速報レポート１　【鉄粒編】６年生、活動開始！

　司馬遼太郎先生の名著「街道をゆく　十八」の中に、次のような一節があります。
「…六世紀初頭において越前人が、その勢力をひきいて倭政権の首長になったということは、その後あまり冴えなかった越前という地の日本政治史上の位置から考えて、尋常ならざるできごとといっていい。」
（昭和５７年　司馬遼太郎著　朝日新聞社発行　「街道をゆく　十八」 P12より引用）
　さて、この中の『越前人』とは一体誰のことなのか、分かりますか？　福井県民なら、みんなすぐに「継体天皇」と答えられる！と言いたいところですが、残念ながら現実は、「みんな」とは到底言えません…。
　２６代継体天皇。ロマンあふれる、古代史最大の謎とされる人物です。地方出身として初めての天皇で、その「地方」こそが福井。数々の英雄伝説が語り継がれています。現在の天皇陛下が１２６代ですから、継体天皇はちょうど100代前ということになり、こちらではもっと盛り上がっても良さそうなのですが、令和に入って５年目になった今でも、そのような兆しは見られません。
　実は継体天皇には、本校の位置する福井県越前市に滞在していたとの言い伝えがあります。市内にはいたるところに継体天皇ゆかりの史跡が残されていますが、証拠がないことから、研究者からは伝説、つまり史実ではないとの扱いです。しかし、本当に証拠がないのでしょうか。「ない」のではなく、「まだ見つかっていない」のでは…。
　その鍵となるのが、鉄です。継体天皇は、鉄を使うことで権力を手にすることができたと言われています。ということは、もしも古代の越前市で製鉄をしていたことが判明すれば、それが糸口になり、継体天皇の越前市滞在が史実に格上げされるかもしれません。そうなれば市民はもちろん、県民も福井を誇りに思い、より一層ふるさとを愛する心を強く大きくすることでしょう。「鉄を調べて、ふるさとを盛り上げよう！」それこそが、今回の６年生の大きな大きな目標の一つです。

　とはいえ、鉄そのものを子どもたちが意識して生活することは、まずありません。それで今回はまず、「○がないと…」と提示し、陶製の貨幣、陶器の手榴弾（もちろん中は空っぽです）、貝殻を使ったおたまを児童に見てもらい、○の中に入る漢字を考えてもらいました。みんな興味深げにじっくりと観察していましたが、答えは最後まで出ませんでした。もちろん答えは「鉄」。いずれも戦時中、鉄が不足したことによる代用品です。答えを知ると子どもたちは、「確かにそうや！」「すぐ壊れてしまいそう。」など、友達と話し合っていました。
　継体天皇と鉄。６年生にとってはすぐさま興味をもったり魅力を感じたりするものではないでしょう。しかし、大事なのはこれからです。一生忘れられない思い出を、５５人で創り上げます！

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