NO団体名主な企画内容
47 宇城市立青海小学校(熊本県) 「ふるさとを愛し、豊かな心を育む体験活動 〜サトウキビ栽培から黒砂糖作りまでの全過程の取組を通して〜」
教育目標である、「ふるさとを愛し、夢に向かって頑張る子どもの育成」を目指した総合学習。ふるさとの産業の歴史や伝統文化について語れることができるように、30年前から続いている活動である。

速報レポート15 「黒砂糖作りに向けて、黒砂糖製造所で学びました!」

日時 10月20日(木) 13:30~16:00(移動時間含む)
場所 黒砂糖製造所(旧大岳小学校グラウンド横に設置)
※青海小学校は平成15年度に大岳小学校と郡浦小学校が統合してスタートした。黒砂糖作りは旧大岳小学校から引き継いでおり、本年度で30年目にあたる。 
参加人数 6年生 15人 教職員3人 黒砂糖作り名人1人
今回の活動の目的

  • 故郷を愛する心を育てる。
  • 伝統文化の継承。
  • 頑張る子どもの育成。
  • 老朽化し、熊本地震で被害を受けた黒砂糖製造所の見学、清掃により、最高学年としての自覚を高める。

活動内容

●黒砂糖製造所へ行き、見学、掃除を行う。
※黒砂糖製造所といっても、近代的な機械などはなく、ただ昔ながらの下から焚きつける大きな竈(かまど)があるだけである。地元では「キビ締め小屋」という言い方の方が、通りがいい。ここでは、「キビ締め小屋」の入り口に大きく掲げてあるプレートに記してある黒砂糖製造所という正式な名称で記している。

活動の様子

サトウキビの生長も進み、キビ締め(サトウキビの刈り取り、黒砂糖の製造)の日もそう遠くはなくなった。6年生は、学校全体に貢献する活動の一つとして、給食を食べた後、黒砂糖製造所へ行くことにした。青海小学校下のバス停から、皆で路線バスに乗り、旧大岳小学校に向かった。バスの待ち時間やバス停から歩く距離など合わせて、片道約30分の行程である。当日は、午前中に4つの小学校の5・6年生が青海小学校に集まり陸上記録会を行われた。参加者全員が全力で競技に参加したが、子どもたちは少しも疲れた顔を見せず、午後の活動に取り組んだ。
旧大岳小学校跡地に到着した。既に、黒砂糖作りの名人のきよしさん(高濱希好さん)が待っていてくださった。全員で挨拶し、まず、黒砂糖製造所の前に座り、現地での黒砂糖作りに関する質問をきよしさんにして、説明を受けた。


さあ、黒砂糖製造所へ到着しました。

きよしさんの話は、地元の大切な歴史です。

昔はね、こういう道具で黒砂糖の重さを計ったんだよ。


長年使用した黒砂糖製造所は、地震もあり傷んでます。

中へ入ってみよう。かなり大きな「かまど」だ。

上から見ると大きさがよくわかるね。

きよしさんの説明には情熱あふれるものがある。やはり、心に熱いものをもった人は違う。地域の貴重な伝統を子どもたちに伝えたいという願いを子どもたちは感じ取っている。子どもたちからの質問がたくさんあった。その一つ一つに丁寧に説明するきよしさんだった。説明の後、黒砂糖製造所をじっくりと見て回った。そして、掃除に取りかかった。黒砂糖製造所の中も外も、子どもたちは手分けしてきれいにした。


「かまど」の下、火をたくところを掃除します。

周辺もきれいにしましょう。

かなりきれいになってきたね。

掃除の後は、いろいろな道具を外に出して、実際に手に触れて、その感触を確かめた。毎年使う道具だが、実際にサトウキビの汁を煮詰める作業の日には、落ち着いて道具を見つめる時間もない。作業当日の小屋の中が高温になることなどをイメージすることで、今日はじっくり観察することができる、よい機会だということを意識した子どもたちだった。


掃除の後、いろんな道具に触ってみました。これ何だ?

僕たちくらいの体重なら、計れるね。

黒砂糖を煮詰める釜は、このように外れます。右側です。


わかりますか?左は、アク取り用の金属の網です。

特別なひしゃくで、煮詰まった黒砂糖をすくいとります。

道具を寄せてみました。いろいろあるね。

次の写真は、傷んだところの一部である。経年の痛みは全体的にきており、熊本地震の揺れが原因と思われるヒビなどが、到るところに見られる。


「かまど」の周りを見ると、傷んでるところが‥‥。

火を炊くところにもヒビが入っています。

最後に、きよしさんと一緒にみんなで記念撮影しました。

子どもたちからも、傷んだところへの心配の声があがった。修理は現在依頼してあり、古い道具なども修理ができ、新しいものが届くことになっていることを伝えた。ただ、道具などの修理にしても、昔ながらの道具であり、特別な技能を要するもので、簡単にはいかないことも、実際の道具を見せながら説明できたことがよかった。子どもの心に響いた。いろいろな生活用品がすぐに手に入り、修理するよりも、買い直すことが多い現在の社会において、この体験は貴重だった。保護者へは、黒砂糖製造所の修理、道具の修理、購入について、2016年度トム・ソーヤースクール企画コンテストの支援団体に選ばれたときに、文書で伝えていたが、現地で改めて確認した。みんな一生懸命に掃除し、観察した後、きれいに片付け、学校へ向かった。


黒砂糖製造所のプレートのアップも記念撮影です。

バスで青海小学校下へ到着。運転手さん、ありがとうございました。

全員が満足して学校への帰路についた。帰りのバスの中もみんな礼儀正しくマナーを守り、気持ちよく帰ることができた。
今日一日を振り返ると、午前中は陸上記録会が行われ、グラウンドで全力を尽くし、午後は、黒砂糖製造所へ行き、体験活動に汗を流した。「ご苦労さん。疲れたでしょう。」到着した子どもたちに声を掛けた。「ちょっとだけです。楽しかったです。」「全然疲れてないです。」などなど、たくましい声が帰ってくる。とはいえ、健康観察は適切に行わなければならない。大切な子どもたちである。過ごしやすい気温になってきが、水分補給や体調の確認など、指導者がしっかり配慮しなければならない。
学級活動をして、一休みしたら、次は部活だ、頑張ろう!子どもたちは大好きな部活に真剣な顔で取り組む。

得たもの

 地域の伝統である黒砂糖作りに向けた、大切な時間を6年生は過ごした。きっと当日は全学年をリードして、立派な黒砂糖を作ることができることと期待できる。このような体験をしたことは、自分たちができることをするだけではなく、自分たちが伝統の後継者であることを子どもなりに自覚できたと考える。また、今回の活動は、黒砂糖製造所を大切にする心とともに、地域の誇りである、サトウキビの栽培、黒砂糖作りを大切にする心、ふるさとを大切にしようという心にしっかりとつながったと確信する。



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