速報レポート２　【鉄粒編】さっそく見つけたぞ！

　４月２０日の朝。４人の児童が、教室に飛び込んできました。
　「先生、磁石に付く石を見つけました！」　「これはノロですか？」
　４人はランドセルを置くことも忘れ、目を輝かせながら、それぞれが手にしていた透明の袋を我先にと私に手渡しました。
　実は昨日、継体天皇と鉄の話をしたとき(速報レポート１参照)、「鉄を作ったときに出るカスのことを『ノロ』と呼び、そのノロが見つかったら、その場所で鉄作りをした重要な証拠になる」と話をしたのです。それで子どもたちは、「越前市でノロを見つけて、継体天皇が越前市で暮らしていたという証拠を探そう」と考え、自分の家の周りなどで、さっそくノロを探し回ったのでした。
　子どもたちが見つけた物質は、以下の写真です。

　自分の家や友達の家の庭で探したもの、祖母の家には畑があるので、そこまで出かけて探したもの、スポーツ少年団の練習の休憩時間に、体育館玄関で探したもの…。いずれも自然石やさびた鉄で、ノロではなかったのですが、その日に学習したことを、その日の放課後に実行しようとした子どもたちの、何と健気な心でしょう！　朝からとてもほっこりとした気分にさせてもらいました。

４月２４日。この日も２人が石を持ってきてくれました。その一つがなんと、正真正銘のノロ、しかも超弩級の大きさです！

　「こ、これ、どうしたんや？」「お父さんが仕事に行っているところの近くの山で、お父さんが見つけました！」「お父さんの仕事場って、どこ？」「文室町です。」　
　これで分かりました。越前市文室町。かつては文室鉱山で賑わい、銀や鉛などを採掘していました。近くの五分市町では、鋳物師が釜を作っていたという歴史もあります。大虫小学校からは約１２キロメートル。
　「よし、行ってみよう！」「やった～！！」

　４月２５日。「先生、これ、お金かなんかですか？」ノロを家の畑で探しているとき、たまたま見つけたのだそうです。いっしょにパソコンで調べてみると、「文久栄宝」という江戸時代の貨幣でした。
　自然体験活動の良さは、こんな目的以外のことが起こることです。この児童は大人になったとき、鉄とか継体天皇の学習は忘れていても、自分で貨幣を見つけたことは、おそらく忘れていないのではないでしょうか。多くの体験をさせることの大切さを、あらためて教えてもらいました。

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