速報レポート２２　【米粒編】本物の虫送りをしたよ～太田新保の七夕祭り(越前市文化財指定)～

　コロナ感染防止のために中止になっていた「太田新保の七夕祭り」が、４年ぶりに行われました。
午後４時、新保地区の児童がぞくぞくと公民館に集まってきます。最初は七夕祭り。女子はカラフルな短冊が飾られた笹、男子は松明を持っています。そして、「七夕送るぞ(送るぞ)たいまつ送るぞ(送るぞ)おひまで送るぞ(送るぞ)」という昔から伝わるかけ声を、汗をいっぱいかきながら何度も何度も繰り返し、終始笑顔で町内を練り歩きました。
　夕陽が沈みかける頃までゆっくりと休んだ後は、いよいよ虫送りです。最初に習字の作品を燃やしました。燃やされて黒い炭になった作品が風に乗って空高く舞い上がると、字が上手になるそうです。みんな自分の書いた習字がどこに飛んでいくか、はらはらしながら見守っていました。
　そしていよいよ本日のメインイベント。稲に付いている害虫を、火や煙で駆除していきます。虫送りは江戸時代、日本のどこにでも見られる風景でしたが、農薬が普及した現在、虫送りを行う地区はほとんどありません。それが新保地区には残っていて、越前市の文化財に指定されています。
　まずは松明に火を灯し、子どもたちはそれを上下に振りながら、町内の田んぼの周りを歩きました。松明はそれぞれのおうちで用意されたもので、小学生にはちょっと重いものもあったようです。それでもみんな頑張って、豊作を祈りながら一生懸命に松明を動かしていました。
　いつの間にか辺りはすっかり暗くなっています。遠くから眺めてみると、不規則に揺れる松明の点々とした灯しか目に入りません。周囲にある町のビルやお店の看板は、暗闇で黒く塗りつぶされて何一つ見えませんから、４００年前の人々も、きっと今と全く同じような光景を目にしていたことでしょう。
　歴史そのものをまるごと体験した子どもたち。この日の神秘的な体験を忘れることなく、いつの日か、今度は自分たちがこのすばらしい日本の伝統行事を次世代に伝えてもらいたいと、強く感じました。

• 私たちが学校でやった虫送りとは、全然ちがいました。
• 本当の虫送りは、火を使うから、真剣なんだと感じました。それだけ昔の人は、虫が田んぼからいなくなってほしいと願っていたんだと思います。
• 私のたいまつは、おじいちゃんが作ってくれました。少し重かったけど、その分、とってもがんじょうでした。
• 虫送りをしていたとき、夜なので周りがよく見えず、前の人に近づきすぎて、煙が目に入ってしまい、たいへんでした。
• だれかがたいまつを落としてしまい、火が草について危ないとあせったり、道が通れなくなったりして困ったけど、とってもおもしろかったです。
• 私たちがやった虫送りと、本当の虫送りを両方体験できて、ラッキーと感じました。

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