NO団体名主な企画内容
18 越前市立大虫小学校(福井県) 「滴り落ちる玉の汗を玉鋼に 弾け飛ぶ汗の粒を米の粒に さあ、行こうか、大虫!!」
年生が鉄作り、5年生が米作りを体験する。単に教えられたことを行うだけでなく、自分たちで課題を見つけ、解決策を思索し、新しいことに挑戦していく過程を通して、ふるさとや日本の伝統文化の存在に気づき、SDGsの大切さを実感する。

速報レポート33 【鉄粒編】 自分たちでやり遂げたぞ! 鉄祭り!!  ~その1~

活動日: 2023年10月16日(月)
活動場所: 大虫小学校グラウンド
参加人数: 小中学生 53人 / 大人 5人 / 指導者 2人 / 合計 60人
活動内容

とうとうこの日がやってきました。6年生の活動プログラム「滴り落ちる玉の汗を玉鋼に」の最後の活動です。自分たちで鉄を作るとはいえ、それはこの日まで、本当に多くの方に支援していただいたからこそできる挑戦です。その中から、今回も越前たたら研究会「鍛人」の方と、福井伝統工芸アイドルグループ「さくらいと」の方がそれぞれ2名参加してくださいました。これまで受けたいっぱいの恩を返すため、今日は6年生全員が、最後の汗を流します!




① 炉作り 
炉が午前9時30分に完成しなければ、後の計画が全てずれてしまいます。しかも正確で頑丈な炉でなければ鉄はできないのですから、鉄祭りの成功は炉の出来次第だと言っても過言ではありません。そんな大きなプレッシャーが炉作りグループにはかかっていたはずでしたが、そんなプレッシャーなどものともせず、グループのメンバーは実にすばらしい動きを見せてくれました。こちら側としては内心、「少しぐらいは「鍛人」の方のお手を借りても仕方ないか…」と思っていたのですが、なんのなんの、メンバー一人一人が自分たちの書いた設計図をしっかり見て、責任を持ってそれぞれの役割を果たし、完璧な炉を作り上げてくれました。「鍛人」の方も、舌を巻くほどの出来です。ブラボー!
 





② 炭切り 
 9月の前月祭のときにドラム缶で焼いた松炭を、3~5センチメートルのサイズに切りました。当初は大虫滝遊園地で児童が採ってきた枯竹を使う予定でしたが、「鍛人」の方との事前打ち合わせで、火力の弱い竹炭では鉄ができる可能性が低くなるとのご指摘を受けました。それでどうしようかと悩んでいたところ、「鍛人」の方が、前月祭で児童が炭焼き体験をして、そこでできた松炭を本番の鉄祭りで使うことを提案してくださいました。脂分を多く含んでいる松炭は、昔からたたら製鉄で重用されていたそうです。
こうして前月祭では、炭焼きのためのドラム缶と大量の松の木の蒔をわざわざ学校まで運んでくださり、児童に炭焼きを体験させてくださいました。今日、子どもたちが炭で顔を黒くしながら切った炭は、そのときの松炭です。こういう舞台裏の人情があってはじめて、今日の鉄祭りがあります。




 
③ 石抜き
昔は大勢の人で賑わっていた大虫滝遊園地ですが、今ではすっかり朽ち果て、無数の廃竹が地面に散らばり、ぐわっと曲がった枯竹が所々で歩みを妨げる状態にまで化しています。それで枯竹を少しでも持ち帰って炭にすれば、環境美化に貢献できてSDGsの活動になると子どもたちと話し合い、猛暑の夏、大虫滝遊園地でいっぱい汗を流して、ふうふう言いながら枯竹を採ってきました。それを前月祭で炭化器で竹炭にしましたが、今回は炉の空焚き用に使います。
竹炭の中に石が含まれていると、石は燃えずに蓄積されるので、石の分だけ炉の容積が減ってしまい、その分できる鉄も減ることになります。それで石抜き作業は大事な仕事。地味な作業ですが、グループのメンバーは、一粒の石も見逃さんとばかりに目を光らせ、時間いっぱい、黙々と手を動かしていました。



④ せんべい砕き
大和朝廷よりも先に鉄を使うことで天皇になったとの説がある継体天皇が、越前市で暮らしていたとの証拠を見つけるには、鉄づくりの跡を越前市内で見つければいいということで、ノロ(製鉄のときに出るカス)を探そうと始まった今回の取り組み。その過程で、継体天皇時のノロではありませんでしたが、磁石に付く石を大量に見つけることができました。それを粉にして糊で固め、せんべい状にして乾燥させたものを、今日は金づちで砕きます。思い返せば6月、学校裏の空き地で、砂利道に埋まっていたたくさんの石のどれもが見事に磁石に付くことを発見し、子どもたちは大騒ぎしたものです。その石が、まさに今日の主役。どうか鉄になってくれますように…。




 さあ、準備が完了しました。天気予報に反して、雨が降っていることだけが想定外ですが、ここまでは文句なしの100点満点。ほとんど自分たちでやることができました。いよいよ火入れです! 

子どもたちの感想

  • ぼくは炉作りで、ねん土に水をふくませて泥にする係だったけど、水をふくませすぎるとうまく形にならないし、水が少ないとレンガからはがれてしまうから、どういう具合に水をふくませるかのコツが必要だった。
  • 火がもれないよう、すきまができないように心がけて、炉を作りました。難しかったけど、みんなで計画したり、協力して実行したりしたので、自分にとってもみんなにとっても良い経験になったと思いました。
  • レンガにつけるねん土が、前月祭よりつぶが大きく、てこずった。でもできるだけ平らになるよう心がけた。予定とちがうことがあっても、りんきおうへんに態度を変える能力は必要だなと思った。
  • 前月祭のことを思い出して、炭を切りました。大人の人に「ちょうどいい大きさや。」と言われて、うれしかったです。
  • 炭を切り終わったら、マスクが真っ黒になっていました。
  • 炭を切ろうとしたら、半分まだ焼けていない白い炭があって、これも炭になっていれば、もっと炭が増えたと思い、もったいなく感じました。
  • せんべいが、前月祭のときよりもめちゃくちゃ固くて、びっくりしました。20回ハンマーでたたいて、やっとわれたぐらいでした。
  • せんべいは、細くくだくと焼けてしまうし、大きすぎると燃えきれないので、ちょうどいい大きさになるよう、がんばりました。
  • せんべいが固かったのは、太陽の温度によってかたまり過ぎたのかもしれない。太陽の力は素晴らしいと思った。
  • 石ぬきで、竹炭と石の区別をつけるのが、すごくむずかしかったです。白い石は指でつぶれたので、本当に石なのかとふしぎでした。
  • 石をぬこうとブルーシートにのると、べちょべちょで、くつしたが茶色と黒にそまった。石はすごく小さくてびっくりした。
  • ぼくのグループのみんなは、石をいっぱい見つけられたので、かくのちがいをみせつけられました。でかい石も見つけたときは、こうふんしました。



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