速報レポート９　【米粒編】田植えの後は何をする？

　田植えが終わった後の総合学習です。
　「農家の人たちは、田植えが終わった後、何をするでしょうか？」「はい！　稲刈りです！」－
現代に生まれた多くの子は、こう答えます。これだけ多くの田に囲まれた大虫の子でも、やはりこう考える子は、少なくありませんでした。社会科ではまだ習っていないし、農業をしている家は少ないので、致し方ありません。
　現代なら、稲を雑草や害虫から守るため、除草剤や農薬をまきます。では、もっと昔は、どうしたのでしょうか。そこで、学校の名前「大虫」の由来を思い出してもらいました。子どもたちは３年生のふるさと学習で習っているはず。覚えていた児童が、「田んぼにつく害虫を退治したから、大虫になりました」と答えました。「虫を追い払う」→「虫を追う」→「追う虫」→「大虫」ということです。
　では、どうやって追い払ったのでしょうか。これも一人の子が、「大虫神社の人が神様にお祈りしたから、虫がいなくなった」と答えました。その通り。よく覚えているものです。
　その後、弥生時代の銅鐸にカマキリとカエルとクモの絵が描かれている写真を見て、この生き物の共通点が何かを考えました。「全部キモい虫！」「カエルとクモは虫じゃないぞ」「カマキリには鎌、クモには糸の武器がある！」などの話し合いの末、それらの生き物が田んぼの益虫だと気づいた子どもたちは、昔の人は、田に虫がいなくなることを、どれだけ強く願っていたかを実感しました。
　事実、江戸時代には、田の害虫を駆除し、豊作を祈願する「虫送り」という行事が日本各地で行われています。実はその「虫送り」が、大虫地区内の太田新保地区で「太田新保の七夕行事」の中で残されて　いるのです。昼は子どもたちが色とりどりの短冊を結びつけた笹飾りを持って町内を練り歩き、夜は火をつけた松明を持ち、豊作を願って田んぼを回ります。
　さらにその「太田新保の七夕行事」が、虫送り行事としては越前市で唯一残っていて、無形民俗文化財に指定されているということを紹介すると、「お～、すごい！」「やるなぁ、新保は！」と教室が急に盛り上がりました。そして、それなら自分たちの田んぼでも虫送りをしたい！という話になり、大虫小学校版虫送りをすることに決定しました。
　田んぼから虫がいなくなり、稲が無事生長しても、穂を付けたら、今度は鳥が食べる…と言うと、「じゃあ、かかしも作ろう！」と、どこからともなく声が出て、かかしも作ることになりました。自分たち独自の虫送り儀式を行い、かかしも建てる。さあ、これからの目標ができました。忙しくなります！

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