速報レポート２１　【鉄粒編】越前和紙の卒業証書を作ったよ

　今回、子どもたちが取り組んでいる活動は「鉄作り」です。それなのに今回のレポートは「和紙作り」。一見何も関連していないように思えるのですが、実は共通点があります。
　伝説によると越前和紙は今から１５００年前、村の川上に住んでいるという女の人によって伝えられました。以来、越前市は日本の和紙産地の中心地として栄えていきます。江戸時代には幕府の御用紙に採用され、明治になると、日本で最初の紙幣「太政官札」が越前和紙で作られました。また第一次世界大戦のベルサイユ条約では、調印用紙として越前和紙が使われるほど、知名度は世界的になります。現在でも手漉き和紙の生産では、日本一を誇ります。
　さて、鉄作りとの共通点ですが、上記の「１５００年前」がポイントです。１５００年前といえば、ちょうど継体天皇が活躍されていた時代なのです。そのことから、和紙を伝えた「女の人」を、継体天皇と結びつけて伝えている文章もよく見かけます。つまり、越前和紙は継体天皇によって伝えられたというのです。確かに継体天皇は、朝鮮半島との交流によって大和よりも先に製鉄技術を手に入れました。ということは、同時に紙を漉く技術も獲得していたと考えても、おかしくはありません。実は、越前和紙と同じく「伝統的工芸品」として経済産業省の指定を受けている鯖江市の越前漆器も、１５００年前に始められたと言われ、その起源にはやはり継体天皇が関わっています。
　今日はそんな１５００年の伝統を受け継いだ伝統工芸士の方に、子どもたちは一人一人、手を取っていただき、卒業証書を漉きました。最初に練習、２回目からが本番です。紙を漉く手順が細かくて、つい間違えてしまう子もいましたが、その都度伝統工芸士の方が優しく教えて下さいました。
来年３月、子供たちは世界に１枚しかない卒業証書を持って、未来にはばたきます。　

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