NO団体名主な企画内容
38 ネイチャークラブ(兵庫県) 「命の環境を学ぶ自然体験」
小・中学生が中心となり、世代を超えた人々が動植物と触れ合い、学び合い、教え合う環境教育。形は変わりつつも命はつながり続けている「命の循環」を実感でき、地域貢献にもつながる活動。

活動報告17 「尼崎の海の栄養循環」

日時   7月30日(土)9:00~14:30
参加者  小学生4人 中学生21人 大学生2人 大人15人 指導者8人
活動場所 尼崎港  大阪湾フェニックスセンター尼崎最終ゴミ処分場
活動内容

①尼崎港沖の防波堤に付着した貝類のはぎ取りと生物観察
②堆肥作り

活動のねらい

●尼崎の海の栄養循環の方法を知り、自分たちの生活と海のかかわり方について気づき学ぶ。
●海の環境改善に取り組もうとする心と態度を育む。
●体験活動を通じて仲間意識を育む。

①尼崎沖の防波堤に付着した貝類のはぎ取りと生物観察
尼崎沖の防波堤は直立護岸となっていてそこには、ムラサキイガイやカンザシゴカイが巣を作って繁殖しています。しかし水温が上昇する夏場になると海水に溶け込んでいる酸素量が減って、繁殖しているムラサキイガイやカンザシゴカイは酸素欠乏で死んでしまい、海底に沈んでヘドロになってしまいます。
そこでネイチャークラブでは、ダイバーさんに貝やカンザシゴカイの巣をはぎ取ってもらって取り上げ、雑草や枯草、バーク堆肥と混ぜ合わせてチッソやリンの栄養豊富な堆肥をつくり循環させて、作物の栽培に活用しています。
今日の尼崎の海の水温は29℃、溶存酸素は海面で14mg/リットル(天気が良く、植物プランクトンが光合成をして酸素を放出しているため)と大変酸素量は多いでしたが、水深3mの地点では3mg/リットル以下で生物が生きることが出来ない環境になっていました。水深6メートルの海底では溶存酸素はゼロでした。このように夏の尼崎の海は生物が生きるにはとても過酷な環境となっています。しかしこのような過酷な環境でも必死に生きている生物たちを観察することができました。
ダイバーさんがはぎ取ってみんなで引きあげた貝やその他の付着生物の重さは243kgもありました。


船に乗り込んで尼崎港沖の一文字防波堤に向かいました。

植物プランクトンが大発生して海水が濁っています。

一文字防波堤に上陸して海水温度や海水に含まれる酸素量の計り方を教わりました。


海水温度、溶存酸素量を記録している様子

海面の色を観察している様子

ダイバーさんがはぎ取ってくれた貝類を引き上げる


引きあげたものを観察している様子

マダコ

グンタイボヤ


カンザシゴカイ

イシガニ

ヨコエビ

この他イボニシガイ、一角クモガニ、イボニシガイを観察することが出来ました。
これらの生物は海に帰して、貝類とカンザシゴカイの巣を堆肥の材料にしました。


土嚢袋に入れた貝を船に積み込んでいる様子

みんなで貝をダンプカーに乗せている様子

②堆肥づくり
採集した貝を、尼崎の海の栄養循環に協力してくれている大阪湾フェニックスセンターの最終ゴミ埋め立て処分場内の堆肥づくり場にダンプで運んでパワーショベルでペースト状に砕いて現地で刈り取った雑草、枯草、バーク堆肥と混ぜ合わせて堆肥にします。


貝を砕いている様子

刈り取った草や枯草を運んでいる様子

貝と刈り取った草や枯草を混ぜている様子

生徒の感想

  • 生きるためには厳しい環境の尼崎の海にも多くの生物が生息していました。今回の観察で子の生き物たちをもっと良い環境で生かしてあげたいと思う。
  • 人間の生活や考え方を変えて海を美しくしたいと思った。
  • きれいな海にして安心してこの海の魚や貝を食べてみたい。
  • 思ったよりも多くの生き物がいてびっくりした。
  • 海の生き物にこれまで以上に興味を持った。
  • 命の循環の意味がよく解った。自分が海の環境を良くするための手助けが出来てよかったと思う。
  • 去年作った堆肥はフワフワしていて栄養がとてもあるように感じた。
  • 形は変わりつつも命はつながり続けていると先生が言っていた意味がよく分かった。
  • もっとたくさんの貝を取り上げてヘドロを少しでも減らしたい。
  • 水中の生物のつながりがよくわかった。
  • 堆肥づくりがとてもしんどかった。環境を良くするための循環をするためには人間の努力が必要と思う。
  • みんなで協力できた。

尼崎の海の活動を重ねるたびに、中学生の環境改善意識が高くなっていることが感想から読み取ることが出来ます。明日7月31日は、ネイチャークラブのみんなで徳島県の吉野川の河口にある干潟の観察に出かけます。自然豊かな川と海を見て様々なことを感じてもらいたいと思います。


活動報告1 「大阪湾フォーラムの開催」
活動報告2 「尼崎港の生物調査」
活動報告3 21世紀の森づくり
活動報告4 21世紀の森の巣箱観察
活動報告5 菜の花の観察 花見会
活動報告6 「花と緑のフェスタ」
活動報告7 「菜の花の観察会」
活動報告8 「循環畑づくり」
活動報告9 「ことこと倶楽部」と連携した「命を育む土づくり」
活動報告10 「尼崎の海と運河の生物観察」
活動報告11 「菜種の収穫」
活動報告12 「地域間交流農業体験」
活動報告13 「菜種の収穫」
活動報告14 「いのちのじゅんかんべんきょうかい」
活動報告15 「地域間交流農業体験」茶摘み
活動報告16 「21世紀の森づくり」
活動報告17 「尼崎の海の栄養循環」
活動報告18 「干潟の生物観察」
活動報告19 「綿の栽培・活用と平和のお話」
活動報告20 「猪名川の生物観察」
活動報告21 「甲子園浜の生物観察・尼崎運河・人工干潟づくりとミニヨシズづくり」
活動報告22 「森の保育園」
活動報告23 国際交流活動「巣箱づくり」
活動報告24 国際交流活動「ネイチャースクールと意見交換会」
活動報告25 「ヒマワリ畑づくり」
活動報告26 「循環畑づくりと尼崎運河の生物観察」
速報レポート27 「キャナルフェスティバル」
速報レポート28 「稲刈りと芋掘り」

■別年度のレポート
2017年度 命の循環を学ぶ自然教育 実施レポート

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