糖作りの名人からサトウキビ畑と教室で、サトウキビの栽培から黒砂糖作りについて学ぶ。
3年生は、黒砂糖作りに関しては、黒砂糖作りの歴史や黒砂糖作りの過程と工夫などについて、主に総合的な学習の時間で取り扱っていく。今回は、その学習の一つとして、黒砂糖作り名人の髙濱希好さん(以下きよしさん)に、青海小学校の校区の黒砂糖作りの始まりや、昔の黒砂糖作りの様子などの話を聞き、黒砂糖作りへの関心を高める。
活動の様子
1 教室にて
教室に、黒砂糖作り名人のきよしさんに来ていただき、青海校区の黒砂糖作りの始まりや昔の黒砂糖作りについて、話していただいた。
昔、この地域は貧しくて、何とか人々の暮らしをよくしたいということで、前越地区(青海小学校の校区内の地区)の庄屋だった高橋伊左衛門さんが、この土地の気候がサトウキビ栽培に適しているということで始めたのが、文政8年のことだという。この時の種キビ(サトウキビの苗)は、阿波国より買い入れて植え付けたということで、200年近く前から黒砂糖作りが始められたことに、子どもたちは驚いていた。
その後、黒砂糖作りが盛んになった。きよしさんが黒砂糖作りに携わるようになったのは、きよしさん16歳の時。昔は、今のような機械がなかったため、サトウキビをしぼるために牛の力を利用していたそうだ。黒板に絵を描いて説明してくださったきよしさん。4頭の牛が引っ張る力で車を動かして挟んだサトウキビを潰し、汁をとっていたようだ。牛がちゃんと動くようにするのは難しい。手に持った棒をうまく使いながら、牛を歩かせていたということだった。作業にあたっては、10人くらいの人手が必要だったということで、10軒ぐらいが、共同で行っていたことなどを教えていただいた。
その後、昭和30年代に黒砂糖作りは衰退し、みかんやいちご、トマトの栽培に変える農家が増え、昭和37年には黒砂糖作りは姿を消していったそうだ。それでも、きよしさんは、「いつかまた黒砂糖が流行る時がある。その時のために、種キビだけは絶やしてはいけない。」と、毎年サトウキビ栽培を続け、種キビを守り続けてきたそうだ。そうしたきよしさんの強い思いが、今の黒砂糖作りにつながっている。
また、昔の道具の1つとして、重さを量る道具を見せてくださった。今と違って、重さを量るのにも一苦労。初めて見る昔の道具に、子どもたちは興味津々だった。他にも、黒砂糖作りで使う道具として、柄杓(ひしゃく)、煮詰める時に泡をとる金属の網、黒砂糖を型に入れる時に使う小ベラなど、見せていただいた。毎年、黒砂糖作りの際、煮詰める作業を体験させていただいているが、その時に見たことがあった道具で、子どもたちの脳裏には、昨年の黒砂糖作りが思い出されていた。
「黒砂糖作りが始まったのは・・・」
「牛が引っ張って、ここにサトウキビを入れて絞るよ。」
「これは、煮詰める時に出る泡を取る網だよ。」
2 サトウキビ畑にて
授業の後半は、サトウキビ畑に行って、一緒にサトウキビの成長を見学した。子どもたちは、自分たちの背丈よりもかなり大きくなったサトウキビを、教室での学習で学んだことを踏まえて見ていた。ただ、サトウキビの背の高さは、場所によって差がある。小学生が植えたところで、背丈が低いサトウキビがあるのが気になる。理由を聞くと、「雑草の勢いに負けたったい。」(熊本の方言:負けたんだよ。)とのこと。子どもたちも体験しているサトウキビの草取り。一生懸命頑張ってはいるが、「もっと草取りを頑張らないといけないね。」と確認し合った。
最後に、きよしさんから子どもたちへのプレゼント。それは、甘いサトウキビの茎だ。鎌で人数分切り落としてくださり、子どもたちは喜んでかじりついた。1本では足りなかったので、畑に生えている一本を急遽切り取って、子どもたちに渡してくださった。汁が出やすいように潰してもくださって、子どもたちは甘い汁を吸いながら、きよしさんと歩いて学校へと帰って行った。
サトウキビと背比べ。「こんなに大きくなったんだ!」
「サトウキビの汁が吸いやすいように潰してやるね。」「ありがとうございます!」
「あまい、あまい!」サトウキビをかじりながら、教室へ帰りました。
子どもの感想
- 昔は、牛をつかってサトウキビをしぼっていたのがすごいと思いました。
- サトウキビは、四国からもらってきて始まったと、初めて知りました。
- 昔は、黒砂糖を作るまで大変だということが分かりました。
- きよしさんは、16歳から65年間サトウキビを作っているのですごいと思いました。黒砂糖作りに使う道具も見せてもらったので、黒砂糖作りが楽しみになりました。
- きよしさんは、本当に名人だと思いました。
- きよしさんは、65年間もサトウキビ作り、黒砂糖作りを守り続けてきたのがすごいと思いました。私たちも、守っていこうと思いました。
得たもの
きよしさんが黒砂糖作りを初めて65年。長い年月の間、黒砂糖作りを守り続けてこられたきよしさんへの尊敬の念と感謝の思いをもつことができた。なにより、今の時代に生きる自分たちと、きよしさんが生きた時代の違いについて、サトウキビを通して考えることができたことが大きな学びであった。子どもたちは、今年の12月のサトウキビの収穫と黒砂糖作りが、より楽しみになった。
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