速報レポート３０　【鉄粒編】　鉄祭りに向けて⑤　～できた鉄をどうする？～

　９月１３日に行った鉄祭りの前月祭は大成功。協力してくださった越前たたら研究会「鍛人」の方は、「実は、あの材料で鉄ができるとは、正直言って思っていなかった」と、後でおっしゃっていました。
　その前月祭で越前たたら研究会「鍛人」の方が実演してくださったことを、その場で子どもたちはしっかり観察し、タブレットに記録しました。１０月１６日に行われる鉄祭りの本祭りは、その観察・記録したことをもとにして、鉄づくりのすべての作業を５５人の子どもたちだけの手で行います。そこで９月２0日には、鉄ができた奇跡をもう一度、本祭りでも実現するためにはどうすればよいか、そして鉄祭りを楽しくにぎやかにするにはどうするか等を、５５人全員で話し合いました。その結果、以下のことが決まりました。
　・炭と燃やすノロせんべいを、より磁力の強いものにするため、磁力選別を２回する。
　・炉の中の温度を上げるため、ふいごを動かす役が疲れて送風が弱くならないよう、まめに交代する。
　・５年生が田んぼの虫送りで使った大きなうちわを借りて、炉をあおいで風を送る。
　・炉で燃やしているとき、５５人が炉を囲んで見守る。
　また、鉄ができたら、その鉄をどうするかについても話し合いました。前月祭では、小さい鉄粒が合わせて約３０gできています。
　「小さい粒をまとめて一つの鉄のかたまりにできないかな。」「うん。それを校長先生にプレゼントしたらいいと思う。」「そのかたまりに、文字を入れるといい。」「鍛人の人が、２．４メートルの日本刀を作るのが夢なんだから、ぼくたちはその鉄で、2.4センチの小刀を作ったらどうかな。」「でも、かたまりにはできないと思う。だって、鉄を合わせるには、赤くやわらかくなるまで熱くしないといけないけど、それは専門家じゃないとできない。」「確かに…。」「鍛人の人にやってもらったらどうかな。」「でも、それじゃあ何でもやってもらうことになる。」「そう。自分たちで集めた材料で作った鉄だから、鉄も自分たちでどうにかしたい。」「じゃあ、今のまま、ばらばらの鉄をみんなに分けよう。」「でも、あんなに小さいもの、すぐになくしてしまう。」―
　このような話し合いが続き、最終的に決まったことは、お守り。一人一人がお守りを作って、その中に鉄を入れることになりました。そして、そのお守りに書く文字は「鐵心」。つぶれず曲がらない鉄の強さと、熱することで形を変えられる鉄の柔軟性を持って、これからの人生を乗り越えていこうとの思いを込めます。また、裏面には「〇号」と書き、○にはそれぞれの出席番号の数字を入れることにしました。これは『鐵心○号』、つまり『鉄人２５号』のパロディです。なるほど！

　ということで後日、お守りをさっそく、家庭科の時間に作り始めました。どの子も真剣な表情です。
　あらゆる活動は、目的があってはじめて意味を成し、意味ある活動に取り組んだとき、人は自然に集中します。半年にも及ぶ今回の取り組みも、ついに最終章。５５人全員が、鉄祭りを成功させるという一つの目標に向かい、いよいよラストスパートです！

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