NO団体名主な企画内容
18 越前市立大虫小学校(福井県) 「滴り落ちる玉の汗を玉鋼に 弾け飛ぶ汗の粒を米の粒に さあ、行こうか、大虫!!」
年生が鉄作り、5年生が米作りを体験する。単に教えられたことを行うだけでなく、自分たちで課題を見つけ、解決策を思索し、新しいことに挑戦していく過程を通して、ふるさとや日本の伝統文化の存在に気づき、SDGsの大切さを実感する。

速報レポート34 【鉄粒編】 自分たちでやり遂げたぞ! 鉄祭り!!  ~その2~

活動日: 2023年10月16日(月)・20日(金)
活動場所: 大虫小学校グラウンド
参加人数: 小中学生 53人 / 大人 5人 / 指導者 2人 / 合計 60人
活動内容

 「お~い、竹炭持ってきてー。」と、威勢のいい声がグラウンドに響き渡りました。さあ、いよいよ火入れです。はたして子どもたちは、自分たちで鉄を作ることができるでしょうか。
 まずはできたばかりの炉に付いている粘土等の水分を飛ばし、レンガを温めるため、空焚きを20~30分行います。さすがに児童が火をつけることは難しいので、越前たたら研究会「鍛人」の方が火のついた厚紙を炉内に投入してくださいました。火が広がって落ち着くと、すかさず炭の投入です。ここで使う炭は、自分たちが採ってきた竹から作った竹炭。ちなみに前月祭のときは、空焚きにも松炭を使用しています。石抜き担当の子が、段ボールいっぱいに詰められた細かい竹炭を両手ですくい、炉内に入れることを何回も繰り返しました。するとたちまち、モクモクと大量の白い煙が立ち昇り始めるではありませんか。ん? 前月祭のとき、こんなに多くの煙は出ませんでした。そのことにいち早く気付いた子たちは、「なんで今日は煙が出るんやろ?」「うん。ひょっとして竹炭が悪かったんかな。」「火が煙で見えんわ。ちゃんと温度、上がってるんやろな。」「上がらんかったら、鉄できんかもしれん…。」などとざわめき出しました。そして、「ふいごを強くしたらどうかな。」と言うと、鍛人の方も「確かにもっと風を強くするといいよ。」と同意されたので、ふいご役にもっと早く動かすように児童が指示を出しました。「ふいごがんばれ~」「ふーいーごーっ、ふーいーごーっ」など、大勢の仲間からの大きな声援や手拍子を受けると、もうふいご役は頑張らないわけにはいきません。ボートをこぐような動きを一気に倍速し、顔を真っ赤にしてふいごを前後に動かし続けました。
 しばらくすると煙が少なくなり、赤々と燃える炎が顔を出しました。そしてその後も、安定した火の状態が続きます。一同ほっと安心しました。竹炭が、空焚きの役目をしっかりと果たしてくれたからです。
 午前10時14分。雨が降ったり煙が出たりして想定外のことが起こったため、予定よりも少し遅くなりましたが、いよいよ第1回目の材料投入です。あらかじめ子どもたちが決めておいた担当順1番の子が、砕かれて細かくなったせんべい250gとスコップ1杯の松炭を、それぞれがおそるおそる炉内に落としました。「次は〇〇君やで~。」と、担当順が書かれた画用紙を見ていた子が叫びます。ちなみにふいご役も順番が決まっていて、疲れて火が弱くなることのないようになっています。みんな今か今かと、自分の順が来るのをわくわくしながら待っていました。
 煙の量が前月祭のときと違ったように、実はパン!とレンガが割れる音も、前回より頻繁に聞こえてきました。そのたびに子どもたちは、おおっ!とびっくりします。「雨が多い時期に作ったレンガだから、前回よりも水分がレンガの中に多かったのかも…」とは、鍛人の方の分析です。これも想定外。レンガが多く割れてしまうと、炉も崩れてしまいますから、最後まで炉が壊れないことを祈るしかありませんでした。
 さて、材料の投入は、炉内の炭が燃えて少なくなるのを見計らって行います。その投入の合図も子どもたち自身が行い、投入時刻はアイパッドと黒板両方で記録していきました。すると、アイパッドに記録していた児童が、1~3回目の投入は3分おきだったのに、4回目は4分後だったことに気付きます。つまり、送る風が弱いので炭が燃え尽きる速さが遅くなったのです。「ふいごが弱いから、炭が燃えんぞ~。ふいご、がんばれー」と、ふいご役に声をかけました。周りの子も黒板を見て、「確かに4分になってる! ふいご応援せなあかん!」と、7月に5年生が虫送りで使った大うちわを何人かが持ち出して、ふいご役に風を送って懸命に鼓舞しましたが、5回目の投入は、さらに遅れて5分後となりました。
 「なんでや?」「そういえば、前月祭のとき、後の方でやったふいごは、はじめよりも重かったわ。」「ということは、今のふいごは重いんかな。」「ほやで風が行かんで、炭が燃えんのや。」「ほんでも、なんで後の方が重くなるんやろ?」「ん~」…。
 実はこれ、鉄のかたまりができている証拠なのでした。炭は燃えてなくなりますが、せんべいは溶けるだけで、成分は残ります。その成分がかたまりとなり、せんべいの投入量が増えてかたまりが大きくなるにつれ、ふいごにつながっているパイプの送風口を、かたまりが少しずつふさぐようになり、パイプから風が出るのを、じゃまするのです。そのことが、ふいごが重くなる原因でした。
 このことを児童に教えると、「ということは、鉄ができているということですね!」「よし、鉄ができているぞ! やった~」と、大喜びです。「ふいご、がんばーれーっ!」と、子どもたちの声援もがぜん大きなものになりました。
 投入は10回で終了。250グラム×10で、2.5キログラムのせんべいを松炭とともに燃やしました。炉も、なんとか持ちこたえてくれました。最後の20分は、炭だけ入れて燃やします。ここで全員が炉を囲み、音楽係が「燃えろよ燃えろ」の歌を歌うことを提案しました。しかし歌詞をあまり覚えていなかったので、歌声が大空いっぱいには届きません。それではとばかりに、「今度は前月祭で歌った、さくらいとさんの『LOVE水ようかん』を歌いましょう」と係が言うと、「やった~」と大騒ぎ。みんな歌詞ばかりか踊りまでしっかり覚えていて、子どもたちのノリノリのダンスは、炉の炎以上に熱気がありました。まさに火を真ん中にして夜通し踊り明かす、1年の楽しみが凝縮した昔の祭りの様相です。子どもたちといっしょに踊ってくださった、さくらいとのお二人も、これ以上ないというぐらいに笑顔がはじけていました。
 さあ、いよいよ炉から、かたまりを取り出します。いちばん危険なこの作業も、鍛人の方にしていただきました。手前のレンガを何個か外し、まだ燃え盛って赤々となっている炉の中から、火箸でオレンジ色のかたまりをつかみ、そのまま水の入ったバケツの中に入れました。瞬く間に水はぶくぶくと沸騰します。子どもたちは「おおっ!」と声をもらし、「やった~」と、みんな小躍りしながら大きな拍手をしました。かたまりがバケツの中から出されて鉄板の上に置かれると、すかさず多くの子が我先にと鉄板の周りを取り囲んでしゃがみます。「鉄や、鉄や!」「やったー、成功したぞ~。」「いや、中に鉄が入っているかどうかや!」「そう! 全部つぶれてもたら、失敗やぞ。」などと興奮し、数人が金づちを持って、かたまりを割り始めました。そしてまもなく、一人が金づちでたたいても潰れない粒を見つけると、「あった~!」と、雄たけびをあげました。大成功!! とうとう自分たちだけの力で、鉄を作り出すことができました。その後も、「おれも見つけた!」「これ、でかい!」「おれにもやらせてくれ~」の声や、カンカンと鉄板をたたく金づちの音が途切れることはありません。結果的に、抽出された鉄(直径5ミリ前後)の量は前月祭と同じぐらいでしたが、直径2センチメートルもある大きなかたまりが、3つできていました。これは前月祭になかった大成果です。昔の人は、鉄のかたまりを加工して何らかの道具にしたのでしょうから、もっと大きなかたまりを抽出することができたら、ナイフや小刀を作ることができるかもしれません。夢がどんどん広がります。いつの間にか雨も上がり、夢とともに青空も広がっていました。
 最後の閉祭式。参加した方のお一人が、「私は敦賀で生まれて、京都の大学に通って、大阪の会社に就職して、今は鯖江で働いています。日本中回っているけど、こんな体験ができる学校は、おそらくどこにもないと思います。その貴重な体験を小学校生活の思い出として、ずっと忘れないでください。」とおっしゃいました。6年生はニコニコしながらうなずいています。そして鍛人の方が、「たたら製鉄をして玉鋼を作ることが初めの目標だったと思いますが、できたのは玉鋼ではなく、鉄でした。しかし、道ばたに転がっていた材料から鉄を、しかも自分たちだけの力で作り上げたこと自体が、信じられないぐらいすごいことなのです。できた粒、一粒一粒が55人みんなの汗の結晶で、まちがいなく、それはみんなの玉鋼です!」とおっしゃると、自然に大きな拍手が沸き起こりました。
 最後の最後、子どもたちは国語で学習した宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を全員で高らかに暗唱しました。まさに今日の天気は雨。文字通り、雨にも負けずがんばりましたが、この半年、夏の暑さにも、山のがけを登るつらさにも、重いものを運んだり単純作業を繰り返したりするきつさにも、誰一人負けませんでした。晴れ上がった大空を見つめながら、精一杯声を出している6年生の子どもたち。これからも、豊かな自然と深い歴史を誇る大虫を支えていってもらいたい。きらきら輝いている目の前の子どもたちを見つめ、心からそう願いました。

 後日、こどもたちはうれしそうに、自分たちの”玉鋼”を、自分たちが作った「鐵心」のお守りの中に収めていました。「成人式のとき、持ってくるんですよ!」と声をかけると、「は~い!!」と、あいかわらず元気いっぱいの返事が届きました。

子どもたちの感想

  • 空だきのとき、めちゃくちゃ炉の横からけむりが出てしまいました。もっとていねいに炉を作れば良かったと、こうかいしています。
  • ふいごはやり続けていると重く、力がたくさん必要でした。1分1分で交代してもつらく、手がぱんぱんになりました。かたがいたくて、うまくうでも使えませんでした。でも、やり続けていると慣れてきて、3分ぐらいできるようになりました。ちょっと力がついた気がします。
  • ごうごうと燃える炎に見とれた。そして炉からオレンジ色のかたまりが出てくる。花火のようなかがやきだ。このかたまりは、私たちのがんばりの証だと思った。
  • 炉に炭を入れるとき、ちょうど火がすごく燃え上がっていて、やけどしそうでこわかったです。けど、入れ終わった後は、「もう1回したい!楽しい!」と、心の中がうきうきしてしまいました。
  • 鉄を焼いているとき、6年生全員と、さくらいとの人と、「たきび」や「燃えろよ燃えろ」を歌って、最高の思い出ができました。この思い出は一生わすれません。
  • できた鉄を見て、がんばったかいがあったなと思いました。鉄を作っているときの火は、とても美しかったです。
  • 小さな鉄のひとかけらでも、ぼくたち大虫小学校の6年生55人が必死に作り上げた鉄だ。みんながすばやく行動し、じゅんびをしていた。この鉄は、世界一すばらしい鉄だと思っている。
  • わくわくしていた鉄祭りが終わってしまい、少しさみしかったです。大人になったら、たたらで働いてみたいと、少し思いました。
  • 本当に楽しかったです。理由は3つ。私の中ではパーフェクトに炉が作れたこと、鉄がたくさん取れたこと、そして、みんなで協力できたことです。雨がふって、私は雨女かとなやみましたが、それを忘れるくらい、楽しく鉄祭りができました。みんなで歌も歌えて、最高でした!
  • こんな経験は、一生のうち1回できるかできないかぐらいのものなので、できて良かったです。
  • 最後、かぬちの人が、「できた鉄はみんなの玉鋼だ」とおっしゃったのを聞いて、思わずなみだが出そうになりました。
  • 鉄を最初から作るのは、とても大変なことだと感じたし、鉄について興味を持ちました。鉄祭りが終わってしまって、もうできないのが悲しいです。

















速報レポート1 【鉄粒編】6年生、活動開始!
速報レポート2 【鉄粒編】さっそく見つけたぞ!
速報レポート3 【米粒編】5年生、活動開始!
速報レポート4 【鉄粒編】文室鉱山跡を探検したよ!①
速報レポート5 【鉄粒編】文室鉱山跡を探検したよ!②
速報レポート6 【米粒編】田植えをしたよ!
速報レポート7 【鉄粒番外編】ポン菓子を作ったよ
速報レポート8 【鉄粒編】ノロ発見!
速報レポート9 【米粒編】田植えの後は何をする?
速報レポート10 【米粒編】虫送り・かかし建立に向けて①
速報レポート11 【鉄粒編】今城塚古墳に行ったよ!
速報レポート12 【鉄粒編】ノロを探そう①
速報レポート13 【鉄粒編】ノロ探し② ~なんだ、これは?~
速報レポート14 【鉄粒編】ノロ探し③ ~とうとう発見!~
速報レポート15 【米粒編】虫送り・かかし建立に向けて②
速報レポート16 【米粒編】虫送り・かかし建立に向けて③
速報レポート17 【米粒編】虫送り儀式・かかし建立 ~その1~
速報レポート18 【米粒編】虫送り儀式・かかし建立 ~その2~
速報レポート19 【鉄粒編】わくわく会議~これからどうする?~
速報レポート20 【鉄粒編】枯竹・廃竹を切って集めたよ
速報レポート21 【鉄粒編】越前和紙の卒業証書を作ったよ
速報レポート22 【米粒編】本物の虫送りをしたよ~太田新保の七夕祭り(越前市文化財指定)~
速報レポート23 【鉄粒編】鉄祭りに向けて①
速報レポート24 【米粒編】稲刈りをしたよ!
速報レポート25 【鉄粒編】鉄祭りに向けて② ~”前月祭”を成功させよう~
速報レポート26 【鉄粒編】鉄祭りに向けて③ ~前月祭、大成功! その1~
速報レポート27 【鉄粒編】鉄祭りに向けて③ ~前月祭、大成功! その2~
速報レポート28 【鉄粒編】鉄祭りに向けて④ ~炭が焼けたよ!~
速報レポート29 【米粒編】 手で脱穀をしたよ!
速報レポート30 【鉄粒編】 鉄祭りに向けて⑤ ~できた鉄をどうする?~
速報レポート31 【鉄粒編】 鉄祭りに向けて⑥  ~いよいよ最終章~
速報レポート32 【米粒編】 しめ縄を作ったよ
速報レポート33 【鉄粒編】 自分たちでやり遂げたぞ! 鉄祭り!!  ~その1~
速報レポート34 【鉄粒編】 自分たちでやり遂げたぞ! 鉄祭り!!  ~その2~

プログラム検索に戻る